商品をきれいに撮って動画にしているのに、ぜんぜん売れないんです。

商品が好きな人ほど、いちばんきれいな角度ばかり撮るんですよね。その気持ちはよく分かります。
ネットショップを持っている会社がショート動画を始めると、まず作りがちなのが「商品を回転台に載せて、きれいな光で撮る」動画です。見栄えはいいのに、反応が薄い。カタログの写真を動かしただけになっているからです。
通販で買う人が迷うのは、見た目ではなく「手に取れば分かること」が分からない点です。大きさ、重さ、手ざわり、使ったときの感じ。商品紹介のショート動画は、その確かめられない部分を代わりに見せる道具として考えると、何を映すかが決まります。
この記事では、物販の商品紹介動画について、買う前の不安ごとの映し方、1本の動画で扱う範囲、見たあとの行き先までを順に整理します。飲食店や店舗の来店につなげる動画は、別の記事で扱います。
この記事の要点
- 商品の見た目より、買う前の不安を映す
- 1本で答える不安は1つに絞る
- 動画の行き先は、その商品のページにする
画面の向こうでは、商品に触れない
店頭なら、お客さんは商品を手に取り、裏返し、開け閉めして確かめます。通販ではそれができません。写真と説明文を読んでも残る「本当にこれで合っているか」という迷いが、買う手前で指を止めます。
例えば、手作りの革財布を売っているお店なら、正面の写真だけではカードが何枚入るのか、入れたらどれくらい膨らむのかが分かりません。カードを1枚ずつ差し込み、閉じて、横から厚みを見せる。それだけで、商品ページの「カード収納8枚」という一行が、見る人の手の感覚に変わります。
動画が写真より強いのは、時間が流れることです。開ける、曲げる、注ぐ、たたむといった動きは、写真では伝わりません。触れない部分を映すと決めると、撮るべき場面は自然に絞られていきます。
不安ごとに、映し方を決める
買う前の不安は、商品によって違います。よく出てくるものを、映し方と並べるとこうなります。
| 買う前の不安 | 映し方 | 例 |
|---|---|---|
| 大きさ | 手や身近な物と並べる。実際に入れる・持つ | トートバッグに水のペットボトルと財布を入れる |
| 質感・素材 | 斜めから光を当てて寄る。曲げる・こする | タオルで水をこぼした跡を拭き取る |
| 使い勝手 | 使い始めから終わりまで、手元を切らずに撮る | 水筒のふたを片手で開けて飲む |
| 届いたとき | 箱を開けるところから中身を出すまで | 贈り物用の包装をほどく |
| 長く使ったら | 新品と使い込んだ品を並べる | 1年使った鉄のフライパンと新品 |
どの不安から映すかは、作る側の思い込みで決めないほうが確かです。お客さんから届く質問、レビューに書かれた不満、返品やキャンセルの理由。この3つを読み返すと、「思ったより小さかった」「色が写真と違った」のように、同じ言葉が何度も出てくることがあります。その言葉が、最初の1本の題材です。

「思ったより小さかった」で返品。地味につらいんですよね。あれ、先に動画で見せておけば減らせるかもしれません。
1本で答える不安は1つにする
商品の良さを知ってほしい気持ちが強いと、1本の動画に機能を全部並べたくなります。軽い、丈夫、洗える、色が5色ある。ところが、短い動画で4つを順番に見せると、見る人の頭にはどれも残りません。
折りたたみ傘を例にすると、「軽さ」「たたみやすさ」「風への強さ」は、それぞれ別の1本にできます。軽さなら、かばんに入れて持ち上げる。たたみやすさなら、濡れた傘を片手でたたんで袋に入れる。風への強さなら、扇風機の前で開いてみる。1本で1つの不安に答えると、見る人は「自分が気にしていたのはこれだ」と分かりやすくなります。
使う人の場面から考えるのも一つの方法です。同じ水筒でも、通勤で使う人は「かばんの中で漏れないか」、子どもに持たせる親は「小さな手で開けられるか」を気にします。誰がどこで使うかを1本ごとに決めると、映す場面も声の一言も決まります。
不安の数だけ動画ができるので、1つの商品から数本のシリーズが作れます。入口を変えた数本を同時に出し、反応の良かった切り口に寄せていくやり方もあります。

機能を全部、順番に紹介する動画。作った側は満足なんですけど、見ているほうはだんだん眠くなっちゃうんですよね。
見たあとに、迷わず商品ページへ
動画で不安が晴れた人が次に知りたいのは、値段と買い方です。ここでつまずくと、せっかくの1本が売上につながりません。
- 行き先はショップのトップではなく、その商品のページにする
- 動画で見せた場面を、商品ページの最初の画面にも置く
- 価格、送料、届くまでの日数は、聞かれる前に説明文か商品ページの上のほうに書く
- 色やサイズが複数ある商品は、動画に出てきたものがどれかを分かるようにする
動画では「片手で開く」ことを見せたのに、商品ページの1画面目が容量の表だった、というずれはよく起こります。動画と行き先の言葉や場面をそろえる考え方は、こちらの記事にまとめています。
あわせて読みたい動画とLPの訴求をそろえる。タップした人を迷わせないつなぎ方アプリの中で購入まで完結する仕組みもあります。TikTokでは、アプリ内で商品を販売・購入できる「TikTok Shop」が2025年6月30日に日本で提供開始されました。自社のネットショップに来てもらうのか、アプリの中で買ってもらうのかで、動画の締めの一言も変わります。どちらを主にするかは、動画を作る前に決めておいてください。
HEART CREATIONでお手伝いできること
商品紹介の動画は、撮影の上手さより「何を映すか」の選び方で差がつきます。HEART CREATION では、こんなところからご一緒しています。
- お客さんの質問やレビューから、商品ごとの「買う前の不安」を一緒に洗い出す
- 不安ごとに入口を変えた複数本を企画し、撮影・編集まで同じチームで引き受ける
- 動画の行き先になる商品ページやLPの1画面目を、動画に合わせて直す
再生数ではなく、商品ページへの移動や購入の数を最初に決めてから組み立てます。ほかに扱っている内容はサービス一覧をご覧ください。

商品ページを画面で一緒に見ながらのご相談でも大丈夫です。「どれから撮るか」の段階で声をかけてください。
よくある質問
商品が多いのですが、全部の商品で動画を作るべきですか?
全部を作る必要はありません。まずは売れ筋の商品か、問い合わせや返品の多い商品から始めてください。不安がはっきりしている商品ほど、動画で答えたときの変化が分かりやすくなります。
開封するところを撮った動画は、商品紹介に向いていますか?
贈り物に使われる商品や、包装に工夫がある商品では向いています。届いたときの様子は、買う前に想像しにくい部分だからです。中身を取り出したあとに、使う場面を少しだけ見せると、開封だけで終わらない動画になります。
動画の中で価格を見せたほうがいいですか?
価格で迷われやすい商品なら、最後に一言入れておくと親切です。ただ、価格は変わることがあるので、動画に焼き込むより説明文や商品ページで確実に見られるようにしておくほうが管理は楽です。
メーカーが作った紹介動画を、そのまま自社のSNSに載せてもいいですか?
メーカーの動画には権利があるので、使ってよい範囲を必ず確認してください。許可があっても、どの販売店にも同じ動画が流れていると埋もれがちです。自社のお客さんがよく聞く点に答える1本を、自分たちで撮るほうが選ばれる理由になります。
