「他社より2割安い」「大手より早く届く」って広告に書きたいんです。他社と比べるのって、そもそもやっていいんですか?

比べること自体は反則じゃないんです。ルールの中でやれば、堂々と勝負していいんですよ。
自社の強みを伝えようとすると、自然と「他よりどうか」を言いたくなります。料金表に他社の欄を並べたい、地域でいちばん早いと書きたい。一方で、他社と比べるのは何となく危ない気がして、ぼかした言い方に逃げる会社も少なくありません。
消費者庁は、比較広告そのものは禁止も制限もしていないと説明しています。問題になるのは、比べ方によって、お客さんが実際より著しくよい、またはお得だと誤解する場合です。そのための目安として、比較広告が守る3つの要件が示されています。
この記事では、比較広告のガイドラインに沿って、3つの要件の中身、料金を比べるときにずれやすい所、相手を悪く言わない線引き、出す前の確かめ方を書きます。「No.1」の表示や二重価格は、景品表示法の基本をまとめた別の記事で扱っています。
この記事の要点
- 比較広告は禁止されていない。3つの要件をすべて満たせば使える
- 主張する範囲を調べてあり、調べた範囲のとおりに引用する
- 同じ土俵の相手と比べ、相手をおとしめる言い方はしない
比較広告は、決まりを守れば使える
目安になっているのは「比較広告に関する景品表示法上の考え方」です。1987年(昭和62年)4月21日に公正取引委員会事務局が示し、2016年(平成28年)4月1日に消費者庁が改正しています。
このガイドラインでいう比較広告は、自社の商品と競争関係にある特定の商品を示して、内容や取引条件を、客観的に測ったり評価したりして比べる広告のことです。相手の名前をはっきり書かなくても、「駅前の大手チェーン」のように誰のことか分かる示し方(暗示的に示す場合)も含まれます。それ以外の形で比べる広告も、ガイドラインの考え方に照らして判断するとされています。
ガイドラインは、望ましい比較広告を、お客さんが商品を選ぶときに特徴を比べられる具体的な情報を届けるもの、と位置づけています。つまり、きちんと比べた情報は、お客さんの役にも立つという考え方です。
守るのは3つの要件
不当表示にならないためには、次の3つをすべて満たす必要があるとされています。
| 要件 | 意味 | 外れやすい例 |
|---|---|---|
| 主張が客観的に実証されている | 言いたいことを、調査や測定で確かめてある | 担当者の感覚で「他社より長持ち」と書く |
| 実証した数値や事実を正確・適正に引用する | 調べた条件の範囲で、趣旨どおりに書く | 一部の地域での結果を、全国の話のように書く |
| 比べ方が公正 | 同じ土俵の相手と、大事な点で比べる | 自社の上位品と他社の最も安い品を比べる |
1つ目の実証では、確かめる範囲は、広告で主張する範囲です。「◯◯市で調べたら、A社より当店のほうが好まれた」と書くなら、◯◯市でその比較の調査をしていて、その結果が出ている必要があります。確かめ方は、決まった測り方があればそれに従い、なければ社会通念上妥当な方法で行います。

大がかりな調査でないと比べられない、と思い込んでいる会社は多いんです。小さなお店にはうれしい話ですよ。
ガイドラインには、広い地域で比べる広告なら相当数の調査が要る一方、中小企業が低い値段の商品を一部の地域に限って比べるなら、比較的少ない数の調査で足りる、という例が載っています。また、公的機関が公表している数値や、相手の会社がパンフレットなどで公表している信頼できる数値は、実証されたものとして扱えるとされています。
2つ目の引用では、調査結果を使うとき、調査した機関・時点・場所などを広告の中に書くのが適当とされています。自社で行った調査なのに「権威ある最近の調査によれば」と第三者の新しい調査のように見せる書き方は、不当表示のおそれがある例として挙がっています。
比べる相手と項目で、公正さが崩れる
3つ目の要件、比べ方の公正さは、悪気がなくても外れやすい所です。ガイドラインは、次のような場合を不当表示のおそれがあるとしています。
- 全体の性能にほとんど影響しない一部の項目だけを比べて、全体が優れているように強調する
- 同等と見られていないものと比べて、同等どうしの比較のように見せる
- 製造や販売をやめた商品と比べて、今売っている商品どうしの比較のように見せる
- 長所と切り離せない短所を、ことさら書かない、目立たなく書く

勝てる相手だけをこっそり選んで並べる。作戦のつもりでも、見る人には見抜かれますし、ルールにも外れるんです。
例えば、ハウスクリーニングの会社が「他社より作業が1時間早い」と比べるとき、自社は作業する部屋を絞ったプランで、他社は家じゅうのプランだったとすれば、同じ土俵の比較とはいえません。比べる相手は、お客さんが実際に迷う同じ種類のサービスにそろえます。
料金の比較でも同じことが起きます。消費者庁の資料には、自社に不利になる他社の割引サービスを外して「最も安い」と表示した例や、周りの店の値段を調べずに「この辺で一番安い店」と表示した例が載っています。料金表に他社の欄を並べるなら、相手の割引やセット料金も含めて、お客さんが実際に払う額でそろえます。
他社の料金って、あとから変わることもありますよね。最初に調べたときの表のままでいいんですか?
相手の料金や仕様が変わった時点で、その比較は事実と合わなくなります。比較表には調べた日を書き、相手が料金を改定していないかを定期的に確かめてください。
相手を悪く言う比較はしない
ガイドラインには、中傷やひぼうにわたる比較広告の項目もあります。具体的な情報を届けるためではなく、相手を陥れるために欠点をことさら指摘するもので、事実に反すれば不当表示のおそれがあります。事実に基づいていても、信用を落とす言い方や人を攻撃する言い方で、相手が実際より著しく劣っている印象を与える場合も同じです。さらに、刑法など他の法律や、品位の問題になることもあるとされています。

他社を指さして笑うような広告、見ている側はちょっと引いちゃうんですよね。勝つなら自分の中身で、です。
ほかの法律にも気をつけます。ガイドラインは、景品表示法上は問題のない比較広告でも、著作権法などで禁じられることがあるとしています。他社の商品写真やパンフレットの画像を広告にそのまま載せるのは避け、比べる中身は文字や自社で作った表で示します。また、Google広告では、直接競合する他社の商標を広告文に使うと、商標権者からの申し立てによって制限されることがあります(2026年10月時点)。
あわせて読みたい広告で使えない表現は?景品表示法の優良誤認・有利誤認の基本出す前に確かめる順番
比較の表現を入れた広告は、出す前に次の順で見直します。
- 01主張を1文にする何と比べて、何がどう違うと言っているのかを書き出す
- 02根拠を横に置くその1文を裏づける調査・測定・公表資料を、調べた日つきでそろえる
- 03範囲を合わせる調べた地域・条件・時期の範囲を超えて書いていないか見る
- 04相手をそろえる同じ種類・同じ等級の、今売っている商品やプランと比べているか見る
- 05言い方を見る相手を悪く言っていないか、長所と一体の短所を隠していないか見る
根拠の資料は、広告ごとにひとまとめにしておきます。問い合わせや指摘があったとき、すぐに出せる状態にしておくためです。
比べて伝わる広告を、根拠から一緒に
HEART CREATIONでは、広告の企画・素材づくりから配信、行き先のLPまでを同じチームで引き受けています(サービス一覧)。
- 自社の強みを、何と比べると伝わるかから一緒に考える
- 比較の表現に、根拠の資料と調べた日がそろっているかを制作の段階で確かめる
- 比較表や条件を、動画とLPの両方で読める形にする
表現が法的に問題ないかの最終判断は専門家の領域ですが、「他社との違いをどう見せるか」のご相談は早い段階からどうぞ。初回のご相談は無料で、オンライン60分でも承ります(ご相談はこちら)。

比べたい表現があったら、出す前に一度見せてください。言い方の候補を一緒に出しますね。
よくある質問
広告に他社の名前を出して比べてもいいですか?
比べること自体は禁止されていません。主張を客観的に確かめてあること、確かめた範囲のとおりに引用すること、比べ方が公正であることの3つを満たせば使えます。相手を悪く言う書き方や、他社の写真をそのまま使うことは避けてください。
「A社」「某社」と名前を伏せれば、比較広告の決まりは関係なくなりますか?
関係します。ガイドラインは、名前を書かなくても誰のことか分かる示し方も比較広告に含めています。「駅前の大手チェーン」のような書き方でも、3つの要件を満たしているかを確かめてください。
自社で行ったアンケートを、比較の根拠にしてもいいですか?
使えます。ガイドラインは、第三者の調査が望ましいとしつつ、方法が妥当であれば広告主と関係のある調査も根拠にできるとしています。その場合も、自社の調査であることや調査の時点を隠して、第三者の調査のように見せないようにします。
比較表に載せた他社の料金が変わったら、どうすればいいですか?
相手の料金が変わった時点で、その比較は事実と合わなくなります。表に調べた日を書き、定期的に相手の料金を確かめて、変わっていたらすぐ直してください。直せないあいだは、その比較を外すほうが安全です。
