3日かけて作り込んだ自信作だったんです。それが、いつもよりも見られなくて……。

3日かけた1本が空振りすると、泣きたくなりますよね。でも、外れるのは普通のことなんですよ。
ショート動画を始めたばかりの会社ほど、1本に時間をかけます。企画を練り、撮り直し、編集を何度も見直して、ようやく出した1本。ところが、思ったほど見られない。何が悪かったのか分からないまま、次の1本にまた時間をかける。この繰り返しで、担当者が疲れていきます。
どんな動画が見られるかは、出してみるまで分かりません。作った側が「これは強い」と思った案が外れ、軽い気持ちで作った案が伸びることもよくあります。だから、1本に全部をかけるのではなく、入口を変えた何本かを同じ時期に出し、反応を見て寄せていくほうが、答えに早く近づけます。
この記事では、1本勝負で何が起きるか、複数を「同時に」出す理由、1回の撮影で数本ぶんを撮る組み方、外れた案を社内でどう扱うかを書きます。広告の素材を何案作るかは別の話なので、ここでは普段の投稿を前提にします。
この記事の要点
- 1本勝負は、外れても当たっても理由が分からない
- 複数のパターンは、同じ時期に出して比べる
- 本編は共通にして、入口だけを撮り分ける
1本で当てにいくと、何が起きるか
作り込んだ1本で勝負すると、次の3つが起きやすくなります。
- 外れたときに、理由が分からない:比べる相手がいないので、冒頭が悪かったのか、テーマが悪かったのか見当がつかない
- 次が出なくなる:1本にかけた時間が長いほど、次の1本までの間が空く
- 当たっても、再現できない:何が効いたのか分からないので、同じように作っても次は伸びない
3つとも、根っこは同じです。1本だけでは、結果から何も学べません。
反対に、同じテーマで入口を変えた3本を出せば、少なくとも「3本の中でどれが見られたか」は分かります。テーマは同じなので、差は入口の違いから生まれたと読めます。外れた2本も、「この入口では止まらない」という答えを持ち帰ってくれます。

作った本人がいちばん推してた案が、3本の中で最下位。これ、本当によくあって笑っちゃいますよ。
「同時に」出す理由
複数のパターンを試すとき、1か月ごとに1本ずつ変えていく方法もあります。ただ、これだと比べられません。季節が変わり、世の中の話題が変わり、アカウントのフォロワーの数も変わるからです。1月に出したA案と2月に出したB案の差は、案の差なのか、時期の差なのか分かりません。
そこで、比べたい案は同じ時期の中で出します。HEART CREATIONでは、入口(フック)を変えた複数のパターンを同時に出し、2週間で結果を見て、反応の良い方向に寄せていくのを基本にしています。2週間あれば、投稿してすぐの数字の揺れがおさまり、案ごとの差が見えてきます。
見る数字も、出す前に決めておきます。ビューで比べるのか、プロフィールへの移動や保存で比べるのかで、勝つ案は変わることがあります。動画の先で増やしたい数字に近いものを選びます。2週間後にどう比べて次の仮説を立てるかは、別の記事にまとめています。
あわせて読みたい伸びる投稿の特徴は、伸びなかった投稿と比べて見つける。バズの理由の分析手順何を変えて、何を残すか
複数のパターンを作るといっても、全部を変えるわけではありません。変えるのは入口、残すのは本編と締めです。
例えば、地域の不動産会社が「一人暮らしの部屋探しで、内見のときに見る所」という動画を作るなら、本編の内容は同じまま、入口を3通りにします。
| 案 | 入口で呼びかける相手 | 最初の一言 |
|---|---|---|
| A | 春から一人暮らしを始める学生 | 「初めての部屋探し、内見でここを見ないと後悔します」 |
| B | 子どもの部屋探しを手伝う親 | 「お子さんの部屋、親が内見で見ておきたい3か所」 |
| C | 転勤の多い社会人 | 「転勤族が内見で必ず確かめる所」 |
本編と締めが同じなら、3本の差は入口から生まれたと読み取れます。案の数は、確かめたいことの数で決めます。最初は、この例のように「誰に呼びかけるか」だけを変えた3本くらいから始めると、結果を読みやすくなります。冒頭そのものの型は、別の記事で詳しく書いています。
あわせて読みたいショート動画の冒頭2秒で何を見せるか。フックの型と作り方1回の撮影で、3本ぶんを撮る
複数のパターンを出すと聞くと、3倍の手間がかかるように思えます。実際には、撮り方を工夫すれば、手間は大きく増えません。
- 01台本で入口を3つ書く本編と締めは1つ、冒頭の一言と最初の画だけを3通り用意する
- 02本編は1回撮る中身の部分は通常どおり撮影する
- 03入口だけ撮り足す同じ場所・同じ服装で、冒頭の一言を3通り続けて撮る
- 04編集は本編を共通にする本編と締めを1つ仕上げ、入口だけ差し替えて書き出す
入口だけの撮り足しは、本編の撮影に比べればわずかな時間で済みます。同じ日に撮っておけば、明るさや服装がそろい、入口以外の差も生まれません。

カメラを回したまま、言い出しの一言だけ変えて3回撮る。それで3本分の入口がそろいますよ。
気をつけたいのは、フォロワーには同じ本編が何度も流れることです。間を空けずに3本出すと、「同じ動画が続いている」と思われることもあります。数日おきに出す、間にほかの投稿を挟むといった工夫をします。Instagramのプロアカウントには、リールをまずフォロワー以外の人に見せて反応を確かめる「トライアルリール」という機能もあります(2026年10月時点、Instagramのクリエイター向けの案内による)。
外れた案を、社内でどう扱うか
複数のパターンを出すと、必ず外れる案が出ます。ここで社内の受け止め方が決まっていないと、続きません。外れた案を出したことが失敗として扱われると、担当者は次から無難な案しか出さなくなります。
出す前に、社内で次のことを共有しておきます。
- 3本のうち2本は外れる前提で出している
- 外れた案は「この入口では止まらない」という答えとして記録する
- 1本ごとの完成度より、2週間後に何が分かったかで評価する
当社が社名の考え方を描いた企業漫画でも、「バズらせて」という依頼に対して追う数字を先に決め、2週間で寄せていく場面を描いています(漫画はMEDIAに)。1本の出来ではなく、寄せていく過程に時間を使う、という考え方です。
1本目の完成度を上げすぎないことも、続けるコツです。最初の3本は、手間をかけすぎずに出し、反応の良かった方向の2回目で、撮影や編集に力を入れます。
複数パターンの企画から、HEART CREATIONで
HEART CREATIONでは、縦型動画の企画・撮影・編集・運用を同じチームで引き受けています(サービス一覧)。入口を変えた複数のパターンを同時に出し、2週間で結果を見て寄せていく進め方を、企画の段階から組み立てます。
- 動画の先で増やしたい数字を決め、比べる数字をそろえる
- 本編を共通にして、入口だけを変えた台本と撮影の段取りを作る
- 2週間ごとに結果を見て、次に寄せる方向と、止める案を決める
再生数を伸ばすこと自体が目的のご依頼は、お断りすることもあります。動画の先にある数字を一緒に決めるところから始めます。初回のご相談は無料で、オンライン60分でも承ります(ご相談はこちら)。

最初の3本、企画の段階から一緒に作ってみませんか。外れる案も、ちゃんと役に立ちますから。
よくある質問
同じ内容の動画を何本も出すと、しつこいと思われませんか?
間を空けずに続けて出すと、フォロワーには同じ動画が続いて見えることがあります。数日おきに出す、間にほかの投稿を挟むなどして、続けて流れないようにします。
ショート動画は、何パターン作ればいいですか?
確かめたいことの数で決めます。最初は「誰に呼びかけるか」など1つのことだけを変えた3本くらいから始めると、どの違いが効いたのかを読み取りやすくなります。
伸びない動画は、すぐに消したほうがいいですか?
投稿してすぐは数字が揺れるので、決めておいた期間が終わるまでは残しておきます。消してしまうと、ほかの案と比べられなくなります。外れた案も、次の企画の材料として記録しておきます。
少人数の会社でも、複数のパターンを作れますか?
作れます。本編は1回だけ撮り、冒頭の一言だけを3通り撮り足して、編集で差し替える形にすれば、手間は1本分から大きく増えません。
