社長に「SNSで動画をやりたいなら、企画書を出して」と言われました。何から書けばいいのか、手が止まっています。

企画書は、決める人が「やる・やらない」を決める紙なんです。その人が知りたい順に並べると通りやすいですよ。
企画書で手が止まるのは、書くことが多すぎるからです。現状の分析、他社の例、やりたい動画のアイデア。集めた材料を全部入れようとすると、何を決めてほしい紙なのかが見えなくなります。
企画書の読み手は、作る人ではなく決める人です。決める人が知りたいのは、なぜやるのか、どうなったら成功なのか、何が要るのか、いつ判断できるのか。この問いに順番に答える形にすると、項目は自然に決まります。
この記事では、企画書と台本の違い、入れる8つの項目、案の並べ方、決める人がつまずく質問の先回り、書く順番を扱います。
この記事の要点
- 企画書の読み手は、やるかどうかを決める人
- 目的と判断の基準を先に、アイデアは後に
- 1枚目に3行の要約を置く
企画書は、決める人のための紙
動画やSNSの仕事で作る紙は、読み手ごとに役割が違います。企画書のつもりで台本を書いてしまう、という取り違えがよく起きます。
| 紙 | 読む人 | その紙で決めること |
|---|---|---|
| 企画書 | 社長・上司・決裁する人 | やるか、やらないか。どれだけの人と時間をかけるか |
| 台本 | 撮る人・出る人・編集する人 | 1本の中で、何をどの順で見せて言うか |
| 依頼書 | 社外の制作会社や出演者 | 何を、いつまでに、どの条件で頼むか |
企画書が通ったあとで、1本ずつの台本を書きます。台本の書き方は別の記事にまとめています。
あわせて読みたいショート動画の台本の書き方。冒頭のあとの構成と、表1枚の書式企画書に台本の細かさは要りません。代わりに、決める人が「それなら任せてみよう」と言える材料をそろえます。

現状分析が何ページも続くと、読む側はあくびが出ちゃうんです。結論は1枚目に置いてください。
入れる8つの項目
項目は次の8つです。上から順に、決める人の問いに答える並びになっています。
| 項目 | 書くこと | 例(地域の歯科医院) |
|---|---|---|
| 1. 背景 | いま困っていることを、事実と数字1つで | 予防歯科の予約が、新規の方からほとんど入らない |
| 2. 目的 | 増やしたい数字を1つ | 予防歯科の新規予約 |
| 3. 相手 | 見てほしい人を1行で | 歯医者に半年以上行っていない、30〜40代の近所の人 |
| 4. 伝えること | その人に何を約束するか | 痛くなる前に来ていい場所だと分かる |
| 5. 中身 | 企画の案。型やシリーズ、最初の数本の題 | 「診察台から見える景色」の連載 |
| 6. 進め方 | 期間・本数・作る人・確認する人 | 3か月、週2本。撮影は衛生士、確認は院長 |
| 7. 判断の基準 | いつ、何を見て、続けるか止めるか | 3か月後に、予約時の「何で知ったか」の数で決める |
| 8. 要るもの | 人の時間・外に頼む範囲・道具の内訳 | 撮影と確認で週に何時間、編集は外に頼む |
なかでも大事なのは、2の目的と7の判断の基準です。再生数やフォロワー数ではなく、その先の予約や応募、問い合わせを目的に置くと、決める人は自分の仕事の言葉で判断できます。目的の数字の選び方は、こちらで詳しく扱っています。
あわせて読みたいSNS運用のKPIは何を見るか。会社の数字から逆算して3つに絞る当社が作った企業漫画『感動をデザインする』は、町工場の採用動画で「バズらせて」と頼まれたところから、追う数字を応募数に決め直す話です。企画書の目的の欄で起きることも、これと同じです。漫画はこちら。
案は2〜3つ並べて、おすすめを1つ
中身の案を1つだけ出すと、決める人は「いいか、だめか」でしか答えられません。2〜3つの案を同じ物差しで並べると、「どれにするか」を選ぶ話に変わります。
| 案A 手元の連載 | 案B スタッフの一問一答 | 案C 院長の解説 | |
|---|---|---|---|
| ねらい | 治療の怖さを減らす | 人柄で選んでもらう | 専門性を伝える |
| 顔を出す人 | なし | 衛生士・受付 | 院長 |
| 1本の手間 | 少ない | 中くらい | 多い |
| 続けやすさ | 高い | 出る人しだい | 院長の予定しだい |
並べたら、おすすめを1つ選び、理由を2〜3行で書きます。「どれでもいいです」という企画書は、決める人に考える手間を戻してしまいます。
案の雰囲気が伝わりにくいときは、参考になる他社の動画のリンクや、最初の1本の絵を描いた紙を1枚添えます。言葉で長く説明するより、早く伝わります。
決める人がつまずく質問に、先に答えておく
企画書が止まるのは、たいてい中身ではなく、そのまわりの心配です。よく出る質問を先に書いておきます。
- 誰がやるのか。本業の時間はどのくらい減るのか
- 投稿前に誰が確認するのか。まずい内容が出たらどうするのか
- 社員や患者さん、お客さんを写すときの了解はどう取るのか
- うまくいかなかったら、いつ、どうやって止めるのか
最後の「止めるとき」を書いてある企画書は、決める側にとって安心材料になります。始める前に終わり方が決まっていれば、試してみる判断がしやすくなるからです。

「いつ、何を見て止めるか」まで書いてある企画書は、決める側も安心してハンコを押せるんですよ。
書く順番と、1枚目の要約
8つの項目は、上から順に書かなくてかまいません。書きやすい順は次のとおりです。
- 01目的と判断の基準を書く増やしたい数字と、いつ何で判断するかを先に決める
- 02相手と伝えることを書く見てほしい人を1行にし、その人への約束を1つに絞る
- 03案を2〜3つ並べる同じ物差しの表にして、おすすめと理由を添える
- 04進め方と要るものを書く期間・本数・担当と、人の時間や外に頼む範囲の内訳
- 051枚目に要約を書く目的・おすすめの案・判断する日を3行にまとめる
- 06声に出して説明してみる決める人に5分で話せるかを、同僚相手に試す
1枚目の要約は、例えば「予防歯科の新規予約を増やすため、手元の連載を3か月、週2本出します。3か月後に、予約時に聞く『何で知ったか』の数で続けるかを決めます」のような3行です。忙しい決める人は、ここだけ読んで判断することもあります。
企画書の骨組みから、HEART CREATIONと一緒に
- 再生数ではなく、その先に増やしたい数字を決めるところから企画書の骨組みを作る
- 入口を変えた複数の案を同時に出し、2週間で結果を見て寄せていく進め方を、判断の基準として書き込む
- 企画・撮影・編集・運用を同じチームで受け持ち、企画書に書いたことがそのまま現場に渡る
「何をすべきか分からない」段階でのご相談も歓迎しています。初回は無料で、オンライン60分でもお受けしています。ご相談の窓口からどうぞ。

書きかけの企画書でも大丈夫です。そのまま見せていただければ、一緒に組み直しますね。
よくある質問
SNS運用の企画書は、何枚くらいにまとめればいいですか?
枚数の決まりはありませんが、決める人が5分ほどで読み終えられる量が目安です。1枚目に3行の要約を置き、細かい資料は後ろに回すと読みやすくなります。
企画書と提案書は、何が違いますか?
呼び方は会社によってまちまちですが、社内でやるかどうかを決めてもらう紙を企画書、社外の相手に自社の案を勧める紙を提案書と呼び分けることが多いです。どちらも、読む人が決めたいことの順に書く点は同じです。
動画の企画書には、どこまで具体的な中身を書けばいいですか?
型やシリーズ名、最初の数本の題までで十分です。1本ずつの台詞やカット割りは、企画が通ってから台本で決めます。
企画書の予算は、どう書けばいいですか?
合計だけでなく、社内の人の時間、外に頼む作業、広告などに分けて書きます。何にかかるのかが見えると、決める人が削る場所と残す場所を選びやすくなります。
企画書が通らなかったときは、どこを直せばいいですか?
中身の案より先に、目的の数字と判断の基準が決める人の考えと合っていたかを聞いてみます。そこがずれていると、案をいくら変えても通りにくいままです。
