うちの店の名前で、知らないアカウントがお客さんにDMを送っているみたいです。悪い書き込みも続いていて、どこから手をつければいいですか。

腹は立ちますけど、言い返すのは後回し。最初は画面を残すところからです。
店名とロゴを使った偽のアカウントが、お客さんに「当選しました」とDMを送る。口コミサイトや掲示板に、事実と違う悪評が繰り返し書かれる。接客した社員の名前を挙げて中傷する投稿が出てくる。どれも、自社の投稿に批判が集まる炎上とは違い、相手の姿が見えにくく、放っておくとお客さんに実害が出ます。
手をつける順番は決まっています。記録を残す。SNSや掲示板の運営に報告して、削除を求める。それでも止まらないときは、目的に合った窓口や専門家に相談する。相手に直接言い返したり、公式アカウントで犯人捜しをしたりするのは、どの場面でも避けます。
この記事では、なりすましと誹謗中傷に気づいたときの記録の残し方、運営への報告と削除の求め方、相談先の選び方を書きます。
この記事の要点
- 最初にやるのは、言い返すより画面とURLを残すこと
- なりすましは運営に報告し、本物の場所を知らせる
- 相談先は「消したい・責任を問いたい・身の危険」で選ぶ
炎上とは分けて考える
最初に、いま起きていることがどれに当たるかを分けます。
| 起きていること | 例 | まずやること |
|---|---|---|
| なりすまし | 店名とロゴを使った偽アカウントが、プレゼント当選のDMを送る | 運営に報告し、公式アカウントの場所を知らせる |
| 会社への誹謗中傷 | 「この会社は詐欺」など、事実と違う書き込みが続く | 記録して削除を求める。続くなら専門家へ |
| 社員個人への中傷 | 接客した社員の名前や写真を出して悪く言う | 本人任せにせず、会社として記録と相談を進める |
自社の投稿に批判が集まっているなら、それは炎上の対応です。落ち度がある部分への正当な批判にまで削除を求めると、かえって反発が大きくなります。批判・誤解・中傷の見分け方と初動は、こちらで書いています。
あわせて読みたいSNSで炎上してしまったときの初動。企業の対応手順と謝罪文の出し方見つけたら、まず記録を残す
運営への報告にも、相談先にも、弁護士にも、同じ記録を見せることになります。気づいた日のうちに、次の4つをそろえます。
- 01画面を保存する投稿やプロフィールを、日時が分かる状態で保存する。画面の撮影に加えて、URLをコピーしてメモに貼っておく
- 02IDを控える表示名はすぐ変えられるので、@から始まるユーザー名とプロフィールのURLを控える
- 03起きたことを書き留める偽のDMを受け取ったお客さんからの連絡、問い合わせ、キャンセルなどを日付つきで残す
- 041つの表にまとめる見つけた日・場所・URL・中身・報告した日・運営の返事を、1件1行で並べる
相手にDMで抗議したり、コメント欄で反論したりするのは控えます。相手に気づかれて投稿を消されると、記録が取れなくなります。言い合いの画面がさらに広まることもあります。
例えば、地方の洋菓子店をまねた偽アカウントが「ケーキ券が当たりました。こちらから受け取りを」とリンク付きのDMを送っていたとします。お客さんから「これ本物ですか」と電話が来たら、その日時と中身も記録に入れます。お客さんに届いた被害の記録は、運営に報告するときの大事な材料になります。
なりすましは、報告と「本物はここ」の告知を同時に
各SNSには、プロフィールの「報告」からなりすましを知らせる入口があります。Xは、本人やブランドを詐称するアカウントについて、本人か正式な代理人がヘルプセンターから報告でき、そのためのXアカウントは要らないと案内しています(2026年10月時点)。関係のない人も、そのアカウントのプロフィールから報告できます。社員や常連のお客さんに「見つけたら報告してほしい」と頼むのも一つの手です。
報告と並行して、自社の側でも知らせます。
- 公式アカウントで「当店の公式アカウントはこの1つだけです」と投稿し、固定しておく
- 「当店からDMで当選のご連絡はしません」と、連絡の手段をはっきり書く
- 自社サイトに、各SNSのユーザー名を文字で載せる
偽アカウントは、本物と1文字だけ違うユーザー名を使うことがよくあります。アイコンや表示名では見分けがつかないので、ユーザー名を文字で示しておくと、迷ったお客さんが確かめに行けます。

「うちからDMで当選の連絡はしません」と先に言っておく。それだけで、迷った人が確かめに来られる場所ができるんです。
誹謗中傷は、削除を求める窓口へ
書き込みがサービスの規約に反するなら、まずそのサービスの報告機能を使います。
2025年4月1日に、プロバイダ責任制限法を改正した「情報流通プラットフォーム対処法」が施行されました。総務省が指定した大規模なサービスの事業者には、削除の申し出を受ける窓口を整えて公表することなどが義務づけられています。総務省の省令・ガイドラインでは、申し出を受けてから削除するかを判断して知らせるまでの期間を7日としています。指定された事業者にはGoogle・LINEヤフー・Meta・TikTok・Xなどがあり、各社が届け出た削除申出窓口の一覧は総務省のサイトで見られます。
申し出の文面には、どの書き込みか(URL)、どこが事実と違うのか、どんな被害が出ているのかを具体的に書きます。「ひどい書き込みです」だけでは判断の材料になりません。先にそろえた記録の表が、そのまま使えます。
なお、事実にもとづく不満や感想は、耳が痛くても中傷ではありません。消すことより、返信で事実を伝えるほうが、これから見る人の信頼につながる場合もあります。
相談先は、何をしたいかで選ぶ
自社だけで止められないときは、外の窓口を使います。警察庁も、誹謗中傷の相談先を目的ごとに分けて案内しています。
| したいこと | 相談先 | 中身 |
|---|---|---|
| 削除の頼み方を知りたい | 違法・有害情報相談センター(総務省の委託事業) | 削除依頼の方法などを無料で助言する。削除の代行はしない |
| 社員個人が中傷されている | 法務局の人権相談(0570-003-110) | 削除依頼の方法の助言。事案によっては法務局から削除を要請する |
| 書いた人に責任を問いたい | 弁護士・法テラス | 書いた人を特定する手続きや、損害賠償の請求 |
| 脅しや身の危険、業務への妨害がある | 警察(#9110、緊急なら110) | 犯罪に当たるかの相談と捜査 |
窓口によって、個人の被害を前提にしているところと、会社からの相談を受けるところがあります。会社名あての書き込みが対象になるかは、相談の最初に確かめます。
社員が名指しされたときは、本人に対応を任せません。記録も報告も相談も会社が引き受け、本人には「会社として動く」と最初に伝えます。

名指しされた社員は、本当にしんどいんですよ。ひとりで画面を見続けさせないでください。
落ち着いたあとの発信は、HEART CREATIONと
削除や法的な判断は、弁護士などの専門家へのご相談をおすすめします。そのうえで、ふだんの発信を立て直すところは、HEART CREATIONでも次の形でお手伝いしています。
- 企画・撮影・編集・運用を、同じチームでまとめて引き受ける
- 社内で回せるよう、企画の型・撮影手順・編集ルール・数字の見方を3〜6か月で渡していく
- 「何をすべきか分からない」段階のご相談も受けています(初回無料・オンライン60分可)
ご相談はこちらから受け付けています。

記録と報告が済んだら、あとは普段の投稿を淡々と。そこは一緒に回しましょう。
よくある質問
会社のなりすましアカウントは、自分で報告できますか?
できます。各SNSのプロフィールにある「報告」から、なりすましとして知らせます。Xは、本人か正式な代理人であれば、Xアカウントがなくてもヘルプセンターから報告できると案内しています(2026年10月時点)。
偽アカウントに、直接やめるよう連絡してもいいですか?
おすすめしません。相手に気づかれて投稿を消されると、記録が取れなくなります。記録を残して運営に報告し、自社の公式アカウントで本物の場所を知らせるほうが確実です。
書き込んだ人を特定することはできますか?
事業者に書き込んだ人の情報の開示を求める、裁判所の手続きがあります。書き込みの通信の記録はいつまでも残っているとは限らないので、考えるなら記録をそろえて早めに弁護士に相談します。
削除を申し出てから、どのくらいで返事が来ますか?
総務省が指定した大規模なサービスの事業者は、申し出から判断して知らせるまでを7日とするルールがあります。そのほかのサイトは、運営者によって対応が違います。
悪い口コミも削除を求められますか?
事実と違う内容や、規約に反する書き込みであれば、運営に報告や削除の申し出ができます。事実にもとづく感想や評価は消えないことが多いので、返信で事実を伝えるほうを考えます。
