社長に「うちの評判、ネットでどう言われてるか調べておいて」と言われました。何から見ればいいんでしょう。

自分の会社の名前で検索するのって、ちょっと逃げたくなりますよね。でも、聞こえていない声のほうが怖いんです。
お客さんは、会社の公式アカウントに向かって本音を書くとは限りません。「あのお店、接客は良かったけど待ち時間が長かった」「ここの説明、分かりにくい」。こうした声の多くは、お客さんが自分のアカウントで、友人やフォロワーに向けて書いています。会社に通知は届かないので、探しに行かないと見えません。
自社の名前や商品名でSNSを検索し、お客さんの声を集めて仕事に生かすことを、ソーシャルリスニングと呼びます。大きな道具を入れなくても、検索する言葉を決め、調べる場所と曜日を決め、拾った声を分けて記録すれば始められます。
この記事では、検索する言葉の一覧の作り方、調べる場所、拾った声の分け方と記録、社内での使い方を書きます。
この記事の要点
- 検索するのは、お客さんが実際に呼んでいる名前
- 拾った声は「ほめ言葉・困りごと・誤解」に分ける
- 声の主に話しかけず、現場とサイトを直す
検索するのは「お客さんが呼んでいる名前」
最初に、検索する言葉の一覧を作ります。正式な社名だけで検索すると、ほとんど何も出てこないことがあります。お客さんは、会社が名乗っている名前で書くとは限らないからです。
| 言葉の種類 | 例(駅前のパン屋の場合) |
|---|---|
| 正式名と略称 | 店名、店名の略し方、英字表記 |
| よくある書き間違い | ひらがな・カタカナ・漢字の違い、似た店名との混同 |
| 商品名・メニュー名 | 看板商品の名前、季節限定の名前 |
| 場所と業種 | 「〇〇駅 パン屋」「〇〇商店街 パン」 |
| 店主やスタッフの呼ばれ方 | 「パン屋のおばちゃん」「店長さん」 |
| 専用のハッシュタグ | 店が案内しているタグ |
※ 例は書き方を示すためのものです。
一覧は、現場の人に見せて足してもらいます。電話口でお客さんが言う呼び方、レシートを見て間違えられやすい読み方は、現場の人のほうが知っています。この一覧が、調べものの網になります。
どこで調べるか
調べる場所は、自社のお客さんが使っている媒体に絞ります。全部を毎回見る必要はありません。
| 場所 | 調べ方 | 拾いやすい声 |
|---|---|---|
| X | 検索、高度な検索 | その場の感想、不満、待ち時間や混雑 |
| キーワードとハッシュタグの検索 | 写真付きの感想、来店の記録 | |
| TikTok | キーワード検索 | 動画での紹介、行ってみた系の投稿 |
| Googleマップ | 自社の口コミ | 来店後の評価、具体的な不満 |
| ウェブ全体 | Googleアラート | ブログやニュースでの紹介 |
Xの高度な検索では、すべての語を含む、語順どおりの語句を含む、特定の語を含まない、特定のハッシュタグを含むといった条件や、言語・アカウントなどで絞り込めます。利用にはログインが必要です(2026年10月時点のXヘルプセンターの説明)。「店名」を含み「求人」を含まない、のように除く語を決めておくと、関係のない投稿を減らせます。
Googleアラートは、登録した言葉について新しい検索結果が見つかると、メールで知らせてくれる仕組みです。頻度や言語、地域を選べます。SNSの外で書かれた紹介や記事に気づくための見張り役として、社名と看板商品の2つほどを登録しておくと便利です。
Googleマップの口コミに返信するときの考え方は、別の記事にまとめています。
あわせて読みたいGoogleの口コミへの返信の書き方。例文と、悪い口コミに返すときの考え方拾った声は3つに分ける
見つけた声は、その場で一喜一憂せず、種類で分けます。分けると、それぞれ渡す先が決まります。
| 種類 | 例 | 渡す先と使い方 |
|---|---|---|
| ほめ言葉 | 「クロワッサンが毎回同じ焼き色で安心」 | スタッフに共有。投稿やサイトの言葉の材料にする |
| 困りごと・不満 | 「土曜の昼は駐車場が空いてない」 | 現場の責任者へ。直せるものから直す |
| 誤解・間違った情報 | 「あそこは予約できない」(実はできる) | プロフィール・サイト・店頭の案内を直す |
関係のない同じ名前の投稿や、宣伝目的の投稿は、記録しなくてかまいません。

ほめてる投稿を見つけると、こっちが照れちゃいますよね。それ、ぜひ作った本人に見せてあげてください。
3つ目の「誤解」は見落とされがちですが、いちばん直しやすい声です。誤解が書かれているということは、自社の案内のどこかが伝わっていないということです。直すのは相手の投稿ではなく、自社の案内のほうです。
声の主には、話しかけに行かない
不満や誤解を見つけると、その投稿に返信して説明したくなります。けれど、自社宛てではない投稿に会社のアカウントから急に返事が来ると、書いた人は驚きます。見張られていると感じる人もいます。

間違ったことを書かれると、ちょっとムカッとするんですよ。でもそこで言い返すと、話が大きくなるだけなんです。
原則として、自社宛てではない投稿には返信せず、自社の側を直すことで答えます。駐車場の不満なら近くのコインパーキングの案内を店頭とプロフィールに出す。予約の誤解なら、予約の方法を固定の投稿に書く。お客さんは、次に来たときにそれを見つけます。
ただし、事実と違う悪評が広がっている、誹謗中傷にあたりそうな書き込みがある、といった場合は別です。担当者ひとりで判断せず、社内の決まった人に上げます。そのときの動き方は、炎上の初動の記事にまとめています。
あわせて読みたいSNSで炎上してしまったときの初動。企業の対応手順と謝罪文の出し方記録して、月に1回現場に返す
調べものは、記録して社内に返して初めて仕事に生きます。表計算ソフトで、1件を1行にして残します。
- 01曜日を決める週に1回、15分だけ一覧の言葉で検索する
- 021行で記録する日付・場所・中身の要約・種類(ほめ・困りごと・誤解)を書く
- 03月にまとめる月末に種類ごとに数え、多かった声を3つ選ぶ
- 04現場に返す朝礼や会議で、お客さんの言葉のまま共有する
- 05直した記録を残す何を直したかを同じ表に書き足す
記録するのは、中身の要約までにします。投稿した人のアカウント名や、投稿の画面写真を社内で回す必要はありません。社内で扱うのは「どんな声があったか」で、「誰が書いたか」ではないからです。

お客さんの言葉を現場に返すと、スタッフがいちばん喜ぶんですよ。社長の一言より効くこともあります。
月にまとめた声は、SNSの投稿の題材にもなります。よく聞かれる困りごとは解説の投稿に、よくほめられる点はプロフィールや紹介文の言葉に使えます。お客さんの言葉は、会社が考えた言葉より伝わりやすいことが多いのです。
悪い声ばかり見つかって、担当者が疲れてしまいそうです。
調べる時間を週15分と決め、それ以上は見ないことです。悪い声は目に残りやすく、毎日探すと実際より多く感じます。記録は種類ごとに数で見て、ほめ言葉も同じように数えます。数で見ると、全体の中でどれくらいの声なのかが落ち着いて分かります。
声の拾い方づくりから、ご一緒します
ソーシャルリスニングは、調べることより、拾った声をどこへ渡すかを決めるところで止まりがちです。HEART CREATIONでは、SNSの運用と一緒に、お客さんの声を投稿やサイトに生かす流れまで考えます(サービス一覧)。
- 再生数ではなく、予約・問い合わせなど、その先の数字を最初に決める
- お客さんの言葉を、投稿・LP・プロフィールの言葉に置き直す
- 社内で回せるように、調べ方と記録の型を3〜6か月で渡していく
気になる書き込みがある段階でも、ご相談いただけます。初回のご相談は無料で、オンライン60分でも承ります。

まずは検索する言葉の一覧づくりからです。網を張っておけば、声は向こうから掛かりますよ。
よくある質問
エゴサーチは会社として毎日やるべきですか?
毎日でなくてかまいません。週に1回、決めた言葉で15分ほど検索し、記録する形で十分です。毎日見ると悪い声ばかりが目に残り、担当者の負担になります。
ソーシャルリスニングに有料のツールは必要ですか?
小さな会社や店舗なら、各SNSの検索とGoogleアラートで始められます。調べる言葉が増え、毎週の記録に時間がかかるようになったら、ツールを検討する目安です。
自社について間違ったことを書いている投稿を見つけたらどうすればいいですか?
投稿に直接返信するより、自社のプロフィールやサイト、店頭の案内を直して正しい情報を出すほうが穏やかに伝わります。事実と違う悪評が広がっている場合は、担当者ひとりで動かず、社内の決まった人に相談します。
見つけたお客さんの投稿を、自社の宣伝に使ってもいいですか?
投稿した人の許可が必要です。どの使い方にどんな許可が要るかは、使う場所によって変わります。
