クリエイティブの日々 No.194

アンバサダー制度は
最初の分かれ道で決まる

アンバサダー制度の作り方。ファンの発信を続けてもらう設計と表示の決め方

うちの商品を何度もSNSに載せてくれるお客さんがいて。アンバサダーとしてお願いしたら、もっと広がりますか?

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ご相談
古川
古川

好きで話してくれる人がいるのは、本当にありがたいことなんです。だからこそ、仕組みの作り方を間違えたくないんですよ。

自社の商品を好きで、自分から発信してくれるお客さんがいる。その人たちに公式な役割を渡して、もっと応援してもらえないか。アンバサダー制度は、そんな発想から始まることが多い取り組みです。

ただ、作り方を誤ると、自然な口コミだったものが会社の広告に変わります。最初に決めるべきは、アンバサダーに投稿をお願いするのか、しないのか。ここでPR表記が要るかどうか、特典の渡し方、規約に書くことが分かれます。

この記事では、アンバサダー制度の位置づけ、最初の分かれ道、設計で決める項目、規約に書くこと、運営で崩れやすいところを順に書きます。

この記事の要点

  • 最初に「投稿をお願いするか、しないか」を決める
  • お願いする型なら、特典は対価になり投稿にPR表記が要る
  • 投稿の数で評価しない。声を商品に返す場を作る
この記事は一般的な情報としてまとめたものです。個別の判断は弁護士などの専門家にご確認ください。

アンバサダー制度は、続く関係を作る仕組み

アンバサダーは、インフルエンサーへの依頼とも、自然な口コミとも違います。違いは、会社との関係の長さと、選ぶ基準です。

インフルエンサーへの依頼アンバサダー自然な口コミ
誰が発信力のある人商品をよく知るお客さん買った人なら誰でも
選ぶ基準届けたい相手との合い方商品を使い続けているか選ばない
会社との関係1回ごとの依頼期間を決めた継続的な関係関係なし
主な役割知らない人に届ける使った人ならではの声を出す、意見をくれる自分の体験を書く

アンバサダーの強みは、フォロワーの数ではなく、商品を長く使ってきた人の具体的な話にあります。例えば、手づくりのぬか床を売る店なら、3年使い続けている人の「夏場の混ぜ方」の話は、どんな広告より検討中の人に届きます。

発信力のある人に1回ごとに頼む場合の選び方は、別の記事にまとめています。

あわせて読みたいインフルエンサーの選び方。フォロワー数より「文脈」で選ぶタイアップ

最初の分かれ道は「投稿をお願いするか」

制度を作る前に、アンバサダーに投稿をお願いするかどうかを決めます。この選択で、表示のルールが変わるからです。

投稿をお願いする型投稿をお願いしない型
お願いすること新商品の紹介、イベントの告知などの投稿先行体験、意見交換、座談会への参加
投稿の扱い会社の表示になる。毎回PR表記が要る本人が自分の意思で書いたなら、通常は会社の表示にならない
特典の意味投稿への対価になる会員への便益として渡す
向く目的新商品の発売時に、使った人の声を一斉に出したい商品づくりに声を生かしたい、長く応援してもらいたい

消費者庁のステルスマーケティングに関する運用基準(2023年3月28日公表)では、会社が投稿の内容に関わったかを判断するとき、やり取りの内容、対価の中身、関係がどのくらい続いてきたか、今後も続くかを総合して見るとしています。対価には、お金や物だけでなく、イベントへの招待なども含まれます。アンバサダーは続く関係そのものなので、投稿をお願いする型なら、会社の表示として扱う前提で設計します。

一方、会員に試供品を配った結果、本人が自分の意思で書いた投稿は、通常は会社の表示にならない例として挙げられています。ただし、「投稿してくれたら次も呼びます」のように、言葉にしなくても投稿と見返りを結びつけるやり取りがあれば、話は変わります。お願いしない型を選んだなら、投稿した人だけを優遇しない、投稿の数を数えて評価しない、といった運営まで含めてそろえます。

PR表記の書き方や置き場所は、こちらに詳しく書いています。

あわせて読みたいステマ規制とPR表記の書き方。広告主が押さえる線引きと表示の位置
古川
古川

「投稿してくれたら、次の会にも呼びますね」。その何気ない一言で、自然な口コミじゃなくなるんです。

制度の設計で決める6つ

分かれ道を決めたら、制度の中身を紙1枚にまとめます。

項目決めること例(ぬか床の店)
目的制度で増やしたいもの、知りたいこと初めての人のつまずきを減らす。商品づくりに声を生かす
選び方招待か公募か、選ぶ条件1年以上続けて購入している人に招待状を送る
渡すものアンバサダーだけが得られる体験新しい味の先行試食、作り手との座談会、名前入りの感謝状
お願いすること型に合わせて具体的に試食の感想を専用のフォームで送ってもらう
期間と人数1期の長さと、目が届く人数1期6か月、10人まで
終わり方期の終わりの更新と、途中でやめるとき更新は本人の希望を聞く。いつでも辞退できる

渡すものは、値引きや物より、そこでしか得られない体験のほうが続きます。作り手と話せる、発売前に試せる、自分の意見が商品に反映される。お金で買えないものを渡すと、アンバサダーであること自体に意味が生まれます。

人数は、運営する側が一人ひとりの名前と顔を覚えていられる範囲から始めます。最初から大人数を集めると、連絡が一斉送信になり、ただの会員登録と変わらなくなります。

規約に書いておくこと

アンバサダーとの約束は、口頭ではなく規約にします。最低限、次の項目を入れておきます。

  1. 01役割お願いすることと、お願いしないことをはっきり書く
  2. 02表示投稿をお願いする型なら、PR表記の文言と置く場所を例文つきで示す
  3. 03言わないこと効果の言い切り、他社の悪口、発売前の情報の公開時期
  4. 04投稿の使い方会社がアンバサダーの投稿や写真を使う場合の範囲と期間。使う前に本人の了解を取る
  5. 05個人情報連絡先などの扱いと、連絡の手段
  6. 06辞退と終了本人がいつでも辞められること、会社が制度を終える場合の知らせ方

見落とされやすいのが、制度が終わった後の扱いです。投稿をお願いする型で出してもらった投稿は、期間が終わっても会社の表示として残ります。過去の投稿のPR表記を消さないでもらう、会社が投稿を使い続けるなら期限を決める、といった点も規約に書いておきます。

アンバサダーにはお金を払ったほうがいいんでしょうか。

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ご相談

お金を払うかどうかより、何に対して渡すのかをはっきりさせることが大事です。投稿をお願いする型なら、お金でも物でも投稿への対価になり、PR表記が要ります。お願いしない型なら、渡すのは制度に参加する会員としての便益にとどめ、投稿と結びつけないようにします。

運営で崩れやすいところ

制度を始めた後に崩れやすいのは、次の3つです。

1つ目は、投稿の数で評価してしまうことです。「月に3回は投稿を」とノルマを課すと、アンバサダーは義務で書くようになり、文章から熱が消えます。読む人にもそれが伝わります。

2つ目は、声を聞きっぱなしにすることです。座談会で出た意見がどうなったかを返さないと、アンバサダーは「話しても変わらない」と感じて離れます。採用した意見は「〇〇さんの声から、ふたの形を変えました」と本人に伝え、採用しなかった意見も理由を添えて返します。

3つ目は、一部の人だけを特別扱いすることです。発信力のあるアンバサダーにだけ多くの特典を渡すと、ほかの人の気持ちが離れます。渡すものは全員にそろえます。

制度そのものは、1期が終わるたびに見直します。目的に近づいたか、アンバサダーが続けたいと思っているかを、本人たちに聞いてから次の期を決めます。

古川
古川

ノルマを付けた途端、好きで書いてた人ほど疲れて離れていく。いちばんもったいないパターンなんです。

ファンとの続く関係を、HEART CREATIONと一緒に設計します

HEART CREATIONでは、SNSの企画・撮影・編集・運用を同じチームで引き受けています。

  • 制度の目的と、投稿をお願いするかどうかの整理
  • 選び方・渡すもの・規約の項目づくりと、表示の決め方
  • アンバサダーの声を生かした投稿や動画の企画

初回のご相談は無料で、オンライン60分でも承ります。「好きでいてくれるお客さんに、何かお返しがしたい」という段階でも構いません。

古川
古川

制度より先に、まずは好きでいてくれる人にお礼を伝えるところから。そこが始まりです。

HEART CREATION

企画・撮影・編集・運用・LPまで、同じチームでお引き受けしています。

よくある質問

アンバサダーとインフルエンサーの違いは何ですか?

インフルエンサーは発信力で選び、1回ごとに依頼することが多い相手です。アンバサダーは商品を使い続けているお客さんから選び、期間を決めて続く関係を作る点が違います。

アンバサダーの投稿にはPR表記が必要ですか?

会社が投稿をお願いし、特典などを渡している場合は、会社の表示として扱い、PR表記が要ると考えて設計します。投稿をお願いせず、本人が自分の意思で書いた投稿は、通常は会社の表示になりません。

アンバサダーはどうやって集めればいいですか?

購入の記録やSNSでの発信から、商品を長く使っている人に招待状を送る方法と、条件を示して公募する方法があります。最初は、運営する側が一人ひとりを覚えていられる人数から始めます。

アンバサダー制度はどのくらいの期間で区切ればいいですか?

6か月や1年のように1期の長さを決め、期の終わりに本人の希望を聞いて更新します。区切りがあると、見直しや辞退がしやすくなります。

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