動画で話す役を任されました。人と話すのは平気なのに、カメラを向けられると頭が真っ白になります。

まず水を一口どうぞ。口が乾くと、言葉もつっかえやすくなりますから。
ふだんの会話では平気なのに、カメラの前に立つと言葉が出てこない。話し終えて見返すと、目が泳いでいて、早口で、表情が固い。動画で話す役を任された人の多くが、同じところでつまずきます。
カメラの前で緊張するのは、話す力が足りないからではありません。ふだんの会話では、相手がうなずいたり笑ったりしてくれるので、それを見ながら話す速さや言葉を調整しています。カメラは何も返してくれません。反応のない相手に向かって話すのは、誰にとっても不自然なことです。
だから、うまく話そうとするより、話しやすい条件をそろえるほうが早く楽になります。この記事では、目線の置き方、話し方のコツ、ひとりでできる練習、本番で緊張を減らす撮り方を書きます。
この記事の要点
- 目線はレンズに置き、画面の自分を見ない
- 一文を短く切って、語尾まで言い切る
- 録って、音だけで聞き直す練習をする
目線は、画面ではなくレンズに置く
カメラに向かって話す動画では、目線の置き場所で見え方が変わります。
| 目線の先 | 見ている人にはこう見える |
|---|---|
| カメラのレンズ | 自分に話しかけられているように見える |
| 画面に映る自分の顔 | 少し下を見ていて、目が合わない |
| 撮っている人の顔 | 横を向いて、誰か別の人と話しているように見える |
| 手元のメモや原稿 | 目が上下に動き、読んでいるのが分かる |
スマホの内側のカメラで自撮りしながら話すと、つい画面の自分を見てしまいます。レンズは画面の上の端にあるので、画面を見ると目線が少し下がります。レンズのすぐ横に小さな付箋を貼り、そこを見て話すと、目線が安定します。
撮ってくれる人がいるなら、カメラのすぐ横に顔を寄せてもらい、その人に話しかけるつもりでレンズを見ます。うなずいてくれる人がレンズの近くにいるだけで、話しやすさはかなり変わります。
聞き手の質問に答える形で撮るなら、目線はレンズではなく聞き手に向けるのが自然です。この撮り方は、お客様インタビュー動画の記事で扱っています。
あわせて読みたいお客様インタビュー動画の撮り方。質問の順番と撮影・編集のコツレンズの高さも見ておきます。カメラが目より低いと見下ろしているように、高すぎると見上げているように映ります。レンズが目の高さに来るよう、台や三脚で合わせてください。
話し方は、短く切って言い切る
カメラの前では、いつもの話し方のくせが目立ちます。よくある悩みと直し方を並べます。
| 悩み | 原因 | 直し方 |
|---|---|---|
| 早口になる | 言うことが多く、時間内に詰め込もうとする | 言うことを減らす。一文の終わりで一拍置く |
| 棒読みになる | 書いた文章を覚えて読んでいる | 話し言葉で言い直す。「〜です」を「〜なんです」に |
| 語尾が消える | 自信がなく、最後を濁す | 「〜かなと思います」を減らし、語尾まで言い切る |
| 表情が固い | 言葉を思い出すことに集中している | 一文ずつ区切って撮る |
| 手の置き場に困る | 手が空いている | 商品や道具など、仕事で使う物を持つ |
一文が長いと、途中で言葉を見失いやすくなります。読点が2つ以上入る文は、2つに分けてください。「この部品は、熱に強く、軽いので、車の部品に使われています」は、「この部品は、熱に強くて軽いんです。だから、車に使われています」と分けると、言いやすく、聞き取りやすくなります。
一文の終わりで一拍置くのは、編集のためでもあります。言葉と言葉のあいだに間があれば、編集で不要なところを切ってつなげます。間なく話し続けると、切る場所がなくなります。

噛んでも止まらなくて大丈夫です。その文の頭から、すっと言い直せば編集でつなげますから。
ひとりでできる練習は、録って聞き直す
話すことに慣れる近道は、自分が話している動画を見ることです。鏡の前で練習するより、スマホで録って見返すほうが、実際にどう見えるかが分かります。
- 01人に話してみる撮る前に、同じ話を同僚や家族に一度話す。言いにくい所が分かる
- 02スマホで録る本番と同じ位置にスマホを置き、通して1回録る
- 03音だけで聞く画面を見ずに聞く。早口・語尾・言いよどみに気づきやすい
- 04映像を見る目線と手の動き、表情を確かめる
- 05直すのは1つだけいちばん気になった所を1つ決めて、もう一度録る
音だけで聞くのは、映像があると自分の顔や髪型に気を取られてしまうからです。話し方の癖は、耳だけのほうがよく分かります。
1回の練習で直すのは1つにします。目線も速さも語尾も一度に直そうとすると、かえって固くなります。何度か録るうちに、言い回しが口になじんできます。

自分の声を録って聞くの、最初はものすごく照れくさいんですよね。でも、何回か録るうちにちゃんと慣れてきます。
本番で緊張を減らす撮り方
本番の撮り方を少し変えるだけでも、話す人の負担は軽くなります。
- 最初の数回は練習のつもりで撮る。「本番です」と言われると固くなるので、最初から録画は回しておく
- 一文ずつ、または二文ずつ区切って撮る。縦型の動画は画を切り替えながら進むことが多いので、つないでも不自然になりにくい
- 撮り始めの合図から、1秒置いてから話し始める。編集で頭を切りやすくなる
- 言うことは、カメラの後ろに大きな字で貼っておく。全文ではなく、話す順の言葉だけにする
全文をカメラの後ろに貼ったり、原稿を流す道具を使ったりすると、読むことに目と頭が取られます。話す順のきっかけの言葉だけを書き、あとは自分の言葉で話すほうが、表情が自然になります。
どうしてもカメラの前に立つのがつらい人を、無理に出す必要はありません。手元や声だけで伝える形もあります。
あわせて読みたい顔出しなしでショート動画を続ける方法。顔を出さない企画の型と注意点話しやすい撮影の場を、一緒につくります
HEART CREATIONでは、出演する方が話しやすい進め方を、企画と撮影の段階から考えます。
- 言うことを話し言葉で組み立て、区切って撮れる形にしてから撮影に入る
- 企画から撮影・編集までを同じチームで受け持ち、言い直しや間も編集で整える
- 社内で撮り続けたい会社には、企画の型・撮影手順・編集ルールを3〜6か月でお渡しする
話すのが苦手な方が出る撮影でも、遠慮なくご相談ください(相談はこちら)。

カメラの前に立ってみようと思えた時点で、もう拍手ものです。あとは慣れだけですよ。
よくある質問
カメラ目線で話すのと、横を向いて話すのはどちらがいいですか?
見ている人に直接語りかけたいなら、カメラ目線が向いています。聞き手の質問に答える形で、落ち着いた雰囲気を出したいなら、聞き手を見て話すほうが自然です。1本の中では、どちらかにそろえます。
方言で話してもいいですか?
地域のお店や会社なら、ふだんの話し方のほうが人柄が伝わることもあります。聞き取りにくい言葉や、地元以外の人に意味が伝わりにくい言い回しには、テロップを添えると安心です。
声が小さいと言われます。どうすればいいですか?
大きな声を出そうとするより、マイクやスマホを口に近づけるほうが確実に聞き取りやすくなります。話す前に一度深く息を吸い、文の終わりまで息を残すつもりで話すと、語尾が消えにくくなります。
何回くらい撮り直せばいいですか?
回数を決めるより、直す所を1つ決めて撮り直すほうがうまくいきます。何度も通しで撮り直すと疲れて表情が固くなるので、区切って撮り、うまく言えた所をつなぐ前提で進めてください。
