広告の報告書に「CPA」「ROAS」って並んでいるんですが、正直よく分かりません。どこを見ればいいんですか?

アルファベットに身構えなくて大丈夫です。どっちも割り算ひとつで出せる数字なんですよ。
広告を始めると、管理画面や代理店の報告書に英語の略語が並びます。中でもよく出てくるのが、CPAとROASです。なんとなく「低いほうがいい」「高いほうがいい」とは聞いていても、自社にとって今の数字が良いのか悪いのか、判断できずにいる人は多いはずです。
先に要点を書きます。CPAは「成果1件を取るのにかかった広告費」、ROASは「広告費に対して、広告から生まれた売上が何%か」です。どちらも計算は簡単ですが、数字だけ見ても良し悪しは決まりません。自社の粗利から「ここまでなら払える」という線を先に引き、その線と比べて初めて読めるようになります。
この記事では、2つの指標の意味と計算、良し悪しを決める線の引き方、数字が動いたときの読み方を書いていきます。
この記事の要点
- CPAは、成果1件にかかった広告費
- ROASは、広告費に対して戻ってきた売上の割合
- 良し悪しは、自社の粗利から引いた線と比べる
CPAとROASを、ひと言で
まず全体を表にまとめます。
| CPA | ROAS | |
|---|---|---|
| 正式な言い方 | Cost Per Acquisition(Actionとも) | Return On Ad Spend |
| 計算 | 広告費 ÷ 成果の件数 | 広告から生まれた売上 ÷ 広告費 × 100(%) |
| 分かること | 1件取るのにいくらかかったか | 広告費の何倍の売上が戻ったか |
| 良い方向 | 低いほど良い | 高いほど良い |
| 向く商売 | 問い合わせ・予約・資料請求など、その場で金額が決まらない | ネットショップなど、1件ごとの売上が分かる |
ここでいう「成果」は、問い合わせや予約、購入など、広告で増やしたい行動のことです。何を1件と数えるかは、SNS運用のKPIの記事でも書いています。
Google 広告では、1件あたりの費用を目標にして配信を調整する「目標コンバージョン単価」と、広告費に対する売上の割合を目標にする「目標広告費用対効果」という設定があります(2026年10月時点)。前者がCPA、後者がROASの考え方です。
例えば工務店の問い合わせ広告ならCPAを、通販のお菓子の広告ならROASを主に見ます。問い合わせの時点では、いくらの工事になるか分からないからです。
CPAは「1件にいくらまで払えるか」と比べる
CPAの数字だけを見て「高い」「安い」は決まりません。比べる相手は、自社の「1件にいくらまで払えるか」という線です。
この線は、次の2つから出します。
- 1件の成約で残る粗利(売上から原価を引いた分)
- 問い合わせのうち、成約までいく割合
例えば、問い合わせ3件のうち1件が成約する商売なら、問い合わせ1件に払えるのは、1件の成約で残る粗利の3分の1までです。それを超えるCPAなら、広告を出すほど赤字が増えます。線を引かずにCPAを眺めても、良いか悪いかは分かりません。
リピートのある商売では、初回の売上だけで線を引くと厳しくなりすぎます。美容室のように通い続けてもらえる商売なら、平均して何回来てもらえるかまで含めて考えます。

CPAが安いと喜んでいたら、来たのは成約しない問い合わせばかり。これは泣けますよね。
CPAが安いことと、売上につながることは別です。届ける相手を広げると、CPAは下がっても成約しない問い合わせが増えることがあります。CPAの隣に、成約の件数を並べて見てください。
ROASは売上の割合。利益ではない
ROASでよくある誤解は、「100%を超えれば黒字」というものです。ROAS 100%は、広告費と同じだけの売上が戻ったという意味です。売上には商品の原価が含まれるので、原価を引くと手元にはそれより少ないお金しか残りません。
元が取れるかどうかの分かれ目は、粗利率から出せます。
| 粗利率(売上に対する粗利の割合) | 元が取れる分かれ目のROAS |
|---|---|
| 50% | 200% |
| 40% | 250% |
| 25% | 400% |
計算は「100% ÷ 粗利率」です。粗利率40%の商品なら、ROASが250%を超えたところで、ようやく広告費の分を粗利で取り返せます。

ROASが100%なら元が取れた、と思いがちなんです。粗利で見直すと赤字、ということがあるんですよ。
似た言葉にROI(投資に対する利益の割合)があります。ROASが売上で見るのに対して、ROIは利益で見ます。社内で報告するときは、どちらの数字かを言葉で添えておくと混乱しません。
管理画面の数字は「数えた分だけ」
CPAもROASも、管理画面が成果として数えた件数や売上から計算されています。数えていないものは、入っていません。
- 広告を見て、電話や店頭で申し込んだ人
- 広告で知って、あとから店名で検索して来た人
- 計測のコードが外れていて、数え漏れた申し込み
こうした成果が多い商売では、管理画面のCPAは実際より高く、ROASは低く見えます。逆に、同じ申し込みを二重に数えていれば、実際より良く見えます。数え方の確かめ方は、広告の成果が出ないときの記事で書いています。
あわせて読みたい広告の成果が出ないときに見直す順番。設定を触る前に確かめることまた、成果の件数が少ないうちは、1件増えるか減るかで数字が大きく動きます。数件の段階では、日ごとの上下で判断しないようにします。
CPAが上がったら、分けて読む
CPAは、次のように分けられます。
CPA = 1クリックあたりの費用 ÷ クリックした人のうち成果になった割合
つまりCPAが上がったときは、どちらが動いたのかを見ます。
| 動いた数字 | 考えられること |
|---|---|
| 1クリックあたりの費用が上がった | 素材が飽きられてきた、同じ相手を狙う広告が増えた |
| 成果になる割合が下がった | 行き先のページと広告の約束がずれた、届ける相手が変わった |
先月よりCPAが上がっています。広告は止めたほうがいいですか?
まず、払える線の内側かどうかを見ます。内側なら、すぐに止める必要はありません。そのうえで、上の表のどちらが動いたかを確かめ、直す場所を絞ります。線を超えた状態が続くなら、止めることも含めて考えます。
数字の読み方から、一緒に整えます
HEART CREATIONでは、広告の配信だけでなく、素材の制作、行き先のLP、計測の設計までを同じチームで引き受けています。
- 自社の粗利と成約率から、払えるCPA・分かれ目のROASを一緒に出す
- 電話や店頭の成果も含めて、何を1件と数えるかを決める
- 数字が動いたときに、素材とページのどちらを直すかを判断する
「報告書の数字が読めない」という段階からで大丈夫です。初回のご相談は無料で、オンライン60分でも承ります(ご相談はこちら)。

「1件にいくらまで払えるか」が決まれば、報告書はぐっと読みやすくなります。そこから始めましょう。
よくある質問
CPAとCPCの違いは何ですか?
CPCは1クリックにかかった広告費、CPAは成果1件にかかった広告費です。クリックされても成果にならなければCPAは上がるので、問い合わせや購入を増やしたいならCPAを主に見ます。
ROASは何%あれば良いのですか?
決まった正解はなく、商品の粗利率で変わります。元が取れる分かれ目は「100% ÷ 粗利率」で出せるので、まず自社の分かれ目を計算し、それを超えているかで判断します。
ROASとROIの違いは何ですか?
ROASは広告費に対する売上の割合、ROIは投資に対する利益の割合です。ROASが高くても、原価や人件費を引くとROIは低いということがあります。
問い合わせが成果の商売でもROASは使えますか?
問い合わせの時点では売上が決まらないので、そのままでは使いにくい指標です。まずはCPAを見て、成約した売上を後から広告ごとに集計できるなら、ROASも合わせて見ていきます。
