来月のYouTube、何を撮るかで毎回会議が止まります。思いつきで出しても、続かなくて。

白い紙を囲んで「何かありますか」と聞き合う会議、つらいんですよね。あれは出ないのが普通です。
会社のチャンネルが止まるとき、足りないのはアイデアよりも出し方です。毎回ゼロから考えていると、思いついた話を撮って、次の月にまた同じ会議を開くことになります。
企画は、題材と見せ方の掛け算で候補を出し、決まった問いで絞り、シリーズという棚に並べる。この順番にすると、ひらめきに頼らず次の1本が決まります。
この記事では、ネタと企画の違い、候補の増やし方と絞り方、シリーズの組み方、毎月の企画会議の進め方を書きます。チャンネルの目的の決め方は、別の記事にまとめています。
あわせて読みたい企業のYouTubeは目的で作りが変わる。集客・採用・サポートの設計この記事の要点
- 話題だけでは企画にならない。相手と答えまで1行で書く
- 候補は題材×見せ方で増やし、4つの問いで絞る
- シリーズを棚にすると、次の1本で悩まなくなる
「ネタ」のままでは、撮影の日が来ない
「給湯器の話をしよう」はネタです。話題があるだけで、誰に向けて、何を見せて、どこで終わるのかが決まっていません。このまま撮影に入ると、説明が広がり、長いわりに何も残らない動画になります。
企画にするには、次の4つを1行に収めます。
| 項目 | 書くこと | 水回りリフォーム会社の例 |
|---|---|---|
| 誰の | 困っている人と場面 | 給湯器が10年を過ぎた家の人が |
| 問い | その人が知りたいこと | 修理か交換かを迷っている |
| 見せ方 | どんな画で答えるか | 外した古い機器を見せながら |
| 持ち帰り | 見終わって分かること | 交換を考える3つのサインが分かる |
続けて読むと、「給湯器が10年を過ぎた家の人に、外した古い機器を見せながら、交換を考える3つのサインを伝える」となります。1行で言えない話は、まだ撮らない。 書けないときは、たいてい問いが2つ混ざっています。その場合は2本に分けます。
候補は、題材と見せ方の掛け算で増やす
題材は、社内にすでにあります。お客さんによく聞かれること、よく誤解されること、現場の作業、扱っている商品。まず思いつくまま10個ほど書き出します。
次に、1つの題材に見せ方を掛けます。同じ題材でも、見せ方が変わると別の動画になります。
| 見せ方 | どんな動画か | 業務用厨房機器の卸なら |
|---|---|---|
| 質問に答える | 実際に聞かれたことを順に答える | 「中古の冷蔵庫はどこを見ればいいですか」 |
| 比べる | 2つを並べて違いを見せる | 新品と中古で、同じ箇所を並べて見る |
| やってみる | 実際に試して結果まで見せる | 開業する店の広さに機器を並べてみる |
| 現場に入る | ふだん見られない仕事についていく | 閉店した店から機器を引き上げる一日 |
| 失敗をほどく | よくある失敗の原因をたどる | 搬入の日に機器が入口を通らない理由 |
題材を10個、見せ方を5つ掛けると、候補は表の上で50通りになります。全部を撮るわけではありません。「こんな見せ方なら撮れそう」という案を拾うための作業です。

掛け算にすると、急に候補が増えるんですよ。「何かありますか」の会議より、ずっと楽しくなります。
検索される言葉から題材を決める方法は、YouTube検索の記事で扱っています。
あわせて読みたいYouTubeで検索から見つけてもらうには|会社のチャンネルの検索対策候補は、4つの問いで絞る
候補が並んだら、全員の好みで選ばず、同じ問いに答えていきます。
| 問い | 見ているところ | 「いいえ」のときは |
|---|---|---|
| お客さんが実際に聞いてきた話か | 社内の思い込みでないか | 営業や受付に一度聞いてみる |
| うちが話す理由があるか | 自社の現場や経験から語れるか | 自社の例を足す。足せなければ外す |
| 画で見せられるか | 話す人の顔以外に映すものがあるか | 見せ方を変える |
| 次の行動につながるか | 見た人が相談や見学に進む理由になるか | 行き先のある題材と組ませる |
4つすべてに「はい」と言える案から撮ります。「いいえ」が1つなら、右の欄で直せるかを見ます。2つ以上なら、その月は見送って候補の一覧に残します。時期が変わると使える案も出てきます。

社内で大盛り上がりの企画ほど、一度疑ってみてください。お客さんには内輪の話、ということがよくあるんです。
シリーズは、3つの棚で組む
1本ずつ企画を立てると、毎月また会議が必要になります。先にシリーズという棚を作っておくと、候補をどの棚に入れるかを考えるだけで済みます。
会社のチャンネルなら、まず次の3つの棚で考えると組みやすくなります。
| 棚 | 役割 | シリーズ名の例(社労士事務所) |
|---|---|---|
| 探される棚 | 悩みで検索する初めての人に届く | 「入社手続き、ここで止まる」 |
| 確かめられる棚 | 相談を考えている人が仕事ぶりを見る | 「相談が来てから解決までの流れ」 |
| 人が見える棚 | どんな人が相手をするのかを伝える | 「所員に聞く、この仕事の難しいところ」 |
最初から3つを同時に回す必要はありません。今の目的にいちばん近い棚を1つ選び、そこから始めます。
棚を決めたら、シリーズごとに次のことを書いておきます。
- 名前:見る人に、何のシリーズかが分かる言葉にする
- 毎回の形:最初の問い、途中の見せ場、終わり方をそろえる
- 話す人:誰が話し、誰が聞き手になるか
- 回数:まず何回で一区切りにするか
- 最初に出す回:いちばん多く聞かれる話を1本目にする
形がそろうと、撮影の準備も編集の手順も回を追うごとに軽くなります。作った動画は再生リストにまとめます。順番に見てほしいなら、YouTubeの「シリーズリスト」に設定できます。ただ、同じ動画を複数のシリーズリストには入れられないので(2026年10月時点)、棚をまたぐ動画は普通の再生リストのほうが扱いやすくなります。
見た人を次の回へ送る工夫は、別の記事に書きました。
あわせて読みたいYouTubeの再生回数が伸びないときは2本目を見る。シリーズと回遊の設計シリーズを始めても、3本くらいで話が尽きそうで不安です。

そこで尽きるなら、棚が狭いだけです。お題を先に10個書いてみてください。「次どうしよう」で眠れない夜が減りますよ。
書き出したお題が5個で止まるなら、シリーズの範囲を少し広げます。
月1回、企画会議を30分だけ開く
一度出して終わりにせず、候補の一覧を毎月少しずつ入れ替えます。会議の時間は短く決めたほうが続きます。
- 01先月の動画を見るどの棚の動画で、見られ方や問い合わせに違いが出たかを確かめる
- 02題材を足す営業や受付が聞いた質問を、前もって一覧に書き足しておいてもらう
- 03見せ方を掛ける新しい題材に見せ方を掛け、1行の企画を作る
- 044つの問いで絞る次に撮る本数の分だけ選び、残りは一覧に残す
- 05担当と日付を決める誰がいつまでに台本を書き、いつ撮るかまで決めて終わる
一覧は、誰でも開ける表計算の1枚で足ります。列は、棚・1行の企画・題材の出どころ・状態の4つくらいから始めます。出どころを書いておくと、「お客さんのこの質問から生まれた」とあとからたどれます。
AIに候補を出してもらう方法もあります。YouTube Studioの「インスピレーション」タブは2026年8月から順次終了し、アイデア出しには「Ask Studio」を使うようヘルプで案内されています(2026年10月時点。使える機能はチャンネルによって異なる場合があります)。出てきた案も、先ほどの4つの問いに通してから選びます。
企画の段階から、一緒に考えます
企画だけ決まらない、撮ってはいるのに次につながらない。どちらの場合も、最初に見直すのは1本の出来より、企画の組み方です。HEART CREATIONでは、次のことをお手伝いしています。
- 再生数ではなく、その先の数字(問い合わせ・応募など)を最初に決める
- 企画・撮影・編集・運用を、分業せずに同じチームで引き受ける
- 内製化の支援として、企画の型や数字の見方を渡し、関与を減らしていく

「何を撮ればいいか分からない」の段階で大丈夫です。題材のメモが数行あれば、そこから一緒に考えられます。
初回のご相談は無料で、オンラインで60分お話しできます。サービスの内容もあわせてご覧ください。
よくある質問
会社のYouTubeで話すネタがありません。何から探せばいいですか?
まず、営業や受付がお客さんからよく聞かれる質問を10個書き出してみてください。答えられる質問があるなら、それが題材になります。あとは見せ方を掛けて、1行の企画にしていきます。
企画はどのくらい先の分まで決めておくものですか?
次に撮る数本は担当と日付まで決め、その先は候補の一覧に残しておく形が扱いやすいです。先まで細かく決めすぎると、見られ方を見て直す余地がなくなります。月1回、一覧を入れ替えてください。
同業他社の人気企画をまねしてもいいですか?
見せ方の型を参考にするのは一般的ですが、構成や言い回しをそのまま写すのは避けてください。題材と事例は自社のものに置き換えます。自社の現場から語れない話なら、企画として外したほうが無難です。
企業のYouTubeのシリーズはいくつ作ればいいですか?
最初は1つで十分です。今の目的にいちばん近い棚を選び、形が固まって無理なく回るようになってから、2つ目を足します。同時にいくつも始めると、どれも途中で止まりやすくなります。
長い動画の企画とショート動画の企画は分けるべきですか?
分けて考えたほうが作りやすくなります。1行の企画の書き方は同じですが、ショートは問いを1つに絞り、長い動画は順を追って答える形が向きます。両方の配分は別の記事で書いています。
