インフルエンサーさんのタイアップ動画がすごく良かったので、うちの広告にも流したいんです。

言いにくいんですけど、投稿をお願いしただけでは、広告に使っていいことにはならないんですよ。
インフルエンサーにお願いしたタイアップの動画が、思った以上に良い出来だった。自社のInstagram広告に流したい、LPの一番上に置きたい、店頭のモニターでも流したい。そう考えるのは自然なことです。けれど、その動画を作ったのは本人で、映っているのも本人です。投稿の報酬を払ったからといって、ほかの場所で自由に使えるわけではありません。
自社で使いたいなら、投稿の依頼とは別に、二次利用の範囲を取り決める必要があります。使う場所、使う期間、編集してよい範囲。この三つを書面で決めておくのが土台です。できれば、投稿を依頼する段階で一緒に決めておきます。
この記事では、二次利用の2つの形、取り決める項目、編集と著作権の関係、契約が終わったあとの扱いを書きます。
この記事の要点
- 投稿の報酬と、二次利用の許可は別のもの
- 使う場所・期間・編集の範囲を書面で決める
- 終わったあとに止める段取りまで決めておく
二次利用には2つの形がある
タイアップ投稿を自社で使う方法は、大きく2つに分かれます。
| 本人の投稿のまま広告にする | 動画を受け取って自社で使う | |
|---|---|---|
| 仕組みの例 | Metaのパートナーシップ広告、TikTokのSpark Ads | 動画のデータを受け取り、自社の広告・サイト・店頭などで使う |
| 許可の出し方 | 本人がアプリの中で許可を出す | 契約書や覚え書きで範囲を決める |
| 見る人に見える名前 | 本人の名前が表示される形がある | 自社の広告として表示される |
| 使える場所 | その媒体の中の広告だけ | 取り決めた範囲で、媒体の外でも使える |
| 気をつけること | アプリの許可とは別に、期間や条件を契約で決める | 編集の範囲、音楽、写っている人の了解まで確かめる |
2026年10月時点の各社の説明では、Metaのパートナーシップ広告は、クリエイターが許可したタイアップ投稿を、ブランドが広告として配信できる仕組みです。許可は投稿ごとに出す方法と、取引する会社ごとにまとめて出す方法があります。TikTokのSpark Adsは、クリエイターが投稿ごとに承認コードを発行し、ブランドがそれを広告管理画面に入れて使います。承認の期間はコードを発行するときに選ぶ形で、広告として承認されたあとは投稿のキャプションを編集できなくなります。
アプリの中で許可が出せるからといって、条件まで決まったことにはなりません。何日間広告に使うのか、その分の費用をどうするのかは、別に話して書面に残します。
取り決める項目
二次利用の取り決めでは、次の項目をそろえます。
| 項目 | 決めること | 例 |
|---|---|---|
| 使う場所 | 媒体と使い方 | 自社のInstagram広告、LPの上部、店頭のモニター |
| 使う期間 | いつからいつまで | 投稿日から6か月 |
| 編集の範囲 | どこまで手を加えてよいか | 尺を短くする、テロップを足す、冒頭を差し替える |
| 名前の表示 | 本人の名前を出すか、どう出すか | 広告では本人のアカウント名を表示する |
| データの受け渡し | どの形で受け取るか | 文字や音楽を入れる前の元の動画も受け取る |
| 費用 | 投稿の報酬とは別に決めるか | 二次利用の分を別の項目として書く |
| 終わったあと | 期間が過ぎたときにどうするか | 広告を止め、サイトから外す。延長は事前に相談する |
いちばん揉めやすいのは、使う場所の書き方です。「販促に使用できる」とだけ書くと、本人は自社のSNSでの紹介くらいを想像し、会社は広告やテレビでの放送まで含むと考えている、というずれが起きます。媒体の名前まで書いておくと、後から食い違いません。

使う場所・期間・編集。この3つが書いてあれば、まずはOKです。契約書で見てみてください。
編集してよい範囲と、著作権の関係
広告に使うとき、動画をそのまま流すことはあまりありません。尺を15秒に縮める、冒頭に商品名を入れる、複数の人の動画をつなげる。こうした手直しをするなら、そのことも取り決めに入れておきます。
動画の著作権は、原則として作った本人にあります。著作権を譲り受ける契約をしても、著作権法第61条第2項により、翻案(作り変え)などの権利をとくに書いていなければ、それらは譲った側に残ると推定されます。「すべての著作権を譲渡する」と書くだけでは足りないとされる点に注意が要ります。著作権を譲り受けるのではなく、使ってよい範囲を決めて許可をもらう形でも構いません。どちらにしても、どんな編集をするのかを具体的に書いておくほうが、本人も判断しやすくなります。
本人の顔と声が出ている動画なので、編集で言葉の意味が変わる切り方もしないようにします。「最初は半信半疑でした」の後半を切って、商品に否定的に見える編集にする、といったことです。写っている人の権利の基本は、お客さんの投稿を使うときと同じです。
あわせて読みたいUGCの許諾の取り方。お客さんの投稿をリポスト・転載するときの許可と表記もう一つ、音楽も確かめます。投稿のときにアプリの中で選んだ曲は、広告や自社サイトでも使えるとは限りません。

音楽が入った動画は、使う前に必ず音を確かめてください。広告では差し替えになることもあります。
広告にした時点で、会社の言葉になる
タイアップ投稿を自社の広告に使うと、その中の本人の感想は、会社が広告で言っている言葉として受け取られます。投稿のときには本人の感想として流れていた一言でも、広告に使うなら、会社の広告として言ってよい表現かを見直します。「これで肌トラブルがなくなった」のような体への効果をうたう言葉は、広告の中では使えないことがあります。
広告であることの表示の基本は、別の記事にまとめています。
あわせて読みたいステマ規制とPR表記の書き方。広告主が押さえる線引きと表示の位置期間が終わったら、広告を止め、サイトやLPから外します。担当者が替わっても分かるよう、どの動画を、どこで、いつまで使えるかを一覧にしておきます。延長したいときは、期限が来る前に本人に相談します。

期限が切れたのに広告が回り続けてた、なんてことになったら泣くに泣けないですからね。
二次利用を前提にしたタイアップを、HEART CREATIONと
二次利用まで考えておくと、タイアップの動画を広告やLPにも生かせます。HEART CREATIONでは、広告・LP・SNS運用を同じチームで引き受けているので、使い道から逆算して考えられます。
- タイアップ動画を広告にするなら、冒頭を変えた複数のパターンで出し、2週間で反応を見て寄せていく運用
- 動画で伝えたことを、LPの一行目にそろえる設計
- 広告に使う前の、尺の調整やテロップの入れ直しといった編集
- 依頼の前に、どこで使いたいかを整理するところからのご相談
権利の具体的な判断は、専門家への確認をおすすめします。そのうえで、どう使うと成果につながるかはご相談ください。初回のご相談は無料で、オンライン60分でも承ります。

使い方を先に決めておけば、相手も安心して受けてくれますよ。
よくある質問
二次利用の費用は、投稿の報酬に含めてもいいですか?
含めても構いませんが、その場合も「どこで・いつまで使えるか」は書いておきます。報酬の中に二次利用が入っているのかどうかが曖昧だと、後から「そこまでは聞いていない」と言われることがあります。別の項目として書いておくと、延長の相談もしやすくなります。
インフルエンサーの投稿を、自社のアカウントで再投稿してもいいですか?
アプリの共有機能で紹介するのと、動画を保存して自社の投稿として上げ直すのは別の扱いです。上げ直すなら、タイアップの取り決めの中で自社アカウントでの使用を認めてもらっておきます。
二次利用の期間が終わったら、すでに出した広告はどうなりますか?
期間が終わったら、配信を止めるのが基本です。サイトやLPに載せているものも外します。印刷物のように回収しにくいものは、配り終えるまで使えるかどうかを、最初に取り決めておきます。
Spark Adsやパートナーシップ広告なら、契約書は要りませんか?
アプリの中の許可は、その仕組みで配信できるようにするためのものです。何日間使うのか、費用はどうするのかといった条件は決まらないので、別に書面で取り決めておくのが安全です。
