最近「POV」って書いてある動画をよく見かけます。うちみたいな小さなお店でも使えるんでしょうか。

見る人が、そのままお店に入った気分になれる。小さなお店ほど、この撮り方は合うんですよ。
POVは「Point of View」の略で、ショート動画では「見る人の視点」で撮った動画を指します。画面の手前にいるのは見ている本人という前提で、カメラがその人の目になります。
お店や会社にとっての良さは、初めての人の「行ったらどんな感じなんだろう」に、言葉ではなく体験で答えられることです。入口の雰囲気、店員さんの声のかけ方、席から見える景色。来る前に一度歩いておけば、初めての一歩が軽くなります。
この記事では、一人称で撮る4つの型と向く業種、一人称らしく見える撮り方、スタッフの話しかけ方、映り込みと見せ方の注意を書きます。
この記事の要点
- POVは、初めての人の「どんな感じ?」に体験で答える
- 型は4つ。来店・体験の一瞬・作り手・役になりきる
- カメラは目の高さ、ゆっくり歩き、スタッフはレンズに話す
POV動画の4つの型と、向く業種
| 型 | 見る人が手に入れるもの | 向く業種の例 |
|---|---|---|
| 来店型 | 入口から席・受付までの道のりと空気 | 飲食店、美容室、整体院、教室 |
| 体験の一瞬型 | お客さんだけが見る景色(目の前に料理が置かれる、施術台から見上げる) | 飲食店、サロン、体験教室 |
| 作り手型 | 職人の目の高さから見た作業 | 製造業、工務店、パン屋、花屋 |
| なりきり型 | 画面の文字で役を決め、その場面を追体験する | どの業種でも。採用にも向く |
来店型は、いちばん使いやすい型です。例えば、路地裏のそば屋なら、駅からの最後の角を曲がるところ、のれんをくぐるところ、カウンターに座るところ、そばが置かれるところまでを、お客さんの目でつなぎます。「入りにくそう」と思われがちなお店ほど、効き目があります。
体験の一瞬型は、来店型の一部だけを切り出したものです。美容室ならシャンプー台に倒れたときに見える天井、陶芸教室なら自分の手の中で粘土が立ち上がる瞬間。お客さんしか見られない景色を数秒で見せます。
作り手型は、職人が見ている景色です。手元だけを撮る動画と違うのは、目の高さから見下ろす角度で、作業する人の視界そのものを映す点です。
なりきり型は、画面に「POV:初めての陶芸教室で、先生がそっと手を添えてくれる」のように役と場面を書き、その場面を見せる形です。ショート動画では、この書き方そのものが「あなたがこの立場だったら」という合図として広く使われています。

車で来るお店なら、駐車場に入るところからがPOVの始まり。そこが一番不安なんですよ。
一人称に見せる、カメラの持ち方と動き方
一人称の動画は、撮り方が少し違うだけで「誰かが撮った映像」に見えてしまいます。お客さんの目に見せるために、次の4つをそろえます。
- 高さは目の高さ。座る場面は、座った人の目の高さまで下げる
- 自分の手を入れる。ドアを開ける、メニューを指さす、器を受け取る手が映ると、見る人は自分の手として受け取る
- ゆっくり歩き、首を振らない。向きを変えるときは体ごと、ゆっくり回る
- 曲がり角やドアの前で一度止まる。見る人が「次に何があるか」を待つ間になる
いちばん気をつけたいのは3つ目です。歩きながら左右をきょろきょろ映すと、見ている人は酔いやすくなり、すぐに離れていきます。

速く歩いて首を振ると、見てる人は画面酔いで逃げちゃうんです。ゆっくり、が正解です。
両手を使う場面(料理を受け取る、道具を持つ)は、スマホを胸や頭に固定できる器具があると撮りやすくなります。手で持つ場合の手ブレの抑え方は、別の記事にまとめています。
あわせて読みたいスマホで縦型動画を撮るコツ。画角・光・音・手ブレの基本をまとめてスタッフは、レンズに向かって話しかける
POV動画で効くのは、相手役のスタッフが、カメラのレンズを「お客さんの目」として見て話しかけることです。「いらっしゃいませ、カウンターへどうぞ」「今日はどんな感じにしますか」。レンズを見て話すだけで、見る人は自分に話しかけられたように感じます。
撮るときは、スタッフに次の3つを伝えておきます。
- 撮っている人ではなく、レンズを見る
- ふだんお客さんにかけている言葉を、そのまま言う
- 返事を待つ間(1〜2秒)を空ける。見る人が心の中で答える時間になる
声や音は、なるべくその場の音を残します。ドアのベル、席を引く音、湯気の立つ音。BGMで埋めてしまうと、そこにいる感じが薄れます。

スタッフがレンズに向かってにこっと笑う。それだけで、一気にお店が近くなるんです。
映り込みと、見せ方の線引き
来店型や体験の一瞬型は、ほかのお客さんが映りやすい撮り方です。営業中に撮るなら、映る可能性のあるお客さんに声をかけて了解を取るか、開店前や定休日に、スタッフや了解を得た知人にお客さん役をしてもらいます。鏡やガラスに撮っている人が映り込んでいないかも確かめます。
出演するスタッフにも、どこに使う動画かを伝えて了解を取っておきます。
あわせて読みたい社員がショート動画に出演するときの注意点。同意の取り方と退職後の扱いもう1つの線引きは、実際より良く見せないことです。POVは「行ったらこう見える」という約束になります。広角で実際より広く見せる、混む時間をわざと避けて空いた店内だけを映す、ふだんは出さない盛り付けで撮る。こうした見せ方をすると、来た人が「動画と違う」と感じます。ふだんの日の、ふだんの景色を撮ります。
POV動画を企画から、HEART CREATIONと一緒に
- お店や会社の「初めての人が不安になる場面」を洗い出し、POVで答える企画づくり
- 一人称の撮影から、編集・投稿・反応を見た作り直しまで同じチームで
- 来店型・なりきり型など入口を変えた複数の案を同時に出し、2週間の結果で寄せていく
追う数字は再生数ではなく、来店や予約などその先の数字を最初に決めます。撮影は東京・横浜を拠点に全国へ出張しています。サービスの一覧もご覧ください。

まずはスマホを目の高さに持って、入口から自分のお店を歩いてみてください。景色が変わりますよ。
よくある質問
POV動画はスマホだけで撮れますか?
撮れます。目の高さで構え、ゆっくり歩けば一人称らしい映像になります。両手を使う場面が多いときは、スマホを胸や頭に固定できる器具を使うと撮りやすくなります。
POV動画で、撮っている人の声は入れたほうがいいですか?
撮る人がしゃべると、見る人が「自分」でいられなくなります。撮る人は黙っていて、スタッフの話しかけと、その場の音だけを残すのが基本です。説明が要るときは、画面の文字で補います。
お客さん役は誰にやってもらえばいいですか?
映るのは手と目線だけなので、スタッフや家族でも務まります。手が映る場面が多いので、爪や袖口が、そのお店のお客さんらしく見えるかだけ気をつけます。
「POV:」と画面に書くのは、日本語の投稿でも通じますか?
ショート動画では日本語の投稿でも広く使われている書き方です。なじみのない人に向けるなら、「初めて来たあなたの目線で」のように日本語で書いても同じ役目を果たせます。
