テレビ用に作った横型のCMがあります。縦に切り抜けば、SNSの縦型CMとしてもそのまま使えますよね?

縦の画面を見てる人の指って、本当に速いんですよ。横型の「間」を待ってはくれません。
手元に横型のCMがあると、縦に切り抜いてSNSでも流したくなります。素材を活かしたい気持ちは自然です。ところが、切り抜いただけの縦型CMは、たいてい最初の数秒で飛ばされます。人物の顔が半分切れる、文字がはみ出す、商品名が最後まで出てこない。どれも、横型として正しく作られていたからこそ起きることです。
縦型と横型の違いは、画面の形よりも見られ方にあります。横型のCMは、見る人が画面の前に座っている前提で、最後のロゴまで物語を運べます。縦型は、指一本でいつでも次へ行ける画面の上で、どの秒で離れられても何かが残るように組みます。
この記事では、見られ方の違い、構成の違い、画面の中の置き方、音と出演者の扱い、両方を作るときの撮り方を書きます。広告の配信設定や予算の話は扱いません。
この記事の要点
- 違いは画面の形より「見られ方」。企画の前提から変わる
- 横型は最後に向けて組み、縦型はどの秒でも伝わるように組む
- 両方作るなら、撮影前にどちらが主かを決めておく
違いは画面の形より「見られ方」
まず、2つがどんな場所で、どんな姿勢で見られているかを並べます。
| 横型CM(16:9) | 縦型動画CM(9:16) | |
|---|---|---|
| 主に流れる場所 | テレビ、YouTubeの横画面、街頭や店頭の画面 | スマホで縦に流れるショート動画の間 |
| 見る姿勢 | 画面の前に座って、番組や動画の続きを待っている | 片手で持って、次々に指で送っている |
| 前後に並ぶもの | 番組、ほかの会社のCM | 友だちや好きな人の投稿 |
| 音 | 鳴っている前提で組める | 鳴っていない人もいる前提で組む |
| 離れ方 | 待つか、チャンネルや画面を変える | 指一本で、すぐ次へ |
横型CMの多くは、「見る人がその場にいてくれる」状態で流れます。だから、世界観の映像から入って、最後に商品とロゴで締める組み方が成り立ちます。
縦型CMは、投稿と投稿のあいだに混ざって流れます。見る人は、CMを見に来たのではなく、知り合いの近況やお気に入りの人の投稿を見に来ています。隣に並ぶのは他社のCMではなく、普通の人の投稿です。作り込んだ映像ほど、その流れの中で「広告だ」とすぐに見分けられ、送られてしまいます。
構成は「最後に向けて」か「どの秒でも」か
見られ方が違うと、構成の組み方が変わります。
横型CMは、終わりに向けて組めます。前半で気持ちを動かし、後半で商品を見せ、最後に社名やロゴを残す。HEART CREATIONの15秒のブランドモーションも、STORY・IDEA・AIなど9つの言葉が流れて、最後にロゴへ収まる作りです。最後まで見てもらって、名前を覚えてもらう。この組み方は、テレビのCMに近い考え方です。
縦型CMでは、最後まで見てもらえる前提を置けません。どの秒で離れられても、何の広告で、誰向けなのかが伝わっているように組みます。
- 最初の1〜2秒に、商品か人か結果を出す。世界観の映像から入らない
- 商品名や店名は、前半のうちに一度出す。最後のロゴだけに頼らない
- 1カットで伝えることは1つにして、短く切り替える
例えば、地方の酒蔵が新酒のCMを作るとします。横型なら、朝霧の田んぼ、仕込みの湯気、杜氏の横顔と重ねて、最後に銘柄を出す流れがきれいに決まります。縦型では、注いだ瞬間の泡と「今年の新酒、できました」の一言から入り、銘柄の文字は3秒目までに出します。景色の映像は、残っても後半に回します。
冒頭で何を見せるかの型は、冒頭2秒の記事で詳しく書いています。
画面の中の置き方が変わる
縦の画面は、横に物を並べられません。横型なら人物と商品と景色を1つの画に収められますが、縦型では、1つの画に置ける主役は1つです。
| 場面 | 横型の組み方 | 縦型の組み方 |
|---|---|---|
| 2人の会話 | 左右に並べて1つの画で | 話している人に寄って切り替える |
| 商品と人 | 人の横に商品を置く | 商品を手に持って、顔の下に置く |
| 店や建物の外観 | 引きの画で全体を見せる | 入口や看板など、一部に寄る |
| 文字 | 画面の下に字幕 | 画面の中ほどに大きく。下と右はアプリのボタンと重なる |
横型の画を縦に切り抜くと、この置き方の違いがそのまま問題になります。左右に並んでいた2人のどちらかが切れ、引きの外観は小さな絵になります。だから、縦型は横型の切り抜きではなく、別の画として企画します。
音と出演者の扱いが変わる
横型CMは、ナレーションと音楽で空気を作れます。縦型では、音を出さずに見ている人にも中身が届くよう、文字で話を運びます。音は、出している人に向けた上乗せと考えます。

BGMでぐっと盛り上げる横型のノリ、縦だと音を切られて丸ごと届かないこともあるんです。
出演者の立ち方も変わります。横型CMの出演者は、役を演じて物語の中にいることが多い。縦型では、出演者がカメラに向かって、見ている一人に話しかける形が合います。前後に並ぶ投稿の多くがそういう形だからです。
例えば、引越し会社なら、横型ではドラマ仕立ての家族の引越しが映えます。縦型では、作業スタッフが段ボールを持ったまま「割れ物は、この向きで入れてください」と話す15秒のほうが、流れの中で止まってもらえます。
両方作るなら、撮影の前に「主」を決める
縦も横も必要なときは、撮影の前に、どちらを主にするかを決めます。主にした側の画角で構図を組み、もう一方のためのカットを別に撮り足します。
- 01主を決めるどちらの画面で、より多くの人に見てもらう予定かで決める
- 02縦用の頭を書く縦型の最初の2秒に何を置くかを、横型とは別に台本に書く
- 03撮り足す縦用の寄りのカットと、商品名の入る画を、同じ日に撮る
- 04文字を作り分けるテロップは、縦用と横用で位置と大きさを別に作る
撮影が1回で済めば、出演者や場所の手配も1回で済みます。後から「縦用の画がない」となると、横の素材を無理に切り抜くことになります。依頼から撮影までの段取りは、こちらにまとめています。
あわせて読みたい縦型動画の制作を制作会社に頼むときの流れ。依頼から納品までの段取り
縦と横の両方の画が同じ日に撮れたら、もう勝ったようなものです。編集がほんとに楽になりますよ。
縦と横、両方の企画からお手伝いします
縦型CMは、横型の素材を流し込む場所ではなく、別の見られ方に合わせて企画するものです。HEART CREATIONでは、企画から撮影・編集・運用までを同じチームで引き受けています(サービス内容)。
- どちらの画面を主にするかから決め、縦と横の台本を作り分ける
- 1回の撮影で、縦用と横用のカットを撮り分ける段取りを組む
- 冒頭を変えた縦型を複数出し、2週間で結果を見て寄せていく
縦型動画は、ご相談から公開まで3〜5週間が目安です。初回のご相談は無料で、オンライン60分でも承ります。

撮影は全国どこでも伺います。手元の横型CMを持って、まずは気軽に相談してください。
よくある質問
縦型動画CMと横型CMは、どちらを作ればいいですか?
見てほしい人が、どの画面で動画を見ているかで決めます。スマホのショート動画の間で出会ってほしいなら縦型、テレビやYouTubeの横画面で見てほしいなら横型です。両方なら、多く見てもらう側を主にします。
テレビCMの映像を縦に切り抜いて、SNSで流してもいいですか?
流すこと自体はできますが、人物や文字が切れたり、商品名が最後まで出なかったりして、飛ばされやすくなります。冒頭と文字だけでも縦用に作り直すと、見られ方が変わります。
縦型CMで、商品名や社名はいつ出せばいいですか?
前半のうちに一度出しておきます。縦型は最後まで見てもらえるとは限らないため、最後のロゴだけに頼ると、名前が残らないまま離れられます。
縦型CMはスマホで撮ったものでも大丈夫ですか?
大丈夫です。縦型の流れの中では、作り込んだ映像より、人が話しかける手触りのある映像のほうが止まってもらえることがあります。画質より、最初の2秒と文字の組み方を優先してください。
縦型と横型の両方が必要なとき、撮影は2回に分けますか?
1回でまとめられます。撮影前にどちらを主にするかを決め、もう一方のためのカットを同じ日に撮り足します。出演者や場所の手配も1回で済みます。
