うちは税理士事務所なんですが、ショート動画で何を話せばいいのか見当がつかなくて。

士業の方、実はショート動画に向いているんですよ。話す中身さえ決まれば、ですけど。
税理士、社労士、弁護士などの士業や、法人向けの商品・サービスを扱う会社にとって、ショート動画は縁遠いものに見えがちです。料理や髪型のように目で見て分かる変化がなく、何を映せばいいか分からない。そこで会社案内やサービスの説明を読み上げる動画を作り、反応がないまま止めてしまうことがあります。
形のないサービスを売る会社が動画で伝えるべきなのは、商品の説明ではありません。「この人に任せて大丈夫か」を判断する材料、つまり話す中身と話し方そのものです。
この記事では、信用が商品になる業種のショート動画について、何を話題にするか、どう話すか、守秘と業界のルール、見た人の行き先までを順に整理します。
この記事の要点
- 話すのは、相談の前に聞かれること
- 言い切れることと、個別に確かめることを分けて話す
- 守秘と業界の広告ルールを先に確かめる
売っているのは「任せて大丈夫か」
士業やBtoBのサービスは、買う前に中身を試せません。顧問契約を結ぶまで、その税理士の仕事ぶりは分からない。システムを導入するまで、その会社の対応の早さは分からない。だからお客さんは、相談の前にできるだけ多くの手がかりを集めようとします。
ショート動画は、その手がかりを何度も渡せる場所です。説明の分かりやすさ、質問への答え方、言葉の選び方。1本では分からなくても、何本か見るうちに「この人の説明なら理解できそうだ」という感覚が積み上がります。話し方そのものが見本になるわけです。
BtoBでは、見ているのが決裁する人だけとは限りません。担当者が先に見つけ、上司に「この会社どうですか」と共有することもあります。そのため、社内で回されても通じる、落ち着いた中身が向いています。
話すのは、相談の前に聞かれること
話題は、相談の現場ですでに出ています。よく聞かれる質問、よくある誤解、相談すべきかどうかの分かれ目。この3つに分けると選びやすくなります。
| 話題の種類 | 例(社労士事務所の場合) | 見る人に伝わること |
|---|---|---|
| よく聞かれる質問 | パートの人も有給休暇はもらえるのか | 自分の疑問に答えてくれる |
| よくある誤解 | 「試用期間中ならいつでも辞めてもらえる」は本当か | 知らずにいた危うさに気づく |
| 相談の分かれ目 | 自分で対応できる場合と、専門家に頼んだほうがいい場合 | いつ相談すればいいかが分かる |
法人向けのIT会社なら、「よく聞かれる質問」は導入にかかる期間、「よくある誤解」は「クラウドは危ない」という思い込み、「相談の分かれ目」は今の仕組みで足りる会社と替えたほうがいい会社、といった具合です。
反対に、会社の沿革や事務所の理念、サービスの一覧を読み上げる動画は、見る人の疑問に答えていません。それはホームページに書いてあれば十分な内容です。

会社案内をそのまま読み上げる動画。作る側は安心なんですけど、見る側はあくびが出ちゃうんですよ。
言い切れることと、個別に確かめることを分ける
専門家ほど、動画で話すときに言葉が慎重になります。例外を一つずつ挙げているうちに、何が言いたいのか分からなくなる。かといって言い切りすぎると、条件の違う人が誤解します。
この板ばさみは、言い切れる部分と個別に確かめる部分を分けて話すとほどけます。
- 先に条件を言う:「会社員で、副業の収入が少ない人の場合は」と、誰の話かを最初に決める
- 一般的に言えることは言い切る:条件に当てはまる人なら、こうなる、と短く答える
- 例外は一言でまとめる:「ほかの収入がある場合は話が変わるので、個別に確認してください」と締める
もう一つ大事なのが、原稿を読まないことです。HEART CREATION の企業漫画『感動をデザインする』では、町工場の採用動画で用意した台本を捨て、本人の言葉で話してもらった話を描きました。業種は違っても、自分の言葉で話している人のほうが信用は伝わります。原稿を読む代わりに、聞き手が質問し、それに答える形で撮ると自然に話せます。

「言い切りたいけど、例外もあるし……」。士業の方は、そこで手が止まっちゃうんですよね。条件を先に言えば大丈夫です。
守秘と業界のルールを先に確かめる
信用が商品の業種ほど、動画の中身で信用を失わないための確認が要ります。
相談事例を話題にするときは、相談者が特定されない形にします。業種、地域、時期、金額などを組み合わせると、本人や周りの人には分かってしまうことがあります。事例は複数の相談をもとにした一般的な話として組み立て直してください。
業界ごとの広告のルールもあります。例えば、日本弁護士連合会の「業務広告に関する指針」では、法律問題を解説する動画をSNSに載せること自体は、必ずしも依頼を誘う目的とは判断されないとしています。一方で、最後に「〇〇の相談は当事務所へ」と表示するような動画は、広告として扱われうるとしています。また、架空の解決事例を載せることは、事実に合致しない広告の例として挙げられています(2026年10月時点で日弁連のサイトに掲載されている指針で確認)。ほかの士業も、所属する会の規則を動画を作る前に確かめておいてください。
見た人が、次に何をすればいいか
士業やBtoBのお客さんは、動画を見てすぐに申し込むことはまれです。見た人が次に取れる、小さな一歩を用意しておきます。
- 動画で話した内容をくわしく書いた記事や資料のページ
- 同じ悩みを持つ会社の相談の流れが分かるページ
- 個別相談やセミナーの案内
- 社内で共有しやすい、1枚にまとまった資料
動画ごとに、どのページにつなぐかを決めておくと、見た人が迷いません。相談の入口が分かりやすいかどうかは、問い合わせフォームの作りにも左右されます。
あわせて読みたい問い合わせフォームの離脱を減らす。項目の削り方と入力しやすい作りHEART CREATIONでお手伝いできること
信用が商品の業種の動画は、派手な演出より、話題の選び方と話し方の設計で決まります。HEART CREATION では、こんなところからご一緒しています。
- よく聞かれる質問を棚卸しして、動画で言い切れる範囲と個別相談に回す線を一緒に引く
- 原稿を読まずに話せるよう、聞き手が質問する形で撮影し、編集まで同じチームで仕上げる
- 動画の先の記事・資料・相談の入口までをつなぐ
追うのは再生数ではなく、相談の件数や資料の請求数です。初回のご相談はこちらから、オンラインでも受け付けています。

まずは、よく聞かれる質問を10個書き出すところから。それだけで、最初の数本の話題は決まりますよ。
よくある質問
士業がSNSで動画を出すと、軽く見られませんか?
話す中身と話し方が落ち着いていれば、軽く見られることはあまりありません。流行りの音楽や大げさな演出より、質問に正面から答える形のほうが、士業の動画には向いています。所属する会の広告のルールは、先に確かめておいてください。
法改正や制度の変更を動画で扱ってもいいですか?
扱って構いません。関心が高まる時期なので、見られやすい話題でもあります。ただ制度は変わるため、いつ時点の情報かを動画の中か説明文に入れ、古くなった動画には補足を付けるか非公開にしてください。
社長と担当者、誰が動画で話すのがいいですか?
お客さんが実際に相談する相手が話すのがいちばん自然です。社長が窓口なら社長、担当者が対応するなら担当者です。複数人で出る場合も、話題の種類ごとに話す人を固定すると、見る人が覚えやすくなります。
専門用語は、どこまで言い換えればいいですか?
お客さんが相談のときに使う言葉に合わせるのが目安です。正しい用語を使う場合は、最初に一度だけ短く言い換えを添えます。言い換えに迷ったら、相談の場でお客さんがどう聞いてきたかを思い出してください。
