物件紹介の動画を毎週出しているんですが、反響はいつもポータルサイト経由なんです。

物件だけだと、ポータルと勝負になっちゃうんですよね。街と人も映すと、その会社に頼む理由が見えてきます。
不動産会社がショート動画を始めると、まず物件の内見動画を作ることが多いはずです。玄関から入って、リビング、キッチン、水まわりを順に映す。見る人の役には立ちますが、同じ物件はポータルサイトにも写真つきで載っています。そして成約すれば、その動画は使えなくなります。
不動産の動画は、物件・街・人の3つで組むと続けやすくなります。物件は今探している人に、街はその地域に住むか迷っている人に、人は「どの会社に頼むか」を決めかねている人に届きます。街と人の動画は成約で消えないので、積み重なるほどアカウントの財産になります。
この記事では、3つそれぞれの見せ方と、SNSや動画でも守る不動産広告の表示のルールを整理します。
この記事の要点
- 物件・街・人の3つで組むと、成約後も動画が残る
- 物件の動画は、写真で分からない「動き」と「距離」を映す
- SNSの投稿も不動産広告。表示のルールは同じ
物件・街・人で、届く相手が違う
3つの動画は、見る人の段階がそれぞれ違います。
| 種類 | 届く相手 | 映すもの | 使える期間 |
|---|---|---|---|
| 物件 | 条件を決めて探している人 | 間取りの動き、収納、窓からの景色 | 成約まで |
| 街 | 住む地域を迷っている人 | 駅からの道、買い物、公園、朝夕の様子 | 長く使える |
| 人 | 頼む会社を選んでいる人 | 担当者、案内の流れ、よく聞かれる質問 | 長く使える |
地域に根づいた会社ほど、街と人の動画が効いてきます。例えば、私鉄沿線の駅前で賃貸を扱う会社なら、「この駅の、学生に人気の通り」「この街の、夜遅くまで開いているスーパー」のような動画は、その駅で部屋を探す人に何度も見られます。物件は替わっても、街は替わりません。
物件は、写真で分からないことを映す
物件の動画で映したいのは、写真では伝わらない動きと距離です。
- 玄関からリビングまで歩いたときの動線と、ドアの開く向き
- 収納の奥行きを、扉を開けて手を入れて見せる
- 窓を開けたときの景色と、隣の建物との距離
- キッチンに立ったとき、リビングがどう見えるか
撮るときは、実際より広く明るく見せすぎないように気をつけます。広角のレンズで端まで映すと部屋は広く見えますが、内見に来た人が「動画と違う」と感じれば、その会社への信頼ごと下がります。

動画で見たら広かったのに、行ってみたら狭い。あれ、お客さん側だとけっこうイラッとするんですよ。
SNSの投稿も、不動産広告のルールの中
不動産の広告には、業界の自主ルールである「不動産の表示に関する公正競争規約」があります。首都圏不動産公正取引協議会は、SNSで物件の販売や入居者の募集を目的にした投稿は、個人のアカウントでも規約の「表示」に当たると説明しています(公取協通信 2023年2月号)。動画の中で流れる音声も、文字の物件概要と同じく規約を守る必要があるとしています(同 2026年3月号)。
ショート動画で気をつけたいのは次の点です。
- 必要な表示事項(物件概要)を載せる。SNSでは、物件概要が載っている別のページへのリンクでもよいとされています
- 取引態様や広告主の名称を省かない
- 成約した物件の動画は、すぐに下げる。成約済みの物件を出し続けると、おとり広告に当たります
- 「最高」「格安」などの特定用語は、合理的な根拠なく使わない。ハッシュタグで付けた言葉も表示に含まれます
- 建築確認などを受ける前の新築物件は、SNSでも予告できません
同協議会が2026年3月に公表したInstagramの調査では、対象の436件のうち、必要な表示事項をもれなく載せていた投稿は1件もなかったとされています。DMで聞けば分かる、という作りにしないことです。
景品表示法の考え方そのものは、こちらの記事にまとめています。
あわせて読みたい広告で使えない表現は?景品表示法の優良誤認・有利誤認の基本街は、住んだあとの1日を見せる
街の動画は、地図では分からない暮らしの手ざわりを映します。駅の改札を出てから物件の方向へ歩く道、朝の通勤時間の駅のホーム、夕方の商店街、休日の公園。同じ道でも、朝と夜で印象は大きく変わります。
ここでも表示のルールがかかります。規約の施行規則では、スーパーや学校、公園などの施設は、今利用できるものを、物件からの道路距離か徒歩の所要時間を添えて表示することになっています。徒歩の所要時間は、道路距離80メートルを1分として計算し、1分に満たない端数は1分に切り上げます。動画で「駅から歩いて5分」と言うなら、その数字はこの計算によるものにします。
撮るときは、近所の家の表札や車のナンバー、通りがかりの人の顔が映り込まないように、画角と時間帯を選びます。
人は、案内の流れごと見せる
最後に決め手になるのは、「この人に頼めば大丈夫そうか」です。担当者が出て、内見の日に何をするのか、申し込みから入居までにどんな書類が要るのか、よく聞かれる質問にどう答えるのかを見せます。
例えば、売却の相談を受けている会社なら、査定の日に担当者が家のどこを見るのかを1本にできます。売るかどうかまだ決めていない人にとって、相談したら何が起きるかが分かることは、最初の連絡のハードルを下げます。
担当者に出てもらうときの同意や、退職したときの扱いは、先に決めておきます。
あわせて読みたい社員がショート動画に出演するときの注意点。同意の取り方と退職後の扱い
「この担当さんに案内してほしい」って指名が来るようになったら、もう動画の勝ちなんです。
不動産の動画を、HEART CREATIONと
物件・街・人の動画は、それぞれ撮る段取りが違います。HEART CREATIONでは、こんなところからご一緒しています。
- 物件・街・人の3つを、どの割合でどう回すかを地域と取り扱う物件に合わせて決める
- 物件の内見動画や街歩きの撮影と、編集を同じチームで引き受ける
- 動画から問い合わせや来店予約までの入口と、計測を整える
物件概要をどこに載せるかは、撮る前に決めておくと手戻りがありません。追う数字は再生数ではなく、反響の件数や来店の予約です。

街の撮影は、車で走ってみて初めて分かることも多いんです。撮影には出張で伺います。
よくある質問
不動産の物件紹介動画は、どのSNSに出せばいいですか?
部屋を探す人の年代と、扱う物件の種類で変わります。賃貸で若い世代に届けたいならショート動画の多いアプリ、売買で地域の人に届けたいなら地図やほかのSNSとの組み合わせも考えます。どの媒体でも、表示のルールは同じです。
賃貸物件の動画に、家賃を書かなくてもいいですか?
首都圏不動産公正取引協議会は、SNSの投稿も不動産広告として必要な表示事項の規制を受けると説明しています。賃料は必要な表示事項に含まれます。動画に入れない場合は、物件概要が載っているページへのリンクを置いてください。
成約した物件の動画は、残しておいてもいいですか?
取引できない物件を広告として出し続けると、おとり広告に当たります。成約したら、すぐに下げるか、募集中の物件として見えない形にしてください。
街の紹介動画に、お店や学校の名前を出してもいいですか?
規約では、学校や公園、スーパーなどの施設は、今利用できるものを物件からの距離か徒歩の時間を添えて表示するとされています。お店を大きく映す場合は、お店の了解を取っておくと安心です。
