AIで作った画像なら、著作権のことは気にしなくていいんですよね?

言いにくいんですけど、そこは逆なんです。AIで作っても、似ていれば普通に問題になります。
バナーの背景、商品のイメージ写真、広告動画の人物。撮影を組まずに作れる生成AIの画像や動画を、広告に使いたいという相談が増えています。手軽な一方で、「AIで作ったものは誰の権利にも触れない」「表示しなくてもバレない」といった思い込みのまま出してしまう例も見かけます。
先に要点を書きます。広告に使う前に確かめることは3つです。既存の作品や実在の人に似ていないか(権利)。AIで作ったことをどう示すか(表示)。広告の審査やルールに引っかからないか(審査)。どれも、作り終えてからではなく、作る前の指示の出し方から始まります。
この記事では、文化庁が公表している資料と、各SNSの公式のヘルプ・広告ポリシーの範囲で、この3つを順に書きます。
この記事の要点
- AIで作っても、既存の作品に似ていれば侵害になり得る
- AIで作った広告は、媒体ごとの決まりで表示する
- 商品の見え方を盛る使い方は、AIでなくても通らない
広告に使う前に確かめる3つ
まず全体を表にします。
| 確かめること | 何が問題になるか | 主に見るもの |
|---|---|---|
| 権利 | 既存の作品・実在の人・他社のロゴに似ていないか | 文化庁の資料、使った生成AIの利用規約 |
| 表示 | AIで作ったことを、決まった方法で示しているか | 各SNSのヘルプと広告ポリシー |
| 審査 | 実物と違う見せ方や、誤解させる表現になっていないか | 各SNSの広告ポリシー、景品表示法 |
3つのうち、あとから直しにくいのは権利です。表示は設定一つで足せますが、似てしまった画像は作り直すしかありません。
権利:既存の作品や実在の人に似ていないか
文化庁の考え方では、AIでも判断の物差しは同じ
文化庁の文化審議会著作権分科会 法制度小委員会は、2024年3月15日に「AIと著作権に関する考え方について」をまとめました。2024年7月31日には、事業者向けに「AIと著作権に関するチェックリスト&ガイダンス」も公表しています。法的な拘束力はない、と断ったうえでの整理です。
広告に関わるところを抜き出すと、次のとおりです。
- 生成した画像をネットに載せたり配ったりするときは、ふつうの著作権侵害と同じ基準で判断される。既存の作品との「類似性」と「依拠性(それをもとに作ったこと)」の両方があれば侵害になり得る
- 既存の作品が生成AIの学習に使われていた場合、使った人がその作品を知らなくても、通常は依拠性があったと推認される
- 指示に既存の作品そのものや、作品の題名・キャラクター名などの固有名詞を入れると、依拠性が認められやすくなる
- 生成することが許される場面でも、それを配信する「利用」まで許されるとは限らない
ここから、広告に使う前の手順は次のようになります。
- 01指示作品名・作家名・キャラクター名を入れない
- 02規約使った生成AIの利用規約で、商用利用の条件を確かめる
- 03確認画像検索などで、似ている既存の作品がないかを見る
- 04記録使った指示文と生成した日を残しておく
記録を残すのは、もし似ていると言われたときに「何をもとに作ったか」を説明するためです。文化庁のチェックリストでも、生成の過程を確かめられる状態にしておくことが望ましいとしています。

「〇〇さん風で」と作家名を入れた指示、ほんとによく見るんです。広告ではやめておきましょう。
実在の人の顔・声、他社のロゴ
人物が写る画像では、著作権とは別に、実在の人に似ていないかを確かめます。有名人に似た顔や声で商品を勧めれば、本人の了解のない広告になります。TikTokの広告ポリシー(2026年4月更新)も、公人の顔や声を許可なく使うことを認めていません。
背景に他社のロゴや、有名な商品に似た形が紛れ込むこともあります。生成した画像は、拡大して隅まで見てから使います。
表示:AIで作ったことをどう示すか
2026年10月時点で、主な媒体の決まりは次のとおりです。
| 媒体 | 決まり(公式のヘルプ・ポリシーより) |
|---|---|
| Meta(Instagram・Facebook) | Metaの広告の生成AI機能で作った、または大きく編集した広告画像には、Meta側で「AI info」(日本語の画面では「AI情報」)の表示が付く。表示は広告右上のメニュー内、写実的なAIの人物は「広告」の表記の横に出る。サイズ変更や色補正などの軽い修正は対象外。政治・社会問題の広告は、デジタルで作成・改変した画像や動画、音声の開示が必要 |
| TikTok | 大きく手を加えたものやAIで作ったものは、AIGCラベル、または自前の注記・字幕・透かし・スタンプで示せば使える。明るさや色の調整、背景の差し替えは軽い修正の扱い。開示のないAIコンテンツと判断されると、広告は却下または制限される |
| YouTube(チャンネルへの投稿) | 現実に見える合成・改変の動画は、投稿時に開示する。実在の人が言っていないことを言う、起きていない場面を本物らしく見せる、などが対象。美肌フィルターや、台本・タイトル作りにAIを使っただけなら不要 |
YouTubeは、開示しただけで視聴者が減ったり収益化に影響したりはしない、と説明しています。表示を避けるより、決まりどおりに出すほうが、広告が止まる心配を減らせます。

ラベルが付くこと自体は、怖がらなくて大丈夫。隠して止められるほうが、よっぽど痛いですから。
AIで作った人物を「実際のお客様」「利用者の声」のように見せるのは、表示の問題とは別に、事実と違う広告になります。広告で使えない表現の基本は、別の記事にまとめています。
あわせて読みたい広告で使えない表現は?景品表示法の優良誤認・有利誤認の基本審査:AIに任せない素材を決めておく
審査で止まりやすいのは、商品の見え方を盛る使い方です。料理を実物より大きく、肌を実際の効果以上になめらかに。AIなら一瞬でできてしまいますが、それは実物と違う商品を見せることです。AIを使ったかどうかに関係なく、景品表示法や各媒体の審査で問題になります。
そこで、AIに任せる素材と任せない素材を、最初に分けておきます。
| AIに任せやすい | 実物を使う |
|---|---|
| 背景・季節感・イメージの場面 | 商品そのもの・料理・施工の仕上がり |
| 使う場面の想像図(イメージと分かるもの) | 使用前後の比較 |
| 説明用のイラスト・図 | お客様・スタッフとして見せる人物 |
当社の15秒のブランドモーション(9つの言葉が流れて、黒と白だけでロゴに収まる映像)は、生成AIの画像を使わず、すべてプログラムで描きました。AIで作っていないので、AI生成のラベルの対象にもなりません。何でもAIで作るのではなく、素材ごとに決めるという考え方です。
イメージの場面だけでも、AIで作ったって書かないといけないんですか?

媒体の決まりで対象になるなら、書いてください。そこは迷ったら書く、で決めておくと楽ですよ。
AIの画像・動画を使う広告まわりで、HEART CREATIONがお手伝いできること
HEART CREATIONでは、広告の企画・制作から配信、LPまでを同じチームで引き受けています。AIの生成物も、撮影・編集の担当が最後に確認してから出します。
- AIに任せる素材と、撮影する素材の切り分け
- 媒体ごとのAIの表示と、入口を変えた複数パターンの広告の制作
- 2週間で結果を見て寄せていく配信と、動画と同じ言葉を一行目に置くLP
生成AIをどこまで使ってよいか分からない段階でも構いません。AIサービスの考え方もあわせてご覧ください。初回のご相談は無料です。

出す前に迷った画像があれば、一度見せてください。一緒に確かめましょう。
よくある質問
生成AIで作った画像は、商用利用してもいいですか?
使った生成AIの利用規約で、商用利用が認められているかをまず確かめます。そのうえで、既存の作品や実在の人に似ていないかを確認してから使います。規約で認められていても、似ていれば著作権の問題は別に残ります。
AIで作った画像に著作権はありますか?
文化庁の考え方では、指示が簡単でAIが自律的に作ったものは著作物に当たらないとされています。人が具体的な指示を重ねたり、加筆・修正したりした部分は著作物になり得ます。ロゴなど守りたいものは、人の手を入れて仕上げるのが安心です。
広告にAIのラベルが付くと、効果は下がりますか?
ラベルの有無だけで効果を決めつけることはできません。入口を変えた複数の案を出し、問い合わせなどの数字で比べて判断します。表示を避けて審査で止められるほうが、配信全体には響きます。
自社の写真をAIで加工しただけでも、表示は必要ですか?
明るさや色の調整、サイズ変更などの軽い修正は、MetaやTikTokでは対象外とされています。写っている内容が変わるほど手を加えた場合は、表示の対象になり得ます。迷う場合は、表示しておくのが無難です。
AIで作った人物を、広告のモデルとして使ってもいいですか?
実在の人に似せていないことと、AIで作った人物だと分かるように示すことが前提です。その人物に「使ってみました」と体験を語らせると、事実と違う広告になります。
