アクセシビリティ対応が義務になったと聞きました。うちの小さな会社のサイトも、作り直さないといけないんですか?

特別な誰かのための作業じゃないんです。老眼の社長にも、日なたでスマホを見る人にも効くんですよ。
2024年4月に障害者差別解消法の改正が施行され、「ウェブアクセシビリティが義務になった」という話が広まりました。実際に義務になったのは、障害のある人から求めがあったときの「合理的配慮の提供」で、サイトをあらかじめ使いやすくしておくことは、今も努力義務です。
ただ、義務かどうかとは別に、読みにくいサイトは、障害のある人だけでなく、小さな文字が見えにくい年配の人、片手でスマホを見る人、音を出せない場所にいる人も遠ざけます。直す場所の多くは、作り直さなくても手を入れられます。
この記事では、法改正で変わったこと、基準の考え方、まず直したい5つの場所、自分でできる確かめ方を扱います。
この記事の要点
- 義務になったのは、求めがあったときの合理的配慮
- 色・画像・リンク・動画・フォームの5か所から直す
- キーボードだけ、読み上げだけで回って確かめる
2024年4月の改正で変わったこと
内閣府の説明をもとに、2つの言葉を並べるとこうなります。
| 合理的配慮の提供 | 環境の整備 | |
|---|---|---|
| 何をするか | 障害のある人から、困りごとを取り除いてほしいと求められたとき、負担が重すぎない範囲で対応する | 不特定多数の人に向けて、あらかじめ使いやすくしておく |
| 事業者の扱い | 2024年4月1日から義務 | 努力義務 |
| サイトでの例 | 「この案内を読み上げられる形でほしい」と言われ、文字にして送る | 最初から、画像に中身を説明する文字を付けておく |
求めがあったときは、一方的に断らず、話し合いで代わりの方法を探すことが求められています。求めが来てから慌てるより、ふだんから環境を整えておくほうが、結局は手間が少なく済みます。
基準としてよく使われるのは、日本産業規格のJIS X 8341-3:2016と、その元になった国際的な指針のWCAG(ウェブコンテンツ・アクセシビリティ・ガイドライン)です。達成の度合いはA・AA・AAAの3段階で、自治体などはAAを目標に掲げていることが多くあります。中小企業のサイトなら、まずは次の5か所から始めます。
まず直したい5つの場所
| 場所 | よくある状態 | 直し方 |
|---|---|---|
| 文字と背景の色 | 薄いグレーの文字、写真の上の白い文字 | 明るさの差を十分にとる。WCAGでは通常の文字で4.5対1以上が目安 |
| 画像 | 文字入りの画像に説明がない | 代替テキストに、画像が伝えている中身を書く |
| リンクとボタン | 「こちら」が並ぶ | 「料金表を見る」のように、行き先が分かる言葉にする |
| 動画 | 音声だけで説明している | 字幕を付け、要点を本文にも書く |
| フォーム | 入力欄の中に薄い文字で項目名 | 項目名を欄の外に出し、間違いは何がどう違うかを文字で示す |
色は、差の大きさに加えて、色だけで伝えないことも大事です。例えば、地域の整体院のサイトで、営業日カレンダーの休みの日を赤い色だけで示していると、色の見え方によっては区別がつきません。「休」と文字を添えれば、誰にでも伝わります。

薄いグレーの細い文字、おしゃれなんですけどね。日なたのスマホだと、すっと消えちゃうんですよ。
画像の代替テキストは、画面を読み上げる機能を使う人に、画像の代わりに読まれる文字です。「画像」「写真1」では何も伝わりません。営業時間やキャンペーンの中身を画像の中だけに書いているなら、本文にも文字で書きます。飾りのための画像は、代替テキストを空にして、読み飛ばされるようにします。

読み上げてみたら「画像、画像、画像」。これ、本当によくあるんです。
フォームの作りは、こちらで詳しく扱っています。
あわせて読みたい問い合わせフォームの離脱を減らす。項目の削り方と入力しやすい作り文字の大きさや、指で押すボタンの広さは、スマホで見やすくする作りと重なります。
あわせて読みたいスマホで見やすいサイトの作り方。モバイルファーストで組む考え方と直す場所もう1つ、見落とされやすいのが見出しです。読み上げを使う人は、見出しだけを順にたどって、ページの中身をつかむことがあります。文字を太く大きくしただけの「見た目の見出し」は、見出しとして読まれません。見出しは見出しとして設定し、大きな見出しから順番に並べます。
動画も同じ考え方です。字幕を付けるだけでなく、動画で話している要点を本文に数行書いておくと、音を出せない場所にいる人にも、読み上げを使う人にも届きます。
自分でできる確かめ方
専門のツールがなくても、ふだんの道具でかなりのことが確かめられます。
- 01キーボードだけで回るマウスから手を離し、Tabキーだけでメニュー・リンク・フォームを順にたどる。今どこにいるかの枠が見えるかを見る
- 02読み上げで聞くiPhoneのVoiceOverやAndroidのTalkBackをオンにして、トップページを聞いてみる
- 03拡大するブラウザで200%に拡大し、文字が重なったり切れたりしないかを見る
- 04色を抜く画面を白黒にして、色だけで伝えている所がないかを見る
- 05声を集める問い合わせの窓口に「見にくい所があれば教えてください」と一言添える
最初から全部を直そうとすると、手が止まります。見つかった所を、問い合わせや予約に近いページから順に直していきます。

コーヒー片手に、Tabキーだけで自社のサイトを回ってみてください。意外な所で迷子になりますよ。
読みやすいサイトづくりを、お手伝いします
- ご相談の中で、今のサイトを5つの場所と確かめ方に沿って一緒に見る
- 色・文字・代替テキストまで含めて組み立てる、サイトとLPの制作
- 縦型動画の字幕と、動画で伝えたことをページの本文にも書く作り
初回のご相談は無料で、オンライン60分でもお受けしています。サービスの一覧はこちらです。

一度で完璧じゃなくていいんです。直せる所から、1つずつ一緒にやっていきましょう。
よくある質問
ウェブアクセシビリティに対応しないと、罰則はありますか?
サイトをあらかじめ使いやすくしておく「環境の整備」は努力義務で、対応していないことそのものへの罰則が定められているわけではありません。ただ、障害のある人から求めがあったときの合理的配慮の提供は、事業者の義務です。
アクセシビリティを調べるチェックツールはありますか?
色の明るさの差を測るツールや、ページの問題を自動で洗い出すツールがあります。ただ、代替テキストの中身が合っているかは機械では判断しきれないので、読み上げやキーボードで人が確かめる作業と組み合わせます。
PDFで載せている資料も気にしたほうがいいですか?
読む人にとっては、PDFもページと同じ情報です。紙をスキャンしただけのPDFは読み上げられないので、大事な情報はページの本文にも文字で書いておきます。
アクセシビリティに配慮すると、デザインが地味になりませんか?
色の差や文字の扱いに決まりができるだけで、デザインの自由がなくなるわけではありません。色の組み合わせを最初に決めておけば、見た目と読みやすさは両立できます。
