採用動画を作ることになりました。でも、社長のあいさつと社内の風景をつなぐくらいしか思いつかなくて。

求職者が見たいのは、きれいな社屋より現場の手の動きなんです。力仕事なら、その力仕事を見せればいいんですよ。
採用動画を作ろうとすると、会社案内のパンフレットを動画にしたような企画になりがちです。社長が理念を語り、社屋の外観が映り、笑顔の社員が並ぶ。作った側は満足しても、見た求職者には「どこの会社も同じ」と映ります。
求職者が採用動画で確かめたいのは、自分がそこで働く姿を思い浮かべられるかどうかです。誰と、どんな場所で、どんな作業をするのか。初日に何をするのか。会社の全体像より、入社した人が最初に目にする景色のほうが、応募するかどうかの判断材料になります。
この記事では、使う場面ごとの企画の分け方、入社1日目から組む中身、社員の本音が映る撮り方、仕事を止めない撮影の段取りを書きます。採用のためのSNSの運用は扱いません。
この記事の要点
- 採用動画は「どこで見せるか」から企画を分ける
- 中身は会社の全体像より、入社1日目に見る景色
- 台本を読ませず、仕事の途中と先輩の言葉を撮る
採用動画は、使う場面から企画する
「採用動画を1本」と考えると、どこで使っても通用するものを作ろうとして、中身が薄くなります。先に、どこで誰に見せるかを決めます。
| 使う場面 | 見る人の状態 | 向く中身 |
|---|---|---|
| 求人サイト・求人票に添える | 何社も見比べている途中 | 仕事の一場面と職場の空気。短く |
| 採用ページ | 応募を考えはじめている | 先輩の話、1日の流れ。長めでも見られる |
| 会社説明会・合同説明会 | その場で座って見ている | 会社の考えと現場の両方 |
| 面接の前後に送る | 応募はしたが迷っている | 一緒に働く人の顔と言葉 |
見比べている途中の人に、5分の社長インタビューは届きません。反対に、面接を終えて迷っている人には、配属先の先輩が話す数分の動画が背中を押すことがあります。同じ撮影の素材からでも、場面ごとに切り分けて作れば、それぞれの役目を果たせます。
中身は「入社1日目に見る景色」から組む
企画に迷ったら、入社した人が初日に見るものを順に書き出します。
- 01朝に見るもの集合場所、朝礼や申し送り、着替える場所
- 02最初に教わること初日や最初の週に任される作業と、教える人
- 03昼に見るもの休憩の場所、昼ごはんの取り方
- 04帰るときに見るもの片づけ、日報、終わる時間の様子
例えば、地域の運送会社なら、朝の点呼、先輩の助手席で回る最初の配達ルート、荷物の積み方を教わる手元、営業所に戻ってきたときの「お疲れさま」の一言。会社紹介では省かれる場面ばかりですが、求職者にとっては、自分がそこにいる姿を想像できる材料です。
このとき、楽な場面だけを選ばないようにします。夏の荷積み、冬の早朝の点呼。大変な場面と、それを周りがどう支えているかを一緒に映すほうが、入ってからの「思っていたのと違う」を減らせます。
もう一つ、給与や休日などの条件は、動画の中で言うなら求人票と一字一句そろえます。言い方が少しずれるだけで、どちらが正しいのかと不安にさせます。条件は求人票に任せ、動画は仕事の中身に使うほうが安全です。
本音を撮るには、台本を読ませない
社員に出てもらうとき、原稿を渡して読んでもらうと、どれほど良いことを言っていても、求職者には「言わされている」と聞こえます。採用動画で見られているのは、言葉の中身より、話している人の表情と声の調子です。
本音が映りやすい撮り方は、次のようなものです。
- 話す場面より、仕事の途中を撮る。作業しながらの会話や、教える声のほうが自然に出る
- 上司や社長がいない場で撮る。同席していると、言葉を選ぶようになる
- 先輩から後輩へ話してもらう。「入ったころ、何に困った?」と、社員どうしで聞き合う形にする
- 一度言った言葉を、きれいに言い直させない
HEART CREATIONの企業漫画『感動をデザインする』は、町工場の採用動画の話です。「バズらせて」という頼みを断って応募の数を追うと決め、用意した台本を捨てて本音を撮る流れを描いています。整った言葉より、現場で出てきた一言のほうが、見る人には残ります。

台本は、撮影の途中で捨てていいんです。カメラの横で「それ、もう一回」と言いたくなる一言が出たら、そっちが本番ですから。
出演してもらう社員の同意や、辞めたときの動画の扱いは、別の記事にまとめています。採用動画は長く使われるので、撮る前に決めておいてください。
あわせて読みたい社員がショート動画に出演するときの注意点。同意の取り方と退職後の扱い仕事を止めない撮影の段取り
採用動画は、職場そのものが撮影場所です。撮影のために仕事を止めると、社員の負担が増え、撮れる画もかしこまったものになります。
- 撮る日は、いつもどおりの仕事がある日にする。忙しすぎる日と暇すぎる日は避ける
- 撮影の流れを、仕事の流れに合わせる。作業の順番を撮影のために入れ替えない
- 作業着、ヘルメット、手袋などは、ふだんの安全の決まりどおりに身につけて映る
- 書類の画面や取引先の名前など、映ってはいけない物を、撮る前に現場の人と確かめる
1日の撮影で、場面ごとに素材を撮り分けておくと、求人サイト用の短い版、採用ページ用の長めの版、説明会用の版を、あとから組み直せます。撮影の日までに会社側でそろえておくことは、撮影準備の記事で書いています。

面接に来た人から「動画で見た先輩に会いたくて」と言われたら、もう最高ですよね。そういう1本を一緒に作りたいんです。
採用動画の企画と撮影を、ご一緒します
採用動画は、作ること自体が目的ではありません。来てほしい人が応募し、入ってから長く働いてもらうための材料です。HEART CREATIONでは、再生数ではなく、応募や面接での反応といった数字を先に決めてから企画します。
- 使う場面を決め、場面ごとに中身を分けた企画を立てる
- 仕事を止めない段取りで、1日で複数の版の素材を撮る
- 採用ページやLPの一行目まで、動画と同じ言葉でそろえる
企画から撮影・編集・運用まで、同じチームで引き受けています。ご相談はこちらから。初回は無料で、オンライン60分でも承ります。

工場でも店でも、現場まで撮りに伺います。まずは「どんな人に来てほしいか」から聞かせてください。
よくある質問
採用動画には、どんな社員に出てもらえばいいですか?
来てほしい人に近い立場の社員がおすすめです。未経験の人を採りたいなら、未経験で入って数年の先輩。求職者が「この人の数年後が自分」と重ねられる人が出ていると、動画の言葉が届きやすくなります。
採用動画に、社長は出たほうがいいですか?
出てもかまいませんが、社長の話だけで1本にするより、現場の場面と分けるほうが見られやすくなります。会社の考えを伝える社長の短い版と、現場の先輩の版を別に作ると、場面に応じて使い分けられます。
採用動画は、スマホで自分たちで撮っても大丈夫ですか?
大丈夫です。採用動画では、映像のきれいさより、本当の職場の様子が映っているかのほうが大事です。ただ、声が聞き取れないと使えないので、音だけは口元に近い位置で録るようにしてください。
採用動画は、一度作ったら何年くらい使えますか?
決まった年数はありませんが、出ている社員が辞めたときや、仕事の進め方・職場が変わったときは見直しが必要です。半年や1年ごとに、今の職場と動画の中身がずれていないかを確かめると安心です。
採用動画は、縦型と横型のどちらで作ればいいですか?
使う場面で決めます。スマホで見られる求人サイトやSNSに添えるなら縦型、説明会のスクリーンや採用ページで流すなら横型が合います。撮影の前にどちらを主にするかを決めておけば、1回の撮影で両方の素材を撮れます。
