「うちの会社を一言で言うと?」と聞かれて、毎回ちがう説明をしてしまいます。コンセプトって、どう決めればいいんでしょう。

「お客様第一で、地域に貢献」…それ、ほとんどの会社が言えちゃうんですよね。まずはそこから抜けましょう。
会社のコンセプトを決めようとすると、立派な言葉が並びがちです。「誠実」「挑戦」「笑顔」「信頼」。どれも間違いではありません。けれど、隣の同業他社の看板に貼り替えても、そのまま通じてしまいます。
一言にならない理由は、言葉選びの腕ではなく、材料の集め方にあります。言いたいことから考え始めると、どの会社でも言える言葉に寄っていきます。先に集めるのは、お客さんが選んでくれた理由と、自分たちがやらないこと、そして比べられている相手です。
この記事では、コンセプトと理念・キャッチコピーのちがい、一言の材料の集め方、組み立ての型、社内で試して確かめる手順を書きます。
この記事の要点
- コンセプトは理念とキャッチコピーの間にある「何をする会社か」
- 材料は選ばれた理由・やらないこと・比べられる相手
- 社員が言えて、判断に使えるかで確かめる
コンセプト・理念・キャッチコピーは、役目がちがう
似た言葉が多いので、先に分けておきます。
| 理念 | コンセプト | キャッチコピー | |
|---|---|---|---|
| 言っていること | なぜこの会社があるか | 誰に、何をする会社か | この商品・この場面で何を言うか |
| 主に向ける相手 | 社員・自分たち | 社員とお客さんの両方 | お客さん |
| 変える頻度 | ほとんど変えない | 事業が変わるときに見直す | 広告や季節ごとに変える |
| 例(町のパン屋) | 毎日の食卓を豊かにする | 朝7時に焼きたてを渡すパン屋 | 今週は栗のデニッシュ |
コンセプトは、理念を日々の仕事に落とした一言です。理念ほど大きくなく、キャッチコピーほど移ろわない。社員が迷ったときに立ち返れて、初めて会った人にも伝わる。この両方の役目を持つので、抽象的すぎても、具体的すぎても働きません。
一言にならない、3つの理由
コンセプトづくりが止まるときは、だいたい次のどれかです。
- 全部入れたい:品質も価格も対応の早さも、と並べると、一言に収まりません
- きれいな言葉に逃げる:「想い」「つなぐ」「未来」など、意味の広い言葉ほど何も言っていません
- 自分たちの目線だけで考える:社内で大事にしていることと、お客さんが選んだ理由がずれています
3つ目がいちばん見落とされます。例えば、地域の工務店が「職人の技術力」を軸にしようとしても、お客さんに聞くと「現場の担当者が毎回写真を送ってくれて安心だった」が選んだ理由だった、ということがあります。だとすると、一言の芯は技術より「建てている間も見える家づくり」のほうにあります。
一言の材料を集める
材料は、次の3つの問いで集めます。
| 問い | 聞く相手・見る場所 | 出てくるもの |
|---|---|---|
| なぜ、うちを選んでくれたのか | 最近のお客さん、口コミ、アンケート | お客さんの言葉での「強み」 |
| 何を、やらないと決めているか | 社長・現場の責任者 | 断っている仕事、手を出さない領域 |
| 誰と比べられているか | 営業の記録、失注の理由 | 迷われたときの比較の相手と、その違い |
2つ目の「やらないこと」が、一言を尖らせます。駅前の美容室が「カラーとパーマはやらず、カットだけを丁寧に」と決めているなら、それ自体が一言の材料です。やらないことを言える会社は、何をする会社かもはっきりします。

一言は会議室で一発では決まらないんです。材料を集めて、何週間か持ち歩いて、少しずつ削っていくものですよ。
組み立ての型は3つ
材料がそろったら、次のどれかの型に当てはめてみます。
対比の型:「〇〇ではなく、〇〇」
比べられる相手との違いを、そのまま言葉にします。町工場なら「図面どおりに作る工場ではなく、図面から一緒に考える工場」。
HEART CREATIONも、自分たちのことを「つくる会社」ではなく「伝わるものをつくる会社」と書いています。その考え方を、実際にあった出来事をもとに企業漫画『感動をデザインする』にしました。町工場の採用動画で「バズらせて」と頼まれ、それを断って、追う数字を応募数に置き直す話です(漫画はこちら)。
約束の型:「誰の、何を、どうする」
相手と約束を並べます。整骨院なら「デスクワークの肩こりを、通わずに済む体にする整骨院」。
やり方の型:「〇〇で、〇〇する」
ほかがやらない手段に芯があるときに使います。パン屋なら「朝7時に、焼きたてを渡す」。
どの型でも、形容詞より名詞と動詞で組むと、具体的になります。
社内で試して、確かめる
候補ができたら、すぐに決めずに試します。
- 01社員に言ってもらう説明を見ずに、自分の言葉で言い直してもらう。言い直せないなら、まだ抽象的
- 02判断に使ってみる最近迷った仕事の依頼を、この一言で受けるか断るか決められるか試す
- 03他社に貼り替えてみる同業他社の名前に置き換えても通じるなら、まだ自社の一言ではない
- 04お客さんに見せる最近のお客さんに「この言い方で合っていますか」と聞く
- 051か月使う名刺や会社案内に仮で載せ、引っかかりがないか見る
2つ目の試し方がいちばん効きます。断る判断に使えない一言は、社内では使われなくなります。

社員さんが自分の言葉で言い換えてくれたら、その一言はもう会社に根づき始めてます。じんとくる瞬間ですよ。
決めた一言は、名刺、会社案内、採用ページ、SNSのプロフィール、動画の締めなど、あちこちで使います。ただし、LPの1行目のように「この商品で、この人に何が手に入るか」を言う場所では、一言をそのまま置くより、場面に合わせて書き直します。その書き方は別の記事にまとめています。
あわせて読みたいLPファーストビューの作り方。1行目のキャッチコピーに何を書くか一言を見つけるところから、お手伝いします
HEART CREATIONは、企画・撮影・編集・運用・WEB/LP制作を同じチームで受け持っています。決めた一言が、動画にもSNSにもサイトにも同じ温度で出ていくように進めます。
- お客さんの言葉と「やらないこと」から、一言の材料を一緒に集める
- 候補を、社内で試せる形に整える
- 決めた一言を、動画の締めやLP、採用ページの言葉にそろえて広げる
まだ言葉にならない段階のご相談で構いません。初回のご相談は無料です(相談はこちら)。

迷ったときに「うちはこれだから」で決められるようになったら、もう大成功なんですよ。
よくある質問
コンセプトとスローガンは何が違いますか?
一般に、コンセプトは「誰に、何をする会社か」という中身の定義で、社内の判断にも使うものです。スローガンは、その中身を覚えやすく言い表した掛け声として使われることが多いです。中身が決まっていないままスローガンだけ作ると、言葉だけが浮きます。
会社のコンセプトは誰が決めればいいですか?
最後に決めるのは経営者です。ただ、材料はお客さんと現場にあるので、営業や現場の担当者の話を聞いてから決めます。社員が自分の言葉で言い直せるかを確かめる段階で、何人かに加わってもらうと根づきやすくなります。
会社のコンセプトは何文字くらいがいいですか?
決まりはありませんが、ひと息で言える長さが目安です。名刺やSNSのプロフィールに載せることを考えると、短いほうが使い回しやすくなります。長くなるときは、何かを入れすぎていないかを見直します。
会社のコンセプトはどのくらいの頻度で見直すべきですか?
事業の中身や主なお客さんが変わったときが見直しどきです。キャッチコピーのように季節ごとに変えるものではありません。社員が判断に使えなくなってきたと感じたら、材料を集め直します。
社名とコンセプトは関係させたほうがいいですか?
必ずしも関係させる必要はありません。社名は長く使う目印で、コンセプトは事業に合わせて見直すことがあるからです。社名の由来とコンセプトがつながっていれば、自己紹介のときに話しやすくなります。
