社長の一声で、若手が会社のYouTubeに出ることになりました。3本撮ったところで、本人がすっかり疲れてしまって。

出てくれる人には、まず花束くらいの感謝を。そのうえで、話す以外の仕事を全部外してあげてください。
会社のYouTubeに社員が出ると、見る人には「この会社にはこういう人がいる」と伝わります。商品や会社の説明だけの動画より、人の顔と声があるほうが、相談の前の不安は小さくなります。
一方で、社員の出演は止まりやすい取り組みでもあります。よくあるのは、出演者が題材を考え、台本を書き、撮影の準備をし、コメントまで読んでいる形です。本業の合間にそれを続けるのは、どんなに前向きな人でも難しくなります。
この記事では、出演者の選び方、いきなり一人で話させない育て方、出演者の仕事を「話す」に絞る分担、振り返りの返し方、人が替わっても続くチャンネルの作り方をまとめます。出演の同意の取り方や退職したときの扱いは、別の記事で扱っています。
あわせて読みたい社員がショート動画に出演するときの注意点。同意の取り方と退職後の扱いこの記事の要点
- 出演者は、話のうまさより「質問に答えられる人」から選ぶ
- 答える役→進める役→ひとりで話す、の順で育てる
- 準備・コメント・数字は担当者が持ち、出演者は話すだけ
出演者は、話のうまさより「答えられる人」から選ぶ
出演者を選ぶとき、つい「明るくて話がうまい人」を探しがちです。けれど会社のYouTubeで見る人が求めているのは、困りごとへの答えです。話し方は慣れで変わりますが、答えの中身は現場にいる人からしか出てきません。
| 候補 | 向いているところ | 気をつけること |
|---|---|---|
| お客さんからよく質問される現場の人 | 答えが具体的で、例がすぐ出てくる | 専門用語が多くなるので、言い換えを促す人をつける |
| 話すのが好きな人 | 場が明るくなり、撮影が楽しくなる | 中身は詳しい人が横で支える |
| 入社数年の若手 | 見る人に近い目線で話せる。採用にもつながる | 一人に任せきりにしない |
| 社長・役職者 | 会社としての考えや判断を話せる | 忙しく撮影日が動きやすい |
例えば、地域の住宅設備の会社なら、ショールームで毎日お客さんの質問に答えている人が第一候補です。「ガスと電気、どっちの給湯器がいいの」と聞かれたときの答え方が、そのまま動画の中身になります。
候補は最初から2人立てておくと、片方が休んでも止まりません。出るかどうかは本人が決められるようにし、断ってもいいと先に伝えておきます。
いきなり一人で話させない。3段階で育てる
カメラの前で一人で10分話すのは、慣れた人でも難しいことです。最初から求めず、段階を分けて任せる範囲を広げます。
- 01答える役聞き手が質問し、出演者は答えるだけ。台本は要らず、問いのリストを前日に渡す
- 02進める役冒頭の名乗りと章の切り替えを本人が言う。聞き手は画面の外で相づちを打つ
- 03ひとりで話す問いのリストを見ながら、ひとりで1本を通す。聞き手はカメラの横に残って、つまったら次の問いを出す
次の段階に進むのは、本人が「次をやってみたい」と言ったときです。答える役のまま続けてもかまいません。聞き手と2人で話す形は、それだけで見やすい動画になります。2人を撮るときの組み方は、対談・インタビュー動画の撮り方にまとめています。
カメラの前での目線や話し方の練習は、こちらの記事で扱っています。
あわせて読みたいカメラの前で話すのが苦手な人へ|目線・話し方・練習のコツ
最初の1本が公開されたら、社内でちょっとしたお祭りにしてください。褒められると、2本目がぐっと楽になるんですよ。
出演者の仕事は「話す」だけにする
出演者が疲れる原因は、話すことより、その前後の仕事です。1本の動画に必要な仕事を書き出し、出演者には話すことだけを残します。
| 仕事 | 持つ人 |
|---|---|
| 題材を決める | 担当者。出演者は「最近お客さんに聞かれたこと」を伝えるだけ |
| 問いのリストを作る | 担当者 |
| 撮影の準備(場所・機材・小道具) | 担当者 |
| 話す | 出演者 |
| 編集・概要欄 | 担当者、または外部 |
| コメントを読んで返す | 担当者 |
| 数字を見る | 担当者。出演者には要点だけ伝える |
出演者に台本を書かせないのが、続けるうえでいちばん効きます。文章を書くのが得意でない人にとって、台本づくりは撮影よりずっと重い仕事です。問いのリストなら、担当者が10分で作れて、出演者は覚えずに済みます。

撮影の前の晩に台本を書いている出演者さん、だいたい疲れ切ってるんですよ。それ、本人の仕事にしなくていいんです。
振り返りは、数字より先に場面を返す
公開した動画を出演者と見返すときは、直す所より先に、良かった場面を1つ伝えます。アナリティクスで多く見られていた場面や、コメントで反応があった言い回しは、本人にとっていちばん分かりやすい手ごたえです。
コメントは担当者が先に読み、良い反応を選んで伝えます。出演者が自分で全部を読む形にはしません。
数字を本人にも見てもらいたいときは、YouTube Studio のチャンネルの権限が使えます。「閲覧者(制限付き)」の役割なら、チャンネルの情報やアナリティクスを見られて、動画の編集や収益のデータには触れられません(2026年10月時点、YouTube ヘルプより)。本人のアカウントで見られるので、パスワードを共有せずに済みます。
直してほしい所は、1回に1つだけにします。「早口」「目線」「語尾」と3つ言われると、次の撮影で全部を気にして固くなります。

「分かりやすかった」ってコメントが付いた日のこと、出演者さんはずっと覚えているんです。必ず本人に届けてください。
人が替わっても続くチャンネルにしておく
社員の出演者は、いつか異動や退職で替わります。そのときにチャンネルごと止まらないよう、最初から人が替わる前提で作っておきます。
- シリーズの名前を、出演者の名前やあだ名にしない。「○○さんの給湯器講座」ではなく「給湯器の選び方」にする
- 名乗りは名前と一緒に役割を言う。「ショールーム担当の○○です」なら、次の人も同じ形で名乗れる
- 問いのリストと撮影の手順は、担当者の手元に残しておく
- 2人目の出演者を、1人目と並行して「答える役」から育てておく
繁忙期に撮影が止まるのも、よくある止まり方です。忙しくなる月が分かっているなら、その前にまとめて撮っておき、撮らない月を先に決めておきます。
出演者が話すことに集中できるように
HEART CREATIONでは、社員の方が出る動画づくりを、次のようなところからお手伝いしています。
- 出演候補の方と話し、答えられる問いのリストを一緒に作る
- 企画・撮影・編集・運用を同じチームで引き受け、出演者の手を話すことだけにする
- 企画の型・撮影の手順・数字の見方を3〜6か月かけてお渡しし、社内で回せる形にしていく
「誰に出てもらうか決まっていない」段階でもかまいません。サービスの全体はこちらにまとめています。

まずは気楽に、出てもいいかなという人と30分話すところから始めてみてください。
よくある質問
話すのが苦手な社員でも、YouTubeの出演者になれますか?
なれます。最初は聞き手の質問に答える役から始めれば、ひとりで話す必要はありません。現場のことを具体的に答えられる人のほうが、話し上手な人より役に立つ動画になることも多いです。
出演者に台本を覚えてもらう必要はありますか?
覚えなくてかまいません。台本の代わりに問いのリストを渡し、問いに答えてもらう形で撮ります。覚えた文を読むより、自分の言葉で答えたほうが聞きやすくなります。
会社のYouTubeの出演者は何人いればいいですか?
最初から2人を候補にしておくと、休みや繁忙期でも止まりにくくなります。毎回同じ人である必要はなく、テーマごとに詳しい人が出る形でもかまいません。
出演していた社員が異動したら、チャンネルはどうすればいいですか?
シリーズ名を人の名前にせず、問いのリストを担当者が持っていれば、次の人が同じ形で引き継げます。それまでの動画をどう扱うかは、出演をお願いした時点で決めておきます。
