投稿する人によって、文章も写真の雰囲気もバラバラなんです。「トンマナをそろえて」と言われたんですが、何を決めればいいんでしょう。

「おしゃれで親しみやすく」って書いて終わり、になりがちなんですよね。それ、たぶん全員ちがう絵を思い浮かべてますよ。
SNSの担当が2人、3人と増えたり、撮影や編集を外に頼んだりすると、投稿の雰囲気がそろわなくなってきます。ある日は絵文字の多いくだけた文章で、次の日は硬いお知らせ文。写真も、明るい日と暗い日がある。見る人からは、同じ店のアカウントに見えにくくなります。
それをそろえるための決めごとが、トーン&マナー、略してトンマナです。とはいえ、「親しみやすく、信頼感のある感じ」と形容詞を並べても、そろいません。同じ言葉から思い浮かべるものが、人によって違うからです。
トンマナは、形容詞ではなく「〜だけど、〜ではない」という幅と、目で見られる見本で決めます。この記事では、トンマナで決める項目、幅の決め方の手順、動画とSNSで具体的に決めておくこと、崩れやすい場面を順に書きます。
この記事の要点
- トンマナは「誰が作っても同じ方向」にそろえる決めごと
- 形容詞ではなく「〜だけど、〜ではない」で幅を決める
- 言葉で説明するより、OKとNGの見本を並べる
トンマナとは。トーンは「声」、マナーは「作法」
トンマナは、トーン(tone)とマナー(manner)を合わせた言葉で、広告やデザインの現場でよく使われます。トーンは語り口や雰囲気、つまりどんな声で話すか。マナーは、色・書体・写真の撮り方・言葉づかいといった、毎回守る作法です。
| 分けて考える | 決めること | 例 |
|---|---|---|
| トーン(声) | どんな印象で受け取られたいか | 落ち着いている、職人気質、軽やか |
| マナー:言葉 | 語尾、一人称、使う言葉と使わない言葉 | 「です・ます」で書く、「お客様」ではなく「お客さん」 |
| マナー:見た目 | 色、書体、写真の明るさ、余白 | 使う色は3色まで、写真は自然光で撮る |
| マナー:音 | BGMの種類、話す速さ | 歌の入った曲は使わない |
| やらないこと | らしくないので避ける表現 | 流行りの言い回し、煽る言葉 |
ロゴの使い方や会社の色を決めた資料があっても、SNSで迷うのは言葉と写真と動画のほうです。投稿は毎週作るものなので、ここが決まっていないと、担当者がそのたびに迷います。
形容詞3つでは、そろわない
例えば、創業50年の和菓子店がトンマナに「親しみやすい」を入れたとします。ある担当者は、若い人に向けてくだけた口調と絵文字で投稿します。別の担当者は、職人の手元を落ち着いた語りで見せることが親しみやすさだと考えます。どちらも間違いではありません。でも、並べると別の店に見えます。
そこで、形容詞の一つひとつに「〜ではない」を付けて、幅を決めます。
- 親しみやすい。けれど、なれなれしくはない
- 職人の店。けれど、敷居は高くない
- 季節を大切にする。けれど、毎回「旬」とは言わない
「ではない」の側が決まると、迷ったときの判断がしやすくなります。くだけた言い回しを使うかどうかで迷ったら、「なれなれしくないか」で決めればいいわけです。

「ではない」が決まると、新しく入った人もすぐ迷わなくなるんです。ここがいちばん効きますよ。
トンマナの決め方。5つの手順
- 01褒め言葉を集める口コミ、アンケート、店頭でよく言われる言葉を書き出す
- 023つに絞る似た言葉をまとめ、残したい印象を3つにする
- 03「ではない」を付ける3つそれぞれに、行きすぎた形を書いて幅を決める
- 04見本を並べる過去の投稿や写真から、らしいもの(OK)とらしくないもの(NG)を3つずつ選ぶ
- 051枚にまとめる言葉・見た目・音・やらないことを、1枚に収める
最初の手順で、自社が言いたいことより先に、お客さんにもう言われていることを見るのがポイントです。「説明が丁寧」「包み方がきれい」「入りやすい」。言われている言葉には、その店がすでに持っている「らしさ」が出ています。言いたいことから始めると、どの店でも言えそうな言葉が並びがちです。
4つ目の見本は、言葉の説明を何行も書くより早く伝わります。NGの見本は、他社の投稿ではなく、過去の自社の投稿から選ぶのが分かりやすいです。「この写真は暗すぎる」「この文はなれなれしい」と、具体的な線が引けます。
動画とSNSで、具体的に決めておくこと
会社の資料にロゴや色の決まりはあっても、動画のことまでは書いていない場合が多いです。ショート動画を出すなら、次の項目まで決めておくと、外に頼むときにも伝わります。
| 項目 | 決めておくこと |
|---|---|
| 話し方 | 語尾、一人称、早口か落ち着いて話すか |
| テロップ | 書体、文字の色、強調に使う色を1つ |
| BGM | 曲の種類(歌入りか、ピアノか、環境音か) |
| 画 | 明るさ、寄りか引きか、人を写すか手元を写すか |
| 冒頭と締め | あいさつを入れるか、毎回同じ締めの一言を入れるか |
| 使わない言葉 | 「激安」「絶対」など、らしくない言葉の一覧 |
テロップの入れ方そのものは別の記事で書いたので、ここでは「色と書体を決めて、毎回同じにする」とだけ押さえてください。
あわせて読みたいショート動画のテロップの入れ方。量・位置・速さで離脱を減らすHEART CREATIONの15秒のブランドモーションも、使う色を黒と白だけに絞って作りました。STORY・IDEA・AI・VIDEOといった9つの言葉が流れ、最後にロゴへ収まる映像です。色を足せば華やかにはなります。それでも足さないと決めておけば、ほかの映像やページと並んだときにも、同じ会社のものに見えます。
トンマナが崩れやすい3つの場面
決めても、崩れる場面はだいたい決まっています。
担当者が変わったとき
引き継ぎで1枚の資料が渡らず、口頭で「いい感じで」と伝わる。前の担当者の頭の中にだけあったトンマナは、ここで消えます。資料は共有の場所に置き、新しい担当者には最初の数週間、出す前に見本と見比べてもらいます。
流行りに乗るとき
流行りの音源や言い回しを使った投稿は、伸びることもあります。ただ、らしくない形で乗ると、その1本だけ別のアカウントのように見えます。乗るかどうかは、「ではない」の側に引っかからないかで決めます。
頼み先が増えたとき
撮影はA社、広告の画像はB社、と頼み先が増えると、それぞれが自分の解釈で作ります。1枚の資料と見本を、全社に同じものとして渡しておきます。分けて頼むと起きるずれは、別の記事でも書いています。
あわせて読みたい動画制作を分業すると何が起きるか。代理店・制作会社・運用代行の違いとずれ
季節の企画で少しだけ外す、くらいの遊びはあっていいんです。どこまで外していいか、先に決めておけばね。
「らしさ」を決めるところから、お手伝いできること
HEART CREATIONは、企画・撮影・編集・運用・LP制作までを同じチームで受け持っています。決めたトンマナを、同じ人たちが動画にもページにも使うので、途中で解釈が変わりにくい進め方です。
- お客さんの言葉と過去の投稿から、「〜だけど、〜ではない」の幅を一緒に決める
- 動画・SNS・LPで使う言葉・色・音の決めごとを、1枚にまとめる
- 社内で回せるよう、企画の型・撮影手順・編集ルールとして3〜6か月かけて渡していく
「らしさ」がまだ言葉にならない段階のご相談でも構いません。初回のご相談は無料です(相談はこちら)。

まずは過去の投稿を並べて、らしいものに丸を付けるところから。一緒に見ましょう。
よくある質問
トンマナとブランドガイドラインは何が違いますか?
一般に、ブランドガイドラインはロゴの使い方や色の指定など、ブランド全体の決まりをまとめた資料を指します。トンマナはその中でも、語り口や雰囲気といった「どう見せるか」の決めごとを指すことが多いです。ガイドラインがあっても、SNSの言葉や写真の決めごとまでは書かれていないことがよくあります。
トンマナは誰が決めればいいですか?
最後に決めるのは、ブランドの方向に責任を持つ人(経営者や責任者)です。ただ、実際に投稿を作る担当者が加わらないと、使われない資料になりがちです。たたき台は担当者が作り、決める人が「ではない」の側を確かめる分け方が進めやすいです。
InstagramとTikTokで、トンマナを変えてもいいですか?
声(トーン)はそろえたまま、出し方は媒体に合わせて変えてかまいません。テンポや文字の量が違っても、語尾や色、使わない言葉がそろっていれば、同じ会社のアカウントに見えます。
一度決めたトンマナは、途中で変えてもいいですか?
変えてかまいません。少しずつずらすより、いつから何を変えるかを決めて、資料と見本を差し替えるほうが、担当者が迷いません。
小さなお店でも、トンマナを決める必要はありますか?
投稿する人が1人なら、頭の中にあって困らないことも多いです。手伝う人が増えるときや、撮影を外に頼むときが、1枚にまとめどきです。
