来月の自社セミナーを撮影して、あとで動画にしたいんです。カメラを1台置いておけば足りますか?

カメラを置く前に、決めておくことがあるんですよ。撮る日より、その前の段取りで仕上がりが決まります。
セミナーや講演を撮っておけば、来られなかった人にも届けられ、あとから何度でも使えます。そう考えて、会場の後ろにカメラを1台置いて回しておく。よくある始め方です。
ところが、その録画をいざ編集しようとすると、問題が次々に出てきます。講師の声が会場の反響で聞き取りにくい。スライドの文字が白く飛んで読めない。客席の顔がはっきり映っていて、そのままでは公開できない。講師に公開の了解を取っていなかった。どれも、撮ったあとでは直しにくいものばかりです。
この記事では、セミナー・講演を動画にするときに、撮る前に決めること、当日の収録、編集で組み直すところを、順に書いていきます。
この記事の要点
- 誰に見せるかで、了解の取り方と撮り方が変わる
- 映像より先に、音を確保する
- 本編は会場にいない人向けに組み直す
撮る前に決める3つ
1. 誰に見せるか
最初に決めるのは公開の範囲です。範囲によって、了解を取る相手も、映してよいものも変わります。YouTubeを使う場合の主な選び方は次のとおりです(2026年10月時点)。
| 公開の範囲 | 見られる人 | 向いている使い方 |
|---|---|---|
| 公開 | 誰でも。検索にも出る | 集客のための講演・会社紹介を兼ねた登壇 |
| 限定公開 | URLを知っている人 | 申込者・参加者へのアーカイブ配信 |
| 非公開 | 投稿者が指定したアカウントだけ | 社内研修・講師との確認用 |
限定公開のURLは、受け取った人がさらに他の人へ共有できます。参加者だけに届けたつもりでも、外へ広がることはあると考えておきます。
2. 講師と参加者の了解
講演そのものも、著作権法で「言語の著作物」の例として挙げられています(第10条)。外部の講師を招く場合は、録画すること、公開の範囲と期間、短く切り出して使ってよいかを、依頼の段階で書面にしておきます。
参加者には、申し込みのページと当日の冒頭の両方で、撮影していることと公開の範囲を知らせます。映りたくない人のために、カメラに入らない席を用意しておくと、当日の声かけが楽になります。
3. 投影する資料
スライドの中に、他の人が撮った写真やほかの会社の図表が入っていることがあります。会場で映すことと、動画にして公開することは別の話です。公開する版では差し替えるか、その場面を使わない前提で、事前に講師と資料を確認しておきます。
当日の収録は、音を最優先にする
講演の動画で、見る人が最後まで付き合ってくれるかを分けるのは、画質より音です。会場のスピーカーから出た声をカメラのマイクで拾うと、反響がまじって聞き取りにくくなります。
- 講師には、胸元に付ける小さなマイク(ピンマイク)を付けてもらう
- 会場に音響の設備があれば、そこから直接録音させてもらう
- 質疑応答では、客席の質問の声も録る。拾えないときは、講師に質問を言い直してもらう

言いにくいんですが、音が悪いと、映像がどれだけきれいでも最後までは見てもらえないんです。
映像は、カメラが2台あれば、講師とスクリーンが入る引きの画と、講師の表情に寄った画を撮り分けます。1台なら講師を中心に固定し、スライドは後から元のデータを差し込みます。スクリーンを撮った映像では文字がつぶれやすいので、スライドのデータは必ず事前にもらっておきます。
投影のために会場を暗くすると、講師の顔も暗くなります。講師の立つ位置にだけ光が当たるか、リハーサルの時点で確かめておきます。長時間の録画では、電源と記録の容量が途中で尽きないかも、開始前に見ておきます。
編集は、会場にいない人向けに組み直す
会場の録画をそのまま流すと、その場にいた人には分かることが、画面越しには伝わりません。編集では、会場にいない人が見る前提で組み直します。
- 削る:開始前の待ち時間、機材の不具合、休憩、会場の案内など、内容と関係のない時間
- 画面を組む:スライドが主役の場面はスライドを大きく、話が主役の場面は講師を大きく
- 補う:聞き取りにくい言葉や数字に字幕を入れ、質疑の質問は文字で出す
- 区切る:話の切り替わりで章を分け、見たいところへ飛べるようにする

休憩前の雑談まで全部残った動画、見る側はうとうとしちゃいますよ。思いきって削りましょう。
長い講演を動画にするとき、冒頭の数十秒で何を見せるかと、章の分け方は、YouTubeの最初の30秒の記事にまとめています。主催者のあいさつから始めず、この講演で何が分かるかを先に見せるのが基本です。
あわせて読みたいYouTube動画の構成は最初の30秒から。視聴維持率を上げる組み立て方1回の収録から、何を作るかも先に決める
講演の収録は、1回で何本分もの材料になります。ただ、何を作るかによって当日撮っておくものが変わるので、これも撮る前に決めておきます。
| 作るもの | 見る人 | 当日に必要なもの |
|---|---|---|
| 全編の記録 | 参加者・申込者 | 講演の全体と質疑 |
| 要点だけの短い版 | 次回の参加を迷っている人 | 話の山場と、会場の反応 |
| SNS向けの縦型の切り出し | まだ講師を知らない人 | 講師の顔に寄った画 |
縦型に切り出すなら、引きの画だけでは足りません。寄りの画を撮っておくことが、あとで効いてきます。切り出す場面の選び方は、別の記事で書いています。
あわせて読みたい長尺動画からショートを切り出す。選ぶ場面と縦に直す編集のコツ
質疑応答って、実はいちばんおいしい場面なんですよ。お客さんの本当の疑問が、そのまま入っていますから。
セミナーの動画化を、企画から引き受けます
HEART CREATIONでは、撮影の前の段取りから、編集、公開後の使い方までを同じチームで引き受けています(サービス一覧)。
- 公開の範囲に合わせた、講師・参加者への案内の文面づくり
- 音を優先した収録の組み立てと、当日の撮影(拠点は東京・横浜、撮影は出張で全国対応)
- 全編の記録・短い版・縦型の切り出しまで、使い道に合わせた編集
「とりあえず撮っておきたい」という段階でも、セミナーの前にご相談いただければ、撮れるものが大きく変わります。初回のご相談は無料です(ご相談はこちら)。

講師の方への了解の取り方から、一緒に考えます。開催日が決まったら、早めに声をかけてくださいね。
よくある質問
セミナーの撮影はスマホ1台でもできますか?
できますが、音だけは別に確保するのがおすすめです。スマホを会場の後ろに置くと講師の声が反響で聞き取りにくくなるため、講師の近くで録音するか、会場の音響設備から録らせてもらいます。スライドは撮った映像ではなく、元のデータを編集で差し込みます。
セミナー動画に参加者の顔が映ってもいいですか?
公開の範囲によります。申し込みのページと当日の冒頭で撮影と公開の範囲を知らせ、映りたくない人のために客席が映らない席を用意しておくと安心です。誰でも見られる形で公開するなら、客席を映さない撮り方にしておくのが無難です。
講師のスライドをそのまま動画に入れて公開していいですか?
講師の了解を取ったうえで、スライドの中身も確かめます。他の人が撮った写真やほかの会社の図表が入っている場合、会場で映すのはよくても、動画にして公開できるとは限りません。公開する版では差し替えるか、その場面を使わないようにします。
セミナーの録画は全編公開と限定公開のどちらがいいですか?
集客のために広く見てほしいなら公開、申込者や参加者へのアーカイブなら限定公開が向いています。ただし限定公開のURLは受け取った人がさらに共有できるため、外に出て困る内容は含めないようにします。
講演の動画は、何分くらいにまとめればいいですか?
全編の記録は、内容と関係のない時間を削ったうえで、講演の長さのままでかまいません。それとは別に、まだ参加したことのない人向けには、山場だけを集めた短い版を作ると、次回の申し込みの案内に使いやすくなります。
