撮影場所を決めてくださいと言われたんですが、うちの店もオフィスも、特に映えるところがなくて……。

映える場所を探すより、見せたい場面から地図を逆にたどるほうが、迷わず決まりますよ。
動画の撮影場所を決めるとき、多くの人が「きれいな場所」を探します。おしゃれなカフェの一角、片付いた会議室、天気のいい公園。けれど、その場所で撮った動画が、自社らしく見えるとは限りません。白い壁の会議室で話す社長は、どの会社の社長にも見えます。
撮影場所は、見せたい場面が実際に起きている場所から選びます。料理を見せたいなら厨房、技術を見せたいなら作業場、人柄を見せたいならその人がいつも働いている席です。そのうえで、縦の画面に入る背景、音、光、人の動きを確かめて、撮れる場所に整えていきます。
この記事では、撮影場所の決め方の順番、店内・屋外・オフィスそれぞれで気をつけること、下見で確かめることを書きます。場所の予約や許可、前日の片付けは、撮影当日までの準備の記事にまとめています。
あわせて読みたい動画撮影の準備は何をする?撮影当日までに会社側でそろえることこの記事の要点
- 場所は「きれいさ」より、見せたい場面が起きている所で選ぶ
- 縦の画面に入る背景を、現地でスマホを縦にして確かめる
- 下見は撮影と同じ曜日・同じ時間帯に行く
場所は、撮る場面の一覧から決める
撮影場所を最初に決めてしまうと、その場所で撮れる画に企画が引っ張られます。順番は逆で、台本の場面の一覧を作り、場面ごとに「どこで起きていることか」を書き出してから場所を選びます。
例えば、町のパン屋が新商品の動画を作るとします。
| 場面 | 起きている場所 | 撮影場所の候補 |
|---|---|---|
| 生地をこねる | 厨房の作業台 | 作業台を正面と真上から |
| 焼き上がり | オーブンの前 | 扉を開ける瞬間を横から |
| 店に並ぶ | 売り場の棚 | 棚の前。お客さんのいない開店前 |
| 店主のひと言 | レジの横 | 後ろにパンの棚が見える位置 |
こうして並べると、店内の3か所と厨房の2か所で撮れることが分かります。わざわざ外の公園に行く理由はありません。場所が増えるほど移動と準備に時間がかかるので、1回の撮影で回る場所は少ないほど撮り直しの余裕が生まれます。
縦の画面は、背景の一部しか映らない
縦型の動画は横に狭いため、背景のうち映るのは人の後ろの細長い一部分です。広い店内を見せたいと思っても、縦の画面に入るのは棚1列ぶんほどです。だから、場所選びでは「部屋全体の雰囲気」より、「人の後ろに何が来るか」を見ます。
背景で見るのは、次の3つです。
- 何の会社か分かる物があるか。パン屋ならパンの棚、整備工場なら工具の壁、設計事務所なら模型
- 奥行きがあるか。壁にぴったり付くより、背景まで少し距離がある場所のほうが、人が浮き立って見える
- 縦に線が走っていないか。人の頭の真後ろに柱や窓枠があると、頭から何かが生えているように見える
背景に映したい物があれば、場所に合わせて動かしてもかまいません。商品の棚を人の後ろに来る位置に寄せる、模型を机の端に置く。背景は、探すものではなく作るものと考えると、選べる場所が広がります。
店内・屋外・オフィスで気をつけること
場所の種類ごとに、向く場面と気をつけることが違います。
| 場所 | 向く場面 | 気をつけること |
|---|---|---|
| 店内 | 商品、接客、店の雰囲気 | 営業中はお客さんの映り込みと声。営業時間の前後に撮るか、映さない向きを決める |
| 屋外 | 店の外観、現場、季節感 | 天気と時間で光が大きく変わる。車や風の音、通行人の映り込み |
| オフィス | 社員の話、仕事の様子 | 会議室は殺風景になりがち。書類や画面の映り込み |
店内では、営業中に撮るか、営業時間外に撮るかを先に決めます。営業中は活気が映る代わりに、お客さんが映り込み、話し声も入ります。にぎわいを見せたい場面だけ営業中に撮り、話す場面は開店前に撮る、と分けるのが現実的です。
屋外は、同じ場所でも時間で別の場所のように変わります。朝は気持ちのいい日陰だった店先が、昼過ぎには真正面から日が差して、出演者がまぶしくて目を開けられない、ということがあります。屋外で撮るなら、何時ごろにどちらから日が当たるかを下見で確かめておきます。
オフィスでは、会議室より実際に仕事をしている席のほうが、その会社らしさが出ます。ただ、机の上やパソコンの画面には、映してはいけない物が多くあります。話す場面は、整えやすい場所を1か所だけ決めて、そこで撮るとまとまります。
下見で確かめること
候補が決まったら、撮影の前に一度、現地を見に行きます。下見は、撮影と同じ曜日・同じ時間帯に行くのが基本です。平日の午前と週末の午後では、人の出入りも、日の当たり方も、外の音も違います。

下見なしで当日行ったら、目の前で道路工事。これは本当に青ざめますよね。
- 01スマホを縦にして撮ってみる出演者が立つ位置から、背景に何が入るかを10秒ほど撮る
- 02音を聞く撮った10秒をイヤホンで聞く。空調、冷蔵庫、外の車、隣の部屋の声
- 03光の向きを見る窓や照明がどちらにあるか。時間がたつとどう変わりそうか
- 04引ける距離を測るカメラを人からどこまで離せるか。狭い場所では引きの画が撮れない
- 05人の動きを見る撮影中に通る人、使う人がいないか。止められない動線はないか
撮った写真と動画は、制作会社と共有しておきます。現地を見ていない人も、背景と広さが分かり、当日に持っていく機材や撮る順番を前もって決められます。
明るさが足りない場所を選んだときの照明の置き方は、室内撮影の照明の記事で扱っています。

下見では、目を閉じて30秒だけ耳を澄ませてみてください。ふだん気にしていない音が、驚くほど聞こえてきます。
撮影場所選びから、一緒に考えます
HEART CREATIONは、企画から撮影・編集までを同じチームで受け持っています。企画の段階で撮る場面を決めるので、そこから逆に撮影場所を選べます。
- 撮る場面の一覧から、撮影場所と撮る順番を組み立てる
- 拠点は東京・横浜。打ち合わせはオンライン、撮影は全国へ出張する
- 縦型動画は発注から3〜5週間が標準。撮影の前に企画で2週間ほどかける
撮る場所が決まらない段階からでも、ご相談ください(相談はこちら)。

場所の候補が決まったら、スマホで撮った写真を何枚か送ってください。それだけでも話がぐっと早くなります。
よくある質問
自宅で撮影してもいいですか?
撮れますが、生活感のある物や窓の外の景色から、住所が分かってしまうことがあります。背景に映る範囲を決め、表札や郵便物、外の建物が映らない向きで撮ってください。
店が狭くて撮影できる場所がありません。
縦型の動画は背景の一部しか映らないので、狭い店でも撮れます。棚1列ぶんの背景と、人が立てる場所があれば十分です。引きの画が撮れない場合は、寄りの画を中心に組み立てます。
撮影場所は何か所くらいにすればいいですか?
少ないほど、移動や準備に取られる時間が減ります。短い動画なら、1回の撮影で回るのは2〜3か所までにして、同じ場所で向きを変えて別の画を撮るほうが効率的です。
下見に行けない遠い場所で撮る場合はどうすればいいですか?
現地の人に、撮影と同じ時間帯に、スマホを縦にして10秒ほどの動画を撮って送ってもらってください。背景、広さ、音がおおよそ分かります。窓の位置と、日がどちらから当たるかも書き添えてもらうと助かります。
