社員が仕事でChatGPTを使っているみたいなんです。いっそ禁止したほうが安全でしょうか。

禁止しても、見えないところで使われるだけなんですよ。使っていい道を先に作ったほうが早いです。
生成AIを使う社員が増えてきたけれど、会社として何も決めていない。何かあってからでは遅い気がする一方で、何を決めればいいのか分からない。社員が数人の会社でも、よく聞く悩みです。
社内ルールの中心は、「使ってよいサービス」「入れてはいけない情報」「外に出す前の確認」の3つです。全部を禁止するより、ここだけ決めて使える範囲をはっきりさせたほうが、社員も迷わずに済みます。
この記事では、ルールが要る理由、入れておきたい7つの項目、入れない情報の書き方、確認の流れ、守られるための運用を順に書きます。
この記事の要点
- 禁止より「使ってよい範囲」を決めるほうが守られる
- 中心は、使うサービス・入れない情報・出す前の確認
- A4一枚で始め、困ったことが出たら書き足す
ルールがないまま使うと、何が困るか
ルールがない会社で起きやすいのは、次の3つです。
- 入れてはいけない情報が、社員の判断で入力される
- 間違いや、既存の作品に似すぎたものが、確認されないまま社外に出る
- 誰が、どのサービスを、何に使っているか、会社が分からない
1つ目については、個人情報保護委員会が2023年6月2日に「生成AIサービスの利用に関する注意喚起等」を出しています。会社が個人情報を入力するときは、利用目的の範囲内か、入力した内容がサービス側で学習などに使われないかを確かめるよう求めています。
ルールの土台になる資料もあります。総務省と経済産業省の「AI事業者ガイドライン」は、2026年3月31日に第1.2版が出ており、AIを使うだけの会社も「AI利用者」として対象にしています。日本ディープラーニング協会(JDLA)は、社内向けの「生成AIの利用ガイドライン」のひな形(第1.1版、画像編も別にあり)を公開しています。権利については、文化庁の「AIと著作権に関するチェックリスト&ガイダンス」(2024年7月31日)が、立場ごとに気をつけることをまとめています。ゼロから書くより、こうした資料を下敷きにして自社の言葉に直すほうが早く進みます。
ルールに入れておきたい7つの項目
社員が迷う場面から逆に考えると、必要な項目は次の7つに収まります。
| 項目 | 決めること | 書き方の例 |
|---|---|---|
| 使ってよいサービス | 会社として認めるサービスと、そのアカウント | 「会社で契約したアカウントだけ。個人の無料アカウントは使わない」 |
| 入れない情報 | 入力してはいけない情報の種類 | 次の章で具体的に |
| 任せてよい仕事 | たたき台・要約・言い換えなど | 「投稿文や社内資料のたたき台、長い文章の要約」 |
| 任せない判断 | 人が決めること | 「金額の確定、契約、医療・法律に関わる回答」 |
| 出す前の確認 | 誰が、何を見てから出すか | 「作った人と別の人が、事実と表現を確かめる」 |
| 画像・動画・声 | 作ってはいけないもの | 「実在の人物に似せない。他社のロゴや作品名を指示に入れない」 |
| 困ったときの窓口 | 迷ったときに聞く相手と見直す日 | 「総務の〇〇さん。3か月ごとに見直す」 |
画像や動画、声については、権利や広告での表示の決まりが文章より細かくなります。広告に使う場合の注意は、別の記事にまとめています。
あわせて読みたいAI画像・動画を広告に使うときの注意。著作権・AIの表示・審査の確かめ方「入れない情報」は、業種の言葉で具体的に書く
「機密情報は入力しない」とだけ書くと、社員は判断できません。何が機密かは、業種によって違うからです。
例えば工務店なら、施主の名前と住所、図面、見積の金額。美容室なら、お客様のカルテや来店の記録。士業なら、相談の中身そのもの。こうして「うちの会社で、うっかり貼りそうなもの」を名前で挙げておくと、迷いが減ります。
あわせて、どうしても使いたいときの置き換え方も書いておきます。名前は「Aさん」に、住所は「市内」に、金額は「〇〇円」にしてから貼る。こうしておけば、文章の整え方だけをAIに頼めます。
サービスによっては、入力した内容を学習に使わない設定や、法人向けの契約が用意されています。どの設定で使うかは、会社で一度確かめて、ルールに書いておきます。

お客さんの名前が入った見積書を、そのまま貼っちゃう。いちばんありがちなんですよ。
外に出す前に、誰が何を見るかを決める
社内で読むだけのメモなら、確認は軽くて構いません。お客様や取引先、SNSに出るものは、出す前の確認を決めておきます。
- 01事実日付・数字・固有名詞が正しいか。AIが足した情報はないか
- 02言いすぎ「必ず」「業界一」など、根拠のない言い切りはないか
- 03似すぎ既存の文章や作品、他社の商品に似すぎていないか
- 04表示広告やSNSで、生成であることの表示が要らないか
- 05記録どのサービスで、どんな指示で作ったかを残す
確認する人は、作った本人とは別の人にします。自分で作ったものは、間違いがあっても読み流してしまうからです。社員が数人の会社なら、社長か、文章をよく見ている人を一人決めるだけでも十分です。
最後の記録は、手間に見えて効いてきます。あとで「これはどうやって作ったのか」と聞かれたとき、指示の文と使ったサービスが残っていれば答えられます。共有のフォルダに、出したものと指示の文を並べて置く程度で構いません。

作った本人だと、間違いに気づけないんです。一度だけでいいので、別の人の目を通してください。
守られるルールにするための運用
ルールは作ったあと、読まれて使われるかどうかで決まります。
まず、厚くしないこと。最初はA4一枚に収めます。項目ごとに「OKの例」「NGの例」を一つずつ添えると、条文を読むより早く伝わります。
次に、新しいサービスを試したいときの道を作ります。「使ってみたいサービスがあれば、窓口に名前を伝える。規約を見て1週間以内に返事をする」と決めておけば、黙って使われることが減ります。
そして、見直しの日を決めます。生成AIのサービスは、規約や設定の画面が変わります。3か月に1回、窓口の担当者が使われているサービスの規約を確かめ、社内で困ったことがあれば項目を書き足します。
ルールを作っても、社員が読んでくれる気がしないんですが。
読んでもらうより、使う場面で目に入るようにするほうが確かです。AIを使う人の多い部署の共有フォルダの一番上に置く、朝礼で1項目ずつ例を紹介する、といった形です。禁止の理由も一行添えておくと、「なぜだめか」が分かって守られやすくなります。

分厚いルール集は、誰も読まないんですよ。コーヒー1杯のあいだに読み終わる量がちょうどいいです。
AIを仕事に入れるところから、HEART CREATIONでお手伝いできること
HEART CREATIONのAIサービスでは、AI秘書・AIマーケティング(たたき台づくり)・AIチャット・AI受付などの仕組みを、会社ごとに作っています。
- 無料のAI導入診断で、今の使われ方と困りごとを洗い出す
- 仕組みを入れるときに、入れない情報と、人が確認する場所を一緒に決める
- AIの文や画像は人が直してから出す、という確認の流れをそのまま渡す
当社でも、AIの生成物は撮影・編集の担当が最後に確認してから出しています。初回のご相談は無料で、オンライン60分でも承ります。

決めたら、3か月後に一度見直す。それくらいの気楽さで始めてみてください。
よくある質問
生成AIの社内ルールは、どこから作ればいいですか?
使ってよいサービス、入れてはいけない情報、外に出す前の確認の3つから決めます。JDLAのひな形や、総務省・経済産業省のAI事業者ガイドラインを下敷きにすると早く進みます。
社員が個人のアカウントで生成AIを使うのは問題ですか?
会社として、どんな設定で何が入力されたかを把握できなくなります。仕事で使うなら会社で契約したアカウントに限る、と決めておくほうが安心です。
生成AIの利用を全面的に禁止するのはどうですか?
禁止しても、個人のスマホなど見えないところで使われることがあります。使ってよい範囲と確認の流れを決めて、会社が把握できる形で使ってもらうほうが現実的です。
社内ルールはどのくらいの頻度で見直せばいいですか?
3か月に1回を目安に、使っているサービスの規約や設定の変化を確かめます。社内で困ったことが起きたときも、その都度項目を書き足します。
