来月、SNSの担当者が辞めることになりました。パスワードを聞いておけば大丈夫ですよね。

パスワードは引き継ぎのほんの一部なんです。残りの日数の使い方から決めましょう。
SNSの担当者が替わるとき、多くの会社は「ログインできるか」だけを確かめて終わります。ところが、交代して1か月ほどたってから困りごとが出てきます。広告が止まった、外部ツールに入れない、お客さんへの返事が抜けていた、以前のコラボ相手から「あの件どうなりました」と連絡が来た。原因はたいてい、ログインの外側にあります。
引き継ぐものは3つに分けて考えます。アカウントの名義と権限。進行中の仕事。そして、なぜそうしているかという判断の理由です。これを最終日の前に、新しい担当者が自分の手で一度回せる状態まで渡します。
この記事では、交代が決まってからの段取り、ログインの外側で抜けやすいもの、進行中の仕事の一覧の作り方、判断の渡し方を書きます。権限を外す手順など、乗っ取りを防ぐ話は別の記事で扱っています。
この記事の要点
- 引き継ぎは、最終日から逆算して段取りを組む
- 登録のメール・支払い・いちばん上の権限を会社側に移す
- 予約投稿や返事待ちのやり取りを、1件1行の一覧で渡す
交代が決まったら、最終日から逆算する
担当の交代が決まったら、最初に最終日を確かめて、そこから段取りを組みます。
- 01書き出す前任者が、持っているアカウント・つながっているツール・進行中の仕事を全部書き出す
- 02足す新しい担当者を、本人の名前とメールアドレスで各アカウントに追加する
- 03並走する新しい担当者が、投稿から返事、数字の記録までを一度通しで回す。前任者は横で見て、つまずいた所を一覧に書き足す
- 04移す登録のメールアドレス、支払い、いちばん上の権限を、会社や新しい担当者に移す
- 05外す最終日に、前任者の権限を外す
並走の期間は、少なくとも投稿のひと回りが入る長さを取ります。週に2本出しているなら、2本とも新しい担当者が出し、前任者がそれを見ている状態が理想です。手順を聞くのと、自分で一度やるのとでは、引っかかる場所の数がまるで違います。
最後の「外す」の手順は、乗っ取り対策の記事にまとめています。
あわせて読みたいSNS乗っ取り対策。会社のアカウントを守る二段階認証・権限・退職時の手順ログインの外側で、抜けやすいもの
ログインできても、次のものが前任者個人に残っていると、あとで止まります。
| 抜けやすいもの | よくある状態 | 引き継ぎでやること |
|---|---|---|
| 登録のメールアドレス・電話番号 | 前任者の個人のアドレスや携帯 | 会社のアドレスや電話に変える |
| いちばん上の権限 | 前任者だけが管理者・オーナー | 辞める前に、新しい担当者を同じ権限にする |
| 支払い | 広告費が前任者個人のカード | 会社の支払い方法に切り替える |
| 外部ツールの契約 | 予約ツールやリンクのまとめページが、前任者のアカウントで契約されている | 会社の名義で契約し直すか、持ち主を移す |
| 通知の行き先 | DMやコメントの通知が前任者のスマホにだけ届く | 新しい担当者の端末でも受け取れるようにする |
いちばん上の権限は、本人が辞めてからでは移せない場合があります。LINE公式アカウントでは、自分の権限を自分で変えることはできず、ほかに管理者がいなければ新しく管理者を追加する必要があります。Googleビジネスプロフィールでは、メインのオーナーは1人だけで、それを譲るには別のオーナーか管理者が1人以上いる必要があります(いずれも2026年10月時点)。前任者が在籍しているうちに済ませます。

広告費が前任者の個人カードで払われていた、なんてこともあるんです。辞めてから気づくと、止まるのは広告のほうで。
進行中の仕事を、1件1行の一覧にする
引き継ぎで抜けやすいのは、まだ終わっていない仕事です。前任者の頭の中にだけあるので、書き出してもらわないと見えません。
| 種類 | 例 |
|---|---|
| 予約済みの投稿 | 来週のキャンペーン告知、季節のお知らせ |
| 返事待ちのやり取り | 問い合わせのDM、コメントへの返事 |
| 相手との約束 | コラボ投稿の公開日、撮影させてもらったお客さんへの「公開したら連絡します」 |
| 期限のある素材 | 使える期間が決まった写真や音源、了解をもらった範囲 |
| 決まっている予定 | 毎年出している行事の投稿、取引先と合わせて出す告知 |
例えば、地域の工務店なら「完成見学会の告知が3本予約済み」「施主さんに公開前の確認を頼んでいる動画が1本」「設備メーカーとのコラボ投稿の日程調整中」といった行が並びます。1行ごとに、相手・期限・次にやることを書いておけば、新しい担当者はその一覧を上から片づけていくだけで済みます。
手順より、「なぜ」を渡す
投稿の作り方や確認の流れは、手順書があればそれで渡せます。手順書の作り方は別の記事で書いています。
あわせて読みたいSNS運用マニュアルの作り方。手順書の章立てと、古くしない更新のしかた手順書に残りにくいのは、判断の理由です。なぜ火曜に出しているのか。なぜあの言い回しをやめたのか。過去にコメント欄でもめたのは、どんな話題だったか。いつもコメントをくれる常連さんは誰か。並走の間に、新しい担当者が「これはなぜですか」と聞き、答えを一覧の横に書き足していきます。
人とのつながりも、引き継ぐものの一つです。コラボをしている相手や、よくやり取りをする取引先には、新しい担当者から一言あいさつを送っておきます。担当者の顔や名前が出ていたアカウントなら、交代を知らせる投稿を出すかどうかも決めておきます。

コラボ相手には、新しい担当から「今後はわたしが担当します」と一言。それだけで関係が途切れずに済みます。
交代した月は、数字の記録にも印をつけておきます。口調や投稿の曜日が変われば、数字も動きます。あとで見直すとき、交代の影響なのか中身の影響なのかを分けて考えられます。
担当が替わっても回る形を、HEART CREATIONと
担当者が替わるたびに一からやり直しにならないよう、型と判断の理由を社内に残していくのが近道です。HEART CREATIONでは、次の形でお手伝いしています。
- 社内で回せるよう、企画の型・撮影手順・編集ルール・数字の見方を3〜6か月で渡し、関与を減らしていく
- 企画・撮影・編集・運用を、同じチームでまとめて引き受ける
- 「何から手をつければいいか分からない」段階のご相談も受けています(初回無料・オンライン60分可)
ご相談はこちらから受け付けています。

引き継ぎで迷ったら、新しい担当の方と一緒にお話を聞かせてください。
よくある質問
SNSのアカウントが、前任者の個人のメールアドレスで登録されていました。どうすればいいですか?
前任者が在籍しているうちに、アカウントの設定から登録のメールアドレスと電話番号を会社のものに変えてもらいます。二段階認証のコードの受け取り先も、あわせて会社側に移します。
SNSの引き継ぎ期間は、どのくらい必要ですか?
新しい担当者が、投稿から返事、数字の記録までを一度自分で通せる長さが目安です。週に何本出しているかで変わるので、日数より「ひと回り自分でやったか」で区切ります。
担当者が替わったことは、フォロワーに知らせるべきですか?
担当者の名前や顔を出して発信していたなら、知らせたほうが自然です。会社として発信していて担当者が表に出ていないなら、無理に知らせなくてもかまいません。
前任者がすでに辞めていて、ログインできないアカウントがあります。
連絡が取れるなら、協力をお願いして登録情報や権限を移してもらいます。取れない場合は、各SNSのヘルプにあるログインできないときの手続きを確かめます。いちばん上の権限を会社の複数人で持っておけば、同じことは防げます。
運用を任せていた会社から、社内の担当者に戻すときも同じですか?
同じ考え方で進めます。名義・権限・支払いが自社に移っているか、予約済みの投稿や返事待ちのやり取りがないかを一覧にして、並走の期間を取ってから切り替えます。
