企画は広告代理店、撮影は制作会社、投稿は社内で回しています。動画はきれいなのに、問い合わせが増えないんです。

動画だけ見ると、ちゃんとしてるんですよね。ずれてるのは、たいてい担当と担当のつなぎ目なんです。
SNSの動画を始めるとき、企画は広告代理店、撮影と編集は映像の制作会社、投稿とコメント返信は社内の担当者、というふうに仕事を分けることがよくあります。得意な相手にそれぞれ頼むのだから、いちばん良いものができるはず。そう考えるのは自然です。
ところが実際には、一つひとつの仕事はきちんとしているのに、全体としては成果につながらないことがあります。企画書の狙いが撮影の現場で別の意味に変わる。投稿したあとの数字が、企画した人に戻らない。ずれは、担当と担当のつなぎ目で起きます。
分業そのものが悪いわけではありません。困るのは、全体を見ている人が誰もいない状態です。この記事では、代理店・制作会社・運用代行がそれぞれ何を受け持つのか、分業で起きやすい4つのずれ、分業のまま続けるときにずれを減らす決めごとを順に書きます。
この記事の要点
- 分業のずれは、担当と担当のつなぎ目で起きる
- いちばん抜けやすいのは「数字を企画に戻す」道
- 分けて頼むなら、全員が同じ1枚と同じ数字を見る
代理店・制作会社・運用代行は、何を受け持つのか
まず、よく名前の出る3つの頼み先を整理しておきます。引き受ける範囲は会社ごとに違うので、一般的な分け方として見てください。
| 頼み先 | 主に受け持つこと | 得意なこと | 見えにくくなること |
|---|---|---|---|
| 広告代理店 | 企画の取りまとめ、媒体の選定、広告の出稿 | 広告の配信と予算の割り振り | 制作を外に出すと、撮る現場との距離が開く |
| 映像の制作会社 | 撮影、編集、仕上げ | 画づくり、映像の品質 | 公開したあとの数字 |
| SNS運用代行 | 投稿、コメント対応、数字の報告 | 続けること、日々の運用 | 企画や撮影を大きく変えること |
右の列を並べると、どこか一か所が抜けているのではなく、それぞれの「その先」が少しずつ見えにくくなっているのが分かります。代理店は広告の数字に、制作会社は映像の仕上がりに、運用代行は投稿を続けることに責任を持ちます。その結果、問い合わせや来店といった会社の数字には、誰も最後まで責任を持たない形になりがちです。
分業すると起きる、4つのずれ
例えば、郊外の学習塾が春の生徒募集のために動画を作るとします。企画は代理店、撮影と編集は制作会社、投稿は塾の事務の方、という分け方です。
1. 言葉の中身が、渡すたびに変わる
企画書には「親しみやすい塾の雰囲気を伝える」と書かれていました。企画した人の頭にあったのは、先生が生徒の質問に笑って答える場面です。ところが撮影の現場では、明るい教室で先生と生徒が並んで笑う、集合写真のような画になりました。どちらも「親しみやすい」です。言葉だけで渡すと、受け取った人は自分の経験で中身を埋めます。
2. 撮った素材が、あとで足りなくなる
公開してから「冒頭を変えた版も試したい」となっても、別の入口に使える画が撮られていなければ、試せる案は限られます。撮る人が、あとで何パターン作るのかを知らないまま撮ると、こうなりやすいです。
3. 数字が、企画した人に戻らない
投稿後の数字を見るのは事務の方で、報告する相手は塾長です。どの動画のあとに体験授業の申し込みが来たのかは、代理店にも制作会社にも届きません。次の企画は、前の結果を知らないまま作られます。分業の問題の中で、これがいちばん見えにくく、あとから効いてきます。
4. 動画とページで、約束がずれる
動画では「苦手な1教科から始められる」と言っているのに、タップした先のページは総合コースの案内から始まる。動画を作る人とページを作る人が別だと、こうしたずれが起きます。そろえ方は別の記事で書きました。
あわせて読みたい動画とLPの訴求をそろえる。タップした人を迷わせないつなぎ方
撮る側も、あとで何に使われるか知ってると撮り方が変わるんです。1カット多く押さえるだけで、選べる案が増えますから。
全体を持つ人がいないと、直せない
4つのずれは、どれも担当者の手抜きではありません。それぞれが自分の範囲で正しく仕事をした結果です。厄介なのは、ずれに気づいても、誰が直すのかが決まっていないことです。
問い合わせが増えないとき、代理店は「映像の見せ方を変えては」と言い、制作会社は「広告の届け先を見直しては」と言い、社内は「もう少し続けてみては」と言う。どれも一理あります。でも、全体を見てどれから手を付けるかを決める人がいないと、結局どれにも手が付かないまま月が変わります。
しかも、意見をまとめる役は、たいてい社内の担当者に回ってきます。3社の言い分を聞いて、上の人に説明して、また3社に返す。動画を良くするための時間より、伝言のための時間のほうが長くなっていきます。

三者三様の意見をまとめる係、これがいちばん疲れるんですよ。担当の方がぐったりしちゃいます。
分けて頼んだまま、ずれを減らす決めごと
頼み先をすぐには一つにまとめられないこともあります。その場合は、つなぎ目に次の3つを置くだけでも、ずれはかなり減ります。
- 011枚の企画メモ誰に・何を約束するか・追う数字・タップした先、の4つを書き、全員が同じものを見る
- 02言葉より見本「親しみやすい」のような言葉には、参考の動画や写真を1つ添えて渡す
- 03数字の戻り道追う数字を全員が見られる場所に置き、2週間ごとの振り返りに作り手にも入ってもらう
なかでも効くのは3つ目です。撮影や編集をした人が、どの動画のあとに申し込みが来たのかを知っているだけで、次の企画の当たり方が変わってきます。
もう一つ、ずれたときに「どれから直すか」を決める人を、社内か頼み先のどこかに1人置きます。決める人がいれば、意見が割れても止まりません。運用代行に頼むとき、担当の体制をどう確かめるかは別の記事にまとめています。
あわせて読みたいSNS運用代行に頼む前に決めておくこと。任せる範囲と業者の見極め方分業が向く時期もあります。追う数字と企画の型がもう固まっていて、同じ型で作る本数を増やしたいときです。反対に、何が当たるかまだ分からない立ち上げの時期は、試して直す回数が多いぶん、つなぎ目が少ないほうが速く回ります。
企画から計測まで、同じチームでお手伝いできること
HEART CREATIONは、企画・撮影・編集・運用・広告・LP制作・LINEまでを、同じチームで引き受けています。分業しないのは、ここで書いたつなぎ目のずれを作らないためです。
- 最初に、再生数ではなくその先の数字(申し込み・来店・応募など)を一緒に決める
- 入口を変えた複数のパターンを同時に出し、2週間で結果を見て寄せていく
- 動画で伝えたことをLPの一行目に置き、計測の仕組みまで含めて組む
当社の社名の考え方を描いた企業漫画『感動をデザインする』も、追う数字を先に決め、撮り方を変え、LPまで直していく一つの流れを物語にしたものです。「今の体制のどこでずれているのか分からない」という段階のご相談でも構いません。サービスの内容はこちらにまとめています。

分けないのは、つなぎ目を作らないためなんです。最後の数字まで、同じ顔ぶれで見ます。
よくある質問
広告代理店と制作会社の違いは何ですか?
一般に、広告代理店は広告の企画や媒体の選定、出稿といった「届ける」側を、制作会社は撮影や編集といった「作る」側を受け持ちます。ただ、どちらも引き受ける範囲は会社ごとに違うので、何をどこまでやるのかを見積もりの段階で確かめてください。
動画を代理店に頼むと、実際に撮影や編集をするのは誰ですか?
代理店が自社で作る場合も、外の制作会社に頼む場合もあります。誰が撮影と編集をするのか、企画した人が撮影の場に立ち会うのかを、最初に聞いておくと安心です。
企画・撮影・運用を別々の会社に頼んでも、成果は出ますか?
出ることはあります。全員が同じ企画メモと追う数字を見て、投稿後の数字が企画する人まで戻る仕組みがあれば、分けて頼んでも回ります。
1つの会社にまとめて頼むと、困ることはありますか?
その会社の得意・不得意が、そのまま全体に出やすくなります。追う数字は自社で決め、定期的にその数字で見直す場を持っておけば、偏りに気づけます。
分けて頼んでいる今の体制を、途中から一本化できますか?
できます。切り替える前に、過去の動画の元データ、企画書、数字の記録を手元に集めておくと、それまでの結果を次の企画に生かせます。
