トマト農家です。畑の作業を撮って出してはいるんですが、毎回「草取りしました」で終わってしまって、反応もいまひとつで。

毎日の作業そのものが、食べる人には初めて見る景色なんですよ。あとは「なんでそれをやるのか」を足すだけです。
野菜や果物の農家、米農家、酪農や養鶏、味噌や漬物を作る小さな加工所。生産者のSNSは、作っている現場を見せられるという強みがあります。スーパーの棚に並んだ姿しか知らない人にとって、畑や作業場は、それだけで見たことのない場面です。
ただ、作業を撮って並べるだけだと「大変そうですね」で終わってしまいます。食べる人が知りたいのは、その手間で、自分の口に入るものの何が変わるのかです。作業の画に、理由と、食べるときの違いを一言ずつ添える。これが生産者の動画の基本の形です。
この記事では、作業ごとの見せ方、天候や不作の伝え方、栽培の仕方を言うときの言葉の決まり、畜舎や加工場で撮るときの注意を整理します。
この記事の要点
- 作業の画に「なぜやるか」と「食べるとき何が違うか」を添える
- 「無農薬」「減農薬」は使わない表示。「有機」は有機JASの認証が要る
- 畜舎は衛生管理区域。撮影の人の出入りも決まりに沿う
作業ごとに「食べるとき何が違うか」を添える
作る過程を見せるときは、作業の名前ではなく、その作業が食べる人の何につながるかから考えます。例えば、トマト農家なら次のように組めます。
| 作業 | 見せる画 | 添える一言(食べる人への違い) |
|---|---|---|
| 土づくり | 堆肥をすき込む手、ふかふかになった土をにぎる | 根がよく張ると、実の味がのりやすい |
| わき芽かき | 指でわき芽を折る手元を寄りで | 実に栄養を集めるため、毎週やっている |
| 収穫 | 朝の畑で、色づいた実を選んで取る | いつ取ったかで、店に並んだときの状態が変わる |
| 選別 | 傷や形で分ける台の上 | 箱を開けたとき、そろった実が届く理由 |
| 箱詰め | 緩衝材を入れて、実の向きをそろえる | 遠くまで送っても傷みにくくするため |
添える一言は、作った人の思いより、食べる人の得から書きます。「手間をかけています」は誰でも言えますが、「この作業をすると皮が薄く仕上がる」は、その畑の人にしか言えません。
1つの畝や1本の木を、植えてから収穫まで同じ位置から撮り続けるのも、生産者に向いた形です。毎回の目印のそろえ方は、連載の記事で書いています。
あわせて読みたいショート動画をシリーズ化する。連載企画の型と続けるための決めごと
収穫の朝の「よし、今年はいい」って顔。あれがいちばん伝わるんですよ。照れずに撮っておいてください。
天候や不作も、隠さずに先に知らせる
畑は天気しだいです。台風、長雨、猛暑で、予定していた出荷が遅れたり、量が減ったりします。工場の製品とちがって、生産者にはこの「思いどおりにならない」があります。
こうした知らせは、出荷を待っている人に早めに届けます。
- 被害の様子は、大げさにも小さくもせず、そのまま映す
- 遅れや量の変化と、いつごろ分かるかを一言で言う
- 「買って応援してください」より、次に何をするかを見せる(植え直し、手入れ)

台風のあとの畑、見せたくない気持ちは分かります。でも、その報告を見て届く日を待ってくれる人もいるんですよ。
規格に合わずに選別ではねたものも、見せ方しだいで話題になります。形が悪い理由(実割れ、日焼け)と、味には関わるのか関わらないのかを、正直に言うことが前提です。
栽培の仕方を言うときの、言葉の決まり
農家の動画で気をつけたいのが、栽培の仕方を表す言葉です。
農林水産省の「特別栽培農産物に係る表示ガイドライン」では、「無農薬」「減農薬」といった表示は使わないことになっています。農薬を使わずに育てても、土に残っていたものや周りから飛んできたものが含まれることがあり、「まったく含まない」と受け取られやすいためです。農薬を使っていない場合は「農薬:栽培期間中不使用」のように表します。
また、「有機」「オーガニック」という表示は、有機JASの認証を受け、有機JASマークを付けられる農産物や加工食品にしか使えません。販売する商品に付ける表示の決まりですが、動画のテロップや説明文でも同じ言葉にそろえておくと、店頭の表示と食い違いません。

「無農薬」って言いたくなる気持ちは分かるんです。でも決まりで使わない言葉なので、作業のほうで見せましょう。
言葉で言い切れないときほど、草取りの手間や、防虫ネットを張る作業そのものを映します。どう育てたかは、画で伝わります。
畜舎や加工場で撮るときの注意
畜産農家の場合、撮影には別の決まりがかかります。家畜伝染病予防法にもとづく「飼養衛生管理基準」で、農場は衛生管理区域とそれ以外に分けられ、必要のない人の立ち入りは制限されています。同じ日にほかの畜産関係の施設に立ち入った人や、1週間以内に海外から入国・帰国した人は、必要がある場合を除いて区域に入れないことにもなっています。
外から撮影の人を呼ぶなら、区域の外で撮れる画(牧草、出荷を待つ車、作業着に着替える場所)を中心に組み、区域の中は農場の人がスマホで撮る、という分け方が現実的です。迷うときは、管轄の家畜保健衛生所に相談します。
味噌や漬物、菓子などの加工所では、帽子や白衣、手袋をしていない姿が映らないように、撮る日を作業の段取りと合わせて決めておきます。食べものを扱う現場は、身なりの一コマで信頼が変わります。
生産者の発信を、HEART CREATIONと
生産者の動画は、農作業の合間に撮れる形を作れるかで続くかが決まります。HEART CREATIONでは、こんなところからご一緒しています。
- 作業の暦から、食べる人への一言を添えた企画と台本を考える
- 畑や作業場での撮影と編集を同じチームで引き受ける(撮影は出張で全国対応)
- 企画の型と撮影の手順を渡して、生産者が自分で撮れるようにする内製化の支援
追う数字は再生数ではなく、直売所への来店や予約・注文の件数です。サービス一覧もご覧ください。

畑で手が空いた5分に、スマホで1本。それくらいの軽さで続けるのが、生産者の発信にはちょうどいいんです。
よくある質問
農家のインスタやTikTokでは、何を投稿すればいいですか?
毎日の作業に「なぜやるか」と「食べるときに何が違うか」を一言添えた動画がおすすめです。わき芽かきや選別のような地味な作業も、理由が分かると見る人にとって新しい情報になります。
農薬を使っていない野菜を「無農薬」と書いてもいいですか?
農林水産省の特別栽培農産物の表示ガイドラインでは、「無農薬」は使わない表示とされています。「農薬:栽培期間中不使用」のように表し、育て方は作業の様子で伝えるのが確実です。
有機JASの認証がなくても「オーガニック」と言えますか?
販売する農産物や加工食品に「有機」「オーガニック」と表示できるのは、有機JASの認証を受けて有機JASマークを付けられるものに限られます。認証がない場合は、どんな育て方をしているかを具体的に説明します。
牛舎や鶏舎の中で撮影してもいいですか?
畜舎は飼養衛生管理基準の衛生管理区域にあたり、必要のない人の立ち入りは制限されています。外部の撮影者は区域の外で撮り、中の様子は農場の人が撮るなどの分け方を考え、迷ったら家畜保健衛生所に相談します。
不作や天候の被害を投稿すると、印象が悪くなりませんか?
待っている人には、遅れや量の変化を早めに知らせたほうが親切です。被害をそのまま映し、いつ分かるか、次に何をするかを添えれば、落ち着いた知らせとして受け取られます。
