取引先の資料をChatGPTに貼って要約させている社員がいて。これ、外に漏れたりしないんでしょうか。

貼った瞬間に漏れるわけじゃないです。ただ、出ていく道が思ったより多いんですよ。
生成AIに社外秘を入れてしまったら、それがほかの人の回答に出てくるのではないか。社員に使わせたいけれど、そこが心配で踏み切れない。よく聞く悩みです。
実際には、情報が外に出る道は「学習に使われる」以外にもあります。サービス側の人が会話を読む場合、共有リンクで誰でも見られる場合、外部のサービスに送られる場合。道ごとに、設定で閉じられるものと、入れ方でしか防げないものがあります。
この記事では、情報が出ていく道、入れてはいけない情報の考え方、ChatGPTとGeminiで最初に見直す設定、設定では防げない場面、入れてしまったときの動きを順に書きます。社内ルールの作り方そのものは別の記事にまとめています。
この記事の要点
- 漏れる道は学習だけでなく、人の確認・共有・外部連携もある
- 学習のオフや法人向けプランで閉じられる道は、先に閉じる
- 共有リンクや連携機能は、設定ではなく使い方で防ぐ
情報が外に出る道は、5つある
まず、入れた情報がどこへ行きうるかを並べます。
| 道 | 何が起きるか | 主な防ぎ方 |
|---|---|---|
| 学習 | 入力がモデルの改善に使われる | 学習のオフ、法人向けプラン |
| 人の確認 | 品質や不正の確認のため、サービス側の人が会話を読むことがある | 入れる情報を選ぶ、法人向けプラン |
| 共有リンク | リンクを知っている人なら誰でも会話を見られる | 共有前の確認、不要なリンクの削除 |
| 外部連携 | 連携したアプリや機能を通じて、別の会社に内容が送られる | 使う連携を決めて絞る |
| アカウント | 個人アカウントや共用アカウントで、会社が履歴を把握できない | 会社で契約したアカウントに限る |
「学習に使われない設定にしたから安心」と考えがちですが、閉じられるのは表の1行目だけです。残りの4つは、設定とは別に手当てが要ります。
入れてはいけないのは「取り返しがつかない情報」
何を入れないかは、「出てしまったら戻せないか」で考えると判断しやすくなります。
1つ目は、他人の情報です。お客様の名前や連絡先、相談の中身、写真。会社の持ち物ではないので、出てしまえば謝っても戻りません。個人情報保護委員会は2023年6月2日の注意喚起で、個人情報を入力するなら利用目的の範囲内か、学習に使われないかを確かめるよう求めています。
2つ目は、約束で守っている情報です。取引先から預かった図面や仕様書、秘密保持契約の対象になっている資料。契約の書き方によっては、外部のサービスへの入力そのものが約束に触れることがあります。
3つ目は、自社の未公開の情報です。発表前の新商品、価格の改定、採用や人事の話。漏れても法律の問題にはならなくても、商売の上では痛手になります。
4つ目は、ログインの情報です。パスワードや管理画面のURL、APIキーなど。文章の一部としてうっかり貼られやすいものです。
業種ごとの具体的な書き方や、名前を「Aさん」に置き換えてから貼るといった工夫は、社内ルールの記事で書いています。
あわせて読みたい生成AIの社内ルールの作り方。決める7項目と、守られる運用のコツ最初に見直す設定(2026年10月時点)
閉じられる道は、先に閉じておきます。よく使われる2つのサービスの公式の説明は、次のとおりです。
| サービス | 学習について | 人の確認・保存について |
|---|---|---|
| ChatGPT(個人向け) | 設定の「データコントロール」で「すべての人のためにモデルを改善する」をオフにすると、以後の会話は学習に使われない | 「一時チャット」は履歴に残らず学習にも使われず、30日で削除される |
| ChatGPT Business・Enterprise | 既定で、会社のデータを学習に使わない | 保存期間などは管理者側で決める部分がある |
| Gemini(個人のGoogleアカウント) | アクティビティを保存する設定がオンのとき、会話がサービスの改善に使われる | 人が会話を読むことがあり、Googleは機密情報を入れないよう案内している。設定をオフにしても最大72時間は保存される |
| Google Workspace の Gemini | 許可なく組織の外でのモデル学習に使わない | 許可なく人が内容を確認しない |
個人向けの設定は、一人ひとりが自分の画面で切り替えるものです。社員が10人いれば10回の作業が要り、全員がきちんとオフにしているかを会社から確かめる手段もありません。仕事で日常的に使うなら、法人向けのプランに寄せたほうが、会社として設定をそろえられます。
もう一つ、ChatGPTでは回答に「いいね」「よくないね」の評価を付けると、学習をオフにしていてもその会話が改善に使われることがあると案内されています。社外秘を含む会話では、評価のボタンは押さないと決めておくと安心です。

設定は一回やれば、あとは放っておいても効きます。だからこそ最初に5分だけ使ってください。
設定では防げない3つの場面
設定を整えても、使い方で情報が出ていく場面が残ります。
共有リンク
ChatGPTの共有リンクは、リンクを知っている人なら誰でも会話を見られます。同僚に見せるつもりで作ったリンクが、チャットツールや資料に貼られたまま広がることもあります。共有する前に会話の中身を読み直し、用が済んだリンクは設定の「データコントロール」から削除します。元の会話を消すと、そのリンクも見られなくなります。
外部につながる機能
GPTsのアクションのように外部のサービスと連携する機能では、入力の一部が別の会社に送られることがあります。送られた先での扱いは、その会社の規約によります。ブラウザの拡張機能も、画面の文字を読み取るものがあります。仕事で使ってよい連携と拡張機能を決め、それ以外は入れない運用にします。
画面と端末
カフェで開いた画面、会議で共有した画面に、過去の会話の一覧が映ることがあります。会話のタイトルは自動で付くため、「〇〇社 見積比較」のように取引先の名前がそのまま並ぶこともあります。画面共有の前には、サイドバーを閉じておくと防げます。

共有リンク、作ったこと自体を忘れてる人が多いんです。思い当たったら、今すぐ一覧を開いてみてください。
入れてしまったときの動き
うっかり入れてしまったときは、隠さずに早く動くほど被害が小さくなります。
- 01止めるその会話を続けない。共有リンクを作っていたら削除する
- 02消す会話を削除する。ただし、すでに人の確認に回った会話などは、削除してもすぐには消えない場合がある
- 03伝える上司や窓口の担当者に、何を・どのサービスに・いつ入れたかを伝える
- 04確かめるお客様の個人情報や預かった資料なら、社内の担当者が契約や対応の要否を判断する
- 05直すなぜ入れてしまったかを聞き、ルールや設定に1行足す
大事なのは3番目の「伝える」です。叱られると思えば、人は黙ります。報告した人を責めず、仕組みのほうを直す。この姿勢を先に示しておくと、早い報告が集まりやすくなります。
社員がどんな使い方をしているか、全部は把握できないんですが。
全部を見張るのは現実的ではありません。会社で契約したアカウントに寄せ、設定を管理者側でそろえる。そのうえで「入れない4種類」と「入れてしまったら伝える」の2つだけを徹底するほうが、守られます。
AIを安心して使う準備を、HEART CREATIONでお手伝いします
HEART CREATIONのAIサービスでは、AI秘書・AIマーケティング(たたき台づくり)・AIチャット・AI受付などを、会社ごとに組み立てています。
- 無料のAI導入診断で、今どのサービスがどう使われているかを洗い出す
- 仕組みを作るときに、入れない情報と人が確認する場所を一緒に決める
- AIの文は人が直してから出す、という流れをそのまま渡す
初回のご相談は無料で、オンライン60分でも承ります。「何から決めればいいか分からない」段階でも構いません。

まずは今日、自分のアカウントの設定画面を開くところから。そこが一番の近道です。
よくある質問
ChatGPTに入力した内容は、ほかの人の回答に出てきますか?
学習に使われた内容がそのまま出てくることは通常考えにくいものの、可能性をゼロとは言い切れません。社外秘を扱うなら、学習をオフにするか、既定で学習に使わない法人向けプランを使うほうが確かです。
一時チャットなら社外秘を入れても大丈夫ですか?
一時チャットは履歴に残らず学習にも使われませんが、30日間はサービス側に保存されます。お客様の個人情報や預かった資料は、一時チャットでも入れないほうが安心です。
無料版と法人向けプランでは何が違いますか?
大きな違いは、学習に使うかどうかの既定値と、会社として設定や利用者を管理できるかです。社員が仕事で日常的に使うなら、法人向けプランのほうが管理しやすくなります。
社員が個人のスマホで生成AIを使うのは止められますか?
完全に止めるのは難しいのが実情です。会社で使えるアカウントを用意し、入れてはいけない情報と、入れてしまったときの連絡先をはっきりさせておくほうが現実的です。
