撮るのはスマホしかないんですが、ちゃんとした機材がないと見劣りしますか。

落ち着いて大丈夫です。今のスマホなら、撮り方を少し変えるだけで見違えますよ。
縦型のショート動画を始めようとすると、カメラやマイクを揃えないといけないような気がしてきます。けれど、見る人が気にしているのは、画質の細かな差よりも「何が映っているか分かるか」「声が聞き取れるか」です。
実際、見づらい動画の原因の多くは、機材ではなく撮り方にあります。被写体が小さい、顔が暗い、声が反響している、画面が揺れている。どれも、スマホのままで直せることです。
この記事では、スマホだけで縦型動画を撮るときの基本を、画角・光・音・手ブレの4つに分けてまとめます。どの機材を買うかの比較はしません。台本の作り方は別の記事で扱っています。
この記事の要点
- 縦の画面は「寄り」で考え、下と右は空けておく
- 光は窓に向かって受け、背中に窓を置かない
- 声はスマホを口に近づけ、撮ったら必ず聞き直す
画角:縦の画面は「寄り」で考える
縦型の画面は、横に狭く、縦に長い形です。横向きの写真と同じ感覚で引いて撮ると、被写体が小さくなり、上下に何もない空間が広がります。縦の画面では、横向きのときより一歩寄るくらいがちょうどよくなります。
撮る画は、次の3つを使い分けると組み立てやすくなります。
| 画の種類 | 映すもの | 使いどころ |
|---|---|---|
| 寄り(アップ) | 手元、商品、料理の断面、表情 | 一番見せたい瞬間 |
| 中くらい | 人の胸から上、作業台の全体 | 話している場面、説明 |
| 引き | 店内、現場の全体、人の全身 | 場所や規模を伝える場面 |
例えば、花屋さんがブーケを作る動画なら、手元の寄りを中心に、合間に店先の引きを1カットだけ挟む。全部を引きで撮ると、何をしているかが伝わりにくくなります。
人を撮るときの位置
人を撮るときは、目の高さがスマホの画面の上から3分の1あたりに来るように構えます。真ん中に顔を置くと、頭の上が空きすぎて間延びして見えます。カメラの設定で格子線(グリッド)を表示できる機種なら、表示しておくと位置を合わせやすくなります。
画面の下と右は空けておく
ショート動画の画面には、投稿後に説明文やアカウント名、いいねなどのボタンが重なります。おおむね画面の下と右側です。商品のロゴや大事な手元が、そこに隠れないよう、被写体はやや上寄り・中央寄りに置いておくと安心です。

言いにくいんですが、ズームは使わないほうがいいです。画が粗くなるので、自分が近づいてください。
光:窓に向かって撮る
画質の差がいちばん出るのは、光です。同じスマホでも、明るい場所で撮った画はくっきりし、暗い場所で撮った画はざらつきます。
室内で撮るなら、昼間の窓の光を使うのが手軽です。撮られる人や物が窓のほうを向き、スマホは窓を背にして構えます。逆に、窓を背にした人を撮ると、外の明るさに合わせて顔が暗く沈みます。
| よくある状況 | 起きること | 直し方 |
|---|---|---|
| 窓を背にして話す | 顔が暗くなる | 向きを変え、窓に顔を向けてもらう |
| 天井の照明の真下 | 目の下や鼻の下に影が出る | 半歩ずらして、斜め前から光を受ける |
| 照明の色が混ざる | 肌の色がまだらに見える | 窓の光か室内照明か、どちらかに寄せる |
| 夜の店内 | 画がざらつく | 照明を足すか、明るい時間に撮り直す |
影が強いときは、白い紙やボードを、光と反対側から被写体に向けると、影がやわらぎます。飲食店で料理を撮るときにも使える方法です。
音:失敗に気づきにくいのは、映像より音
映像は撮っている最中に画面で確かめられますが、音はその場ではほとんど確かめられません。編集で聞いて初めて、エアコンの音や反響に気づくことがよくあります。
声を聞き取りやすくするための基本は、次のとおりです。
- スマホを口に近づける。離れるほど、周りの音や反響が大きくなる
- エアコン、換気扇、店内のBGMは、撮る間だけ止める
- 壁がむき出しの広い部屋より、カーテンや家具のある部屋で撮る
- 屋外では、風がマイクに直接当たらない向きに立つ
- 撮ったら、イヤホンで必ず聞き直してから次へ進む
話す人とスマホの距離をどうしても取りたい場面では、外付けのマイクを使うと声がはっきりします。どれを選ぶかより、まずは距離と周りの音を整えるほうが先です。

撮ったその場でイヤホンで聞く。これだけで、あとから撮り直す手間がぐっと減りますよ。
手ブレ:動かさない工夫を先にする
縦型の画面はスマホで見られるため、小さな揺れでも目につきます。手ブレを抑えるには、スマホを動かさないことと、動かすなら決めた動きだけにすることの2つです。
- 両手で持ち、脇を締める。片手撮りは揺れやすい
- 机や棚、壁にスマホや肘を当てて支える
- 固定して撮れる場面は、三脚やスタンドに立てる
- 歩きながら撮るときは、すり足でゆっくり動く
- パンするときは、体ごとゆっくり回す。手首だけで振らない
固定で撮れるものは固定で撮るのが基本です。料理の盛り付けや、職人の手元の作業は、スマホを動かさなくても、動いている手が十分に画面を動かしてくれます。
撮りはじめる前の確認
撮影に入る前に、次の順で確かめておくと、撮り直しを減らせます。
- 01レンズを拭く指の脂でにじむと、全体がぼんやりする
- 02縦に構える横に寝かせたまま撮りはじめていないかを確かめる
- 03通知を止める着信や通知で撮影が止まらないようにする
- 04空き容量を見る途中で保存できなくなるのを防ぐ
- 05試し撮りを見る10秒ほど撮り、画と音を再生して確認する
撮る中身を決める台本は、こちらの記事でまとめています。
あわせて読みたいショート動画の台本の書き方。冒頭のあとの構成と、表1枚の書式HEART CREATIONでお手伝いできること
スマホの撮影は、基本を押さえれば社内でも十分に続けられます。HEART CREATION では、次のようなお手伝いをしています。
- 企画から撮影・編集までを同じチームで引き受ける(撮影は全国へ出張します)
- 社内で撮り続けたい会社には、撮影手順や編集ルールを3〜6か月でお渡しし、関与を減らしていく
- 動画の先で増やしたい数字を最初に決め、何を撮るかをそこから決める
サービスの全体はこちらにまとめています。

まずは今日、窓の前で10秒だけ撮ってみてください。それだけで違いが分かりますから。
よくある質問
スマホで動画を撮るとき、画質の設定はどうすればいいですか?
一番高い設定を選ぶ必要はありません。高い設定ほどデータが大きくなり、空き容量や編集の負担が増えます。同じ動画の中で使う素材は、同じ設定で揃えておくことを優先してください。
インカメラとアウトカメラ、どちらで撮るべきですか?
一般的に、画質は背面のアウトカメラのほうが高い機種が多いです。自撮りで話すときは画面を見ながら撮れるインカメラが便利ですが、映りを優先するなら、三脚に立ててアウトカメラで撮る方法もあります。
縦型動画は、横で撮って縦に切り抜いてもいいですか?
できますが、切り抜くと画の一部しか使えないため、解像度が下がり、構図も窮屈になりがちです。最初から縦で使うと決まっている素材は、縦に構えて撮るほうがきれいに仕上がります。
室内で撮ると声が響いてしまいます。
壁や床が硬い部屋では、声が反響しやすくなります。スマホを口に近づける、カーテンや家具のある場所に移る、部屋の角を避けて撮る、といった工夫で和らぎます。
暗い場所で撮ると画面がざらざらします。どうすれば直りますか?
光が足りないと、スマホは明るさを補おうとして画にざらつきが出ます。照明を足すか、窓の光が入る時間帯に撮り直すのが確実です。暗いまま編集で明るくすると、ざらつきが目立ちやすくなります。
