うちの資料を全部AIに読ませれば、社員の質問に答えてくれるようになりますか?

全部入れたら、3年前の料金表まで堂々と答えますよ。入れる前に、少し片づけが要るんです。
社内のマニュアル、料金表、過去の見積書、提案書。これをAIに読ませれば、新人の質問にもベテランの代わりに答えてくれる。そう考えて、共有フォルダの中身をまとめてAIに渡したものの、古い情報や食い違う答えが出てきて使われなくなる。社内向けのAIでよく起きることです。
答えの要点は、AIの答えの質は渡した資料の質でほぼ決まる、ということです。社内資料を使うAIは、聞かれたことに近い資料を探し、その中身をもとに答えます。古い版が残っていれば古い答えを、書き方がばらばらなら混ざった答えを返します。AIを替えるより、資料を整えるほうが先です。
この記事では、AIが間違える原因になる資料の状態、集める資料の決め方、1枚1テーマの書き直し方、頭の中にしかない答えの書き出し方、古い資料の外し方と試し方を書きます。
この記事の要点
- AIの答えの質は、渡した資料の質で決まる
- 1枚1テーマにし、日付と持ち主を書き、古い版は外す
- 頭の中にしかない答えは、問いと答えの形で書き出す
AIの間違いは、資料の状態から来ている
社内資料を使うAIが変な答えを返したとき、原因をたどると、たいてい資料の側に行き着きます。よくある状態と、そこから出てくる答えを並べます。
| 資料の状態 | 出てくる答え | 直し方 |
|---|---|---|
| 古い版が同じ場所に残っている | 改定前の値段や手順 | 古い版を別の場所に移す |
| 同じ話が、何か所に違う内容で書いてある | 2つが混ざった答え | 正しいものを1つに決める |
| 紙をスキャンしたPDFや写真 | 読めない、または読み違える | 文字のデータにし直す |
| 表だけで説明がない | 列の意味を取り違える | 表の上に「何の表か」を一文書く |
| 社内の略語や呼び名が多い | 別のものと取り違える | 略語の一覧を作る |
| 例外が書いていない | 原則だけを答える | 例外と、やらないことも書く |
| 答えがベテランの頭の中にしかない | それらしい推測 | 問いと答えの形で書き出す |
例えばリフォーム会社で、新人が「マンションの工事で、管理組合への届け出は誰が出しますか」と聞いたとします。手順書には「お客様が提出」とあり、別の提案書には「当社で代行」とある。これでは、AIはどちらかを、あるいは両方を混ぜて答えます。人が読んでも迷う資料は、AIも迷います。
何に答えさせるかで、集める資料を決める
共有フォルダの中身を全部渡す前に、AIに何に答えさせたいのかを決めます。用途によって、要る資料はまったく違います。
| 答えさせたいこと | 集める資料 |
|---|---|
| 新人が仕事中に迷うこと | 業務の手順書、社内のよくある質問、用語の一覧 |
| 営業が過去の例を探すこと | 過去の見積書、提案書、施工や納品の事例 |
| 商品について聞かれること | 商品の仕様、料金表、保証や返品の決まり |
最初は、このうち1つに絞ります。おすすめは、新人が迷うことです。質問を集めやすく、答えが合っているかを社内で確かめられるからです。入社して間もない人に、1〜2週間、仕事中に浮かんだ質問をメモしてもらうと、それがそのままAIに答えさせる問いの一覧になります。
お客様からの問い合わせにAIが答える場合も、読み込ませる資料の考え方は同じです。答える範囲と人に渡す線は、別の記事にまとめています。
あわせて読みたいAIチャットボットで問い合わせの一次対応。答える範囲と人に渡す線の決め方1枚1テーマで書き直す
集めた資料は、AIが探しやすく、読み違えにくい形に書き直します。決まりは次のとおりです。
- 1つのファイルに書くのは1つのテーマだけ。何十ページもの手順書は、テーマごとに分ける
- タイトルは、聞かれる言葉で付ける。「駐車場_2023」より「現場の駐車場代は見積に入れるか」
- 先頭に、最終更新日・持ち主(直す担当者)・対象(どの商品、どの地域か)を書く
- 結論を最初に書き、理由や細かい手順はそのあとに書く
- 例外と「やらないこと」も書く。「〇〇の場合は除く」がないと、AIは原則だけで答える
- 社内の呼び名と、お客様の言い方を両方書く。「ハツリ」と「コンクリートを削る作業」など
人にとって読みやすい資料は、AIにとっても読みやすい資料です。書き直しは手間に見えますが、新人教育の資料としてもそのまま使えます。

ファイル名が問いの形になっているだけで、人もAIも探すときに迷わないんです。
頭の中にしかない答えを書き出す
いちばん価値があるのに、資料になっていないのが、ベテランの判断です。「この条件なら追加の費用がかかる」「このお客様には先に電話する」といった判断は、たいてい誰の頭の中にもあって、どこにも書いてありません。
書き出すときは、問いと答えの形にします。問いは、さきほど集めた新人の質問を使います。ベテランに一問ずつ答えてもらい、それを文字にします。
ここでよく出てくるのが「それは場合によるね」という答えです。これを聞き流さず、何によって変わるのかを続けて聞きます。「築年数が古いときは」「2階以上のときは」と条件が出てきたら、条件ごとに答えを分けて書きます。

ベテランの「それは場合によるね」、あれは宝の山なんですよ。中身を聞き出せたら勝ちです。
ベテランが忙しくて、書き出す時間を取ってもらえないんですが。
書いてもらうのではなく、話してもらう形にします。現場への移動中や休憩の合間に、質問に口頭で答えてもらい、それを録音して文字に起こします。整える作業は、書き出す側が受け持ちます。話してもらった内容は、本人に一度読んでもらってから資料にします。
古い資料を外し、試して直す
資料は、一度整えて終わりではありません。料金や手順が変われば、古い資料が混ざり始めます。
決めておくのは、置き場所を1か所にすること、改定したら古い版をAIが読まない場所に移すこと、各資料の持ち主が見直す時期を決めておくことの3つです。古い版は消さずに、別の棚に移すだけで構いません。
整えたら、実際に聞いて試します。
- 01問いを用意する新人から集めた質問を20問ほど選ぶ
- 02答えと出どころを出させる答えと一緒に、どの資料を見たかを示してもらう
- 03人が採点するベテランが、合っている・足りない・違うで印を付ける
- 04資料を直す違った答えは、AIではなく、もとの資料のほうを直す
- 05同じ問いでもう一度試す直した所が答えに出るかを見る
違う答えが出たときに、AIへの指示を工夫して直そうとすると、別の問いでまた崩れます。出どころの資料を見て、そこを直すほうが確実です。
社員の評価や個人情報のように、そもそもAIに渡さない資料もあります。どの資料を入れるかは、使うサービスの設定とあわせて社内で決めておきます。

AIを賢くしようとするより、資料を直すほうがずっと早いんです。
社内の資料づくりから、HEART CREATIONでお手伝いできること
HEART CREATIONのAIサービスでは、会社の資料を読ませて、その会社専用のAIに仕立てる仕組みをつくっています。過去の見積書や料金表、営業資料、業務マニュアル、社内のよくある質問を探して答える「AI社内ナレッジ」もその一つです。
- 何に答えさせるかを決め、集める資料と入れない資料を分ける整理
- 1枚1テーマへの書き直しと、用語の一覧づくり
- 質問と採点で答えを確かめ、資料を直していく運用
「資料はあるけれど、どこに何があるか分からない」という段階のご相談で構いません。初回のご相談は無料で、オンライン60分でも承ります。

まずは新人さんの質問を10個集めるところから。それがいちばんの地図になりますよ。
よくある質問
社内のマニュアルをAIに読ませるだけで、質問に答えられるようになりますか?
答えられるようにはなりますが、マニュアルが古かったり、同じ話が違う内容で何か所にも書いてあったりすると、間違った答えも出ます。読ませる前に、古い版を外し、1つのテーマに1つの正しい資料がある状態にしておきます。
AIに読ませる資料は、どんな形式がいいですか?
文字のデータになっている資料が向いています。紙をスキャンしたPDFや写真は読み違えることがあるため、よく使うものは文字に起こし直します。表には、何の表かを説明する一文を添えます。
社内のナレッジ整理は、何から始めればいいですか?
AIに何に答えさせたいかを1つ決め、その問いを集めるところから始めます。新人が仕事中に迷った質問を1〜2週間メモしてもらうと、集める資料と書き出すべき答えが見えてきます。
資料はどのくらいの頻度で見直せばいいですか?
料金や手順が変わったときに、その資料の持ち主がすぐ直すのが基本です。そのうえで、資料ごとに見直す時期を決めておくと、古い情報が残りにくくなります。
