チラシに「地域No.1」「今だけ半額」って大きく入れたいんです。これ、言っちゃって大丈夫ですか?

落ち着いて大丈夫です。全部が駄目なわけじゃなくて、事実より盛った所だけが問題になるんですよ。
広告の文言を考えていると、「これは言いすぎかな」と手が止まる場面があります。逆に、競合のチラシが強い言葉を並べているのを見て、うちももっと言わないと負ける、と感じることもあるはずです。
線を引いているのは、主に景品表示法です。ざっくり言えば、品質や中身を実際よりよく見せる表示(優良誤認)と、値段や条件を実際よりお得に見せる表示(有利誤認)を禁じています。強い言葉そのものが駄目なのではなく、事実と離れているかどうかが問われます。
この記事では、消費者庁の説明に沿って、2つの不当表示の中身と、中小企業や店舗の広告で迷いやすい「No.1」「通常価格」「小さな注意書き」の扱いを整理します。健康食品や化粧品に特有の決まり(薬機法)と、ステマ規制は別の記事で扱います。
この記事の要点
- 禁じられているのは、事実より「よく」「お得に」見せる表示
- 効果をうたうなら、先に根拠の資料をそろえる
- 例外や条件は、強調した言葉のすぐそばに書く
景品表示法が止めているのは、事実より盛った表示
正式な名前は「不当景品類及び不当表示防止法」です。事業者が自社の商品やサービスについて行う表示を対象にしていて、チラシ、ホームページ、SNSの投稿、動画広告、店頭のPOPまで、媒体を問いません。
不当表示は、大きく次の3つに分かれます。
| 種類 | 何について | ひと言でいうと |
|---|---|---|
| 優良誤認表示(第5条第1号) | 品質・規格・内容 | 実際や他社より、著しく良く見せる |
| 有利誤認表示(第5条第2号) | 価格・取引条件 | 実際や他社より、著しくお得に見せる |
| 指定告示による表示(第5条第3号) | 内閣総理大臣が指定したもの | ステマなど、上の2つで拾いにくいもの |
ここでいう「著しく」とは、世の中で許される程度の誇張を超えて、お客さんの選択に影響するほど、という意味だと消費者庁は説明しています。また、わざとではなく、うっかり間違えた表示も対象になります。3つ目のうちステマについては、別の記事で詳しく書いています。
あわせて読みたいステマ規制とPR表記の書き方。広告主が押さえる線引きと表示の位置優良誤認。品質や中身を、実際よりよく見せる
消費者庁が挙げる例には、カシミヤが8割ほどのセーターに「カシミヤ100%」と書く、ブランド牛ではない国産牛を有名ブランド牛として売る、といったものがあります。
中小企業の広告に置き換えると、次のようなものが当たり得ます。
- 地元の工務店が「全棟、職人歴20年以上の大工が施工」と書いたが、実際は外部の若手に任せている現場もある
- 洋食店が「国産牛100%ハンバーグ」とうたったが、輸入牛を混ぜている日がある
注意したいのは、効果や性能をうたうときです。消費者庁は、表示の裏づけとなる「合理的な根拠を示す資料」を、期間を定めて出すよう求めることができます。出せなかったり、根拠として認められなかったりすると、その表示は優良誤認表示とみなされます(不実証広告規制)。
つまり、「たぶん本当だから」では通りません。効果をうたう言葉は、根拠の資料を先にそろえてから書く。資料がないなら、その言葉は使わない、と決めておくのが安全です。
有利誤認。値段や条件を、実際よりお得に見せる
こちらは値段や条件の話です。よく問題になるのが、元の値段と並べて安さを見せる「二重価格表示」です。
消費者庁の価格表示の考え方では、「通常価格」などとして比べる値段が、最近相当期間にわたって実際に売っていた値段でなければ、不当表示に当たるおそれがあるとされています。目安として、セールを始める前の8週間のうち過半の期間その値段で売っていたかどうか、といった基準が示されています。一度も売ったことのない値段を「通常価格」として並べるのは、典型的な有利誤認です。
ほかにも、次のような表示が問題になり得ます。
- 元の値段を書かずに「今なら半額」とだけ書くが、実際は半額といえない
- 「今月末まで」と書きながら、毎月同じ値引きを続けている
- 閉店の予定が決まっていないのに、長く「閉店セール」を続ける
- 「他社の2倍の量」とうたったが、実際は同じくらいの量だった

一度も売っていない「通常価格」から値引いて見せるやり方。これだけは、さすがに見過ごせないんです。
「No.1」「満足度◯%」と、小さな注意書き
「No.1」は、中小企業の広告でも見かけるようになりました。消費者庁は2024年9月26日に「No.1表示に関する実態調査報告書」を公表し、特に、実際に使ったわけではない人の印象を聞いた調査で「満足度No.1」などとうたう表示に、問題があり得ると指摘しています。
報告書では、比べる相手から主要な商品を外した調査や、ネット検索で上位に出た商品だけを比べた調査は、合理的な根拠とはいえない例として挙がっています。「医師の◯%が推奨」のような割合の表示も、同じように考えるとされています。調査会社に任せきりにせず、誰に、何と比べて、何を聞いた調査なのかを、広告主が自分で説明できる状態にしておくことが前提です。

広告を出したあとで、No.1の根拠の資料を探し回るのは本当にぐったりします。出す前に手元にそろえておきましょう。
もう一つが、強調した言葉に添える小さな注意書き(打消し表示)です。「工事費込み」の横の「※一部地域を除く」のようなものです。消費者庁の整理では、文字の大きさ、強調した言葉とのバランス、置き場所、背景との見分けやすさなどから、見る人が気づけて読めるかが判断されます。動画なら表示される時間、スマホなら強調した言葉との距離も見られます。
体験談に「※個人の感想です」と添える表示についても、消費者庁の調査では、注意書きに気づいても「だいたいの人に効果がある」という受け止め方はほとんど変わらないと考えられる、とされています。注意書きで打ち消すのではなく、強調する言葉のほうを事実に合わせるのが筋です。
出す前の確かめ方と、違反したときのこと
広告を出す前に、次の順で見直すと抜けが減ります。
- 01印をつける大きな文字、数字、「最も」「No.1」「必ず」など強調した言葉に印をつける
- 02根拠を並べる印をつけた言葉ごとに、裏づけの資料を横に置く
- 03値段を確かめる比べている元の値段が、実際に売っていた値段か確かめる
- 04条件を寄せる例外や条件を、強調した言葉のすぐそばに読める大きさで書く
- 05スマホで見る動画は止めずに読めるか、スマホの画面で条件が見えるか確かめる
違反と判断されると、消費者庁から措置命令を受け、内容が公表されます。優良誤認と有利誤認は、対象商品の売上額の3%の課徴金がかかる場合もあります。2024年10月1日に施行された改正では、事業者が自ら直す計画を出す「確約手続」ができた一方、故意の優良誤認・有利誤認には罰則(直罰)が設けられました。
広告代理店に作ってもらった広告なら、責任は代理店のほうですよね?
景品表示法で問われるのは、自社の商品やサービスについて表示する事業者、つまり広告主の側です。誰が文言を書いたかより、誰の商品の広告かで考えます。任せた広告も、出す前に自社で目を通してください。
言える範囲で、ちゃんと伝わる広告を作ります
HEART CREATIONでは、広告の企画・制作から配信、行き先のLPまでを同じチームで引き受けています。
- 盛らずに伝わる言い方を、お客さんの言葉から探す
- 強調する数字や言葉に、根拠の資料があるかを制作の段階で確かめる
- 条件や注意書きを、動画とLPの両方で読める位置に置く
表現が法的に問題ないかの最終判断は専門家の領域ですが、「強く言えない分、どう見せるか」の相談なら、早い段階からどうぞ。初回のご相談は無料で、オンライン60分でも承ります。

迷う言葉があったら、出す前に一度見せてください。言い換えの案を一緒に考えますね。
よくある質問
広告に「業界No.1」と書いてもいいですか?
客観的な調査で、事実として裏づけられていれば書けます。ただし、比べる相手を都合よく選んだ調査や、実際に使っていない人の印象を聞いた調査では、根拠として認められない可能性があります。いつ、誰に、何と比べた調査かを広告主が説明できることが前提です。
「通常価格」と書いて値引きするときは、何に気をつければいいですか?
比べる値段が、最近相当期間にわたって実際に売っていた値段でないと、有利誤認に当たるおそれがあります。消費者庁の考え方では、セール前の8週間のうち過半の期間その値段で売っていたか、などが目安とされています。売った実績のない値段を並べるのは避けてください。
「個人の感想です」と書けば、体験談を広告に載せてもいいですか?
注意書きがあっても、見る人の「だいたいの人に効果がある」という受け止め方はほとんど変わらないと考えられています。体験談を載せるなら、実際の効果に合ったものを選び、都合のよい声だけを並べないようにします。
景品表示法は、小さなお店や個人事業主にも関係しますか?
関係します。会社の規模に関係なく、商品やサービスを売る事業者が自社について行う表示が対象です。チラシやSNSの投稿、店頭のPOPも含まれます。
