会社紹介の動画で、社屋を空から撮りたいんです。ドローンって、勝手に飛ばしてもいいんでしたっけ?

空は飛行機と同じ空なんですよ。どこで、どう飛ばすかで手続きが変わるので、まずそこから確かめましょう。
ドローンの空撮は、会社紹介や採用、施工事例の動画でよく使われます。高い位置からの1カットで、建物の大きさや街との位置関係が一度に伝わるからです。その一方で、飛ばしてよいかどうかの決まりは、思っているより細かく分かれています。
要点は3つです。100g以上の機体は航空法の「無人航空機」として登録が要ること。人口集中地区の上空など決まった場所と、夜間や人の近くなど決まった飛ばし方では、国の許可や承認が要ること。そして航空法とは別に、施設や土地、自治体の決まりもあることです。
この記事では、国土交通省の資料(2026年10月時点)をもとに、許可が要る場所と飛ばし方、航空法の外にある決まり、撮影を頼む前に発注する側が確かめることを扱います。
この記事の要点
- 100g以上は無人航空機。登録が要る
- 場所と飛ばし方で、許可・承認が要る
- 土地や施設、自治体の決まりも別にある
100g以上の機体は「無人航空機」
航空法では、機体とバッテリーを合わせた重さが100g以上のドローンやラジコン機を「無人航空機」として扱います。2022年6月20日からこの線になりました。無人航空機は登録を受けたものでなければ、原則として飛ばせません。
100g未満の機体は「模型航空機」で、無人航空機の飛行ルールは当てはまりません。ただし、空港の周辺や一定の高さ以上を飛ばすときは国の許可が要る規定(航空法第134条の3)があります。後で触れる法律や条例は、重さに関係なく当てはまることがあります。小さい機体なら何をしてもいい、というわけではありません。
許可が要る場所、承認が要る飛ばし方
無人航空機を飛ばすときは、場所と飛ばし方の両方を確かめます。国土交通省は、次の場所を飛行禁止空域としています。
| 場所 | 中身 |
|---|---|
| 空港などの周辺 | 空港やヘリポートの周りの決まった範囲の上空 |
| 緊急用務空域 | 災害の捜索・救助などで指定される空域。飛ばす前に指定の有無を確かめる |
| 地表または水面から150m以上 | 管轄する管制機関との調整も要る |
| 人口集中地区の上空 | 人や家が密集している地域。駅前や住宅街が当たることがよくある |
飛ばし方では、どこで飛ばす場合も、お酒を飲んだ状態で飛ばさない、飛ばす前に機体や天気を確かめる、他人に迷惑をかけない、といったルールを守ります。そのうえで、次のルールによらずに飛ばすには承認が要ります。
- 昼間(日の出から日没まで)に飛ばす
- 目で直接見える範囲で飛ばす。モニターだけを見て飛ばすのは目視外になる
- 第三者や第三者の建物・車などから30m以上離す
- 祭りや縁日など、人が集まる催しの上空で飛ばさない
- 危険物を運ばない・物を落とさない
例えば、社屋の前に社員が並んで手を振る場面を真上から撮る、夕暮れの工場を撮る、といった画は、条件によっては人との距離や夜間の承認が関わってきます。
これらの場所や飛ばし方に当たる飛行は「特定飛行」と呼ばれます。特定飛行をするには、原則として許可・承認の申請が要ります。国土交通省は、飛ばす予定日の少なくとも10開庁日前(土日・祝日を除く)までに申請書類を出すよう求めています。許可・承認を受けた特定飛行では、飛行計画の通報と飛行日誌の記録も要ります。

お祭りや花火大会を上から、はいちばん手続きが重い撮り方なんです。気軽には頼めないと思っておいてください。
国の操縦者の資格(無人航空機操縦士)は2022年12月5日に始まりました。民間の講習団体の技能認証で申請の一部を省ける運用は、2025年12月18日に廃止されています。許可や承認を受けずに飛ばすと、拘禁刑または罰金の対象になります。
航空法の外にも、決まりがある
航空法の許可が要らない場所でも、飛ばせないことがあります。国土交通省のガイドラインが挙げているものを中心に整理します。
| 決まり | 確かめること |
|---|---|
| 小型無人機等飛行禁止法 | 国の重要施設や対象の空港の周辺。2026年7月14日の改正で、範囲が広がった空港がある |
| 自治体の条例 | 公園などの上空での飛行を禁じていることがある |
| 土地の持ち主の意向 | 他人の土地の上空を飛ばすと、所有権の侵害とされる可能性がある |
| 神社仏閣・河川など | 管理者が上空の飛行を禁じていたり、手続きが要ったりする |
| 電波法 | 使う機体や電波が決まりに合っているか |
| プライバシー | 総務省のガイドラインに沿って、写り込んだ人や家に配慮する |
空撮の映像は、地上で撮るよりも広い範囲が写ります。隣の家の庭や洗濯物、通行人の顔が写っていないか、公開する前に必ず確かめます。

社屋を撮ったつもりが、隣の家の庭までくっきり。公開してから気づくと、冷や汗ものなんです。
撮影を頼む前に、発注する側が確かめること
許可や承認を申請するのは、実際に飛ばす操縦者や運航する会社です。ただ、撮りたい画を決めるのは発注する側なので、次のことは頼む前に確かめておくと話が早く進みます。
- 01撮りたい画を決めるどの高さから、何を、どの向きで撮りたいかを1枚にまとめる
- 02場所の条件を調べる人口集中地区や空港の周辺に当たるかを地図で確かめる
- 03許可と登録を確かめる機体の登録、許可・承認の範囲(場所・期間・飛ばし方)、保険への加入を聞く
- 04地元の了解を取る敷地や周りの土地・施設の管理者、近所への声かけを済ませる
- 05予備日を入れる風や雨で飛ばせない日のために、撮影日を2つ用意する
国土交通省のガイドラインは、事業として飛ばす人に向けて、撮影の内容によって安全の確保が難しいときは、そのことを依頼者に伝えて理解を得ることも大切だとしています。操縦者に「この画は難しい」と言われたら、それは手を抜いているのではなく、安全のための判断です。
高い位置からの画が欲しいだけなら、屋上や近くの高い場所から撮れば足りることもあります。空撮が本当に要る場面かどうかを、企画の段階で決めておきます。撮影当日までの準備や、場所ごとの許可の取り方は、こちらにまとめています。
あわせて読みたい動画撮影の準備は何をする?撮影当日までに会社側でそろえること空撮を入れるかどうかから、HEART CREATIONに
- 会社紹介や採用の動画で、空撮が本当に要る場面かを企画の段階で決める
- 空からのカットと地上の撮影・編集をつなぐ構成を考える
- 人の顔や家・車のナンバーなどの写り込みを、編集の段階で一緒に確かめる
打ち合わせはオンラインで、撮影は東京・横浜を拠点に全国へ出張しています。初回のご相談は無料です。

撮影はどこへでも出張でうかがいます。空撮が要るかどうかも、企画の段階で一緒に決めましょう。
よくある質問
100g未満のドローンなら、許可なしでどこでも飛ばせますか?
100g未満は航空法の無人航空機には当たりませんが、空港の周辺や一定の高さ以上を飛ばすときは国の許可が要ります。小型無人機等飛行禁止法や自治体の条例、土地の持ち主の意向は重さに関係なく当てはまることがあります。
自分の会社の敷地の中なら、ドローンを自由に飛ばせますか?
敷地の中でも、人口集中地区や空港の周辺に当たれば許可が要ります。夜間に飛ばす、関係者以外の人や物の近くを飛ばすといった場合も、承認が要ることがあります。
ドローンの飛行許可の申請は、いつまでに出せばいいですか?
国土交通省は、飛ばす予定日の少なくとも10開庁日前(土日・祝日を除く)までに申請書類を出すよう求めています。撮影日が決まったら、早めに操縦者に伝えておきます。
ドローンの撮影を頼んだ会社が、許可を取る必要がありますか?
許可や承認を申請するのは、実際に飛ばす操縦者や運航する会社です。頼む側は、許可・承認の範囲が撮りたい場所や時間、飛ばし方に合っているかを確かめておきます。
ドローンで撮った映像に通行人が写ったら、どうすればいいですか?
顔や家の中など、人が特定できるものが写っていれば、ぼかすか別のカットに差し替えます。総務省のガイドラインに沿って、公開前に確かめる手順を決めておくと安心です。
